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天使と聖女は足元に転がる【赤い毛糸玉】に導かれる  作者: 黒船雷光


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42・千鳥アキラの視点・アキラの本気

「私は国木戸君を異性として好ましく思っています」


ああ、はるかはホンキなんだ。

誰もが羨むステキ超人の彼女は、健ちの事がホンキで好きなのだ…

赤い毛糸玉の話を聞いた時は、才女のお遊びかと思ったが……いや、最初は遊びだっのかも知れないが、いつしかホンキにすり替わっていたのかも知れない。


ソレに比べてウチは何だろう?

ヒロキの時、学んだのは「人の好意には意図がある」という、厳しい現実だった。


ウチもパパには大切に育てられ、ある意味お嬢…様なのだろうケド…はるかの様に真っ直ぐ生きることを否定した。

ワタシは逆張りにする事で、本質的な他人(ひと)の対応を観察する様になった。


外見を派手に変えると、反応は様々だが分かりやすい。

派手な髪色、自慢のバスト、短いスカート。

コレだけで、いわゆる『フツーの人』、つまりモブはワタシを避ける。『面倒に巻き込まれたくない』世の中で忍んで生きたい人は近寄らない。上等。


興味を持つタイプは二種類。

女子ならワタシと同じタイプ。派手なファッションで本質を見せない様に武装する。でも、一人が嫌で派手なサインを出している「この指とまれ」

又は、逆張りで天下を取りたい野心の塊。


男は下半身でモノを考える能天気で、根拠のない自信を持つバカか、根拠はあるがそれ故に付け上がるバカ。

ワタシに近づく男はヤリ目八割だケド、ヒロキがいることを知るとほぼ退散、超ウケる。


ところが、このワタシの価値観を打っ壊す存在が現れた。モンチこと国木戸健一。


健ちは、初めてみるタイプの「男の子」だった。

高校生にもなって、ムダ毛も生えてなさそうな純粋無垢の雰囲気、ウチの琴線に触れた。


コレはワタシの勝手な想像。はるかも同じ。

入り口は愛玩動物に感じる、癒しと愛らしさ。


進級するまで全く視界に入らなかったのは不思議。まぁ、高校入学してからの自己確立にウチらは大変だったし、ヒロキの護衛が馴染むのも時間が掛かった。自分に余裕が無ければ周りなんか見えないモノだ。


ケド、すぐに彼に熱視線を送る女子がいる事に気づいた。

花鶴みゆき。後で知る、健ちの幼馴染。

この子モブ子と判断するのは早計。くノ一かと思わせる「気配コロす才能」と「人を観察する目」を持っているとすぐに気づいた。


そして、素材を隠しちゃってることも。

三つ編みお下げで化粧っ気もない子供体型だが、メガネの奥の瞳は少しメイクで盛れば彼女も弾ける可能性バリアリ。


事情はあるだろうが、遠慮して近づかないならワタシが貰う。……そうして席替えを提案して譲って貰った。

彼女は驚いていたが、忌避もせず恐れもせず、自然体で応じてくれた。

強い子なんだと感心。


はるかが健ちに告白ったのは、ショックだった…けど、ワタシには失恋の胸の痛みより、二人の行く末コレからどうなるの?の興味の方が上回った。


つまり、キュッという痛みより、ドキドキの悦びの高鳴りのの方が上回った。


ソレにしても、健ちの全てを晒した顔面偏差値の測定不能、マジで超ウケる。

健ちの過去は聞いたけど、あんな可愛い凶器をひた隠すなんて…マジ意味フ。

正体見切るワタシ天才カモ。


やっぱり諦めきれない。

気がついたら、ワタシの口が勝手に「ちょっと待った」コールしてた。


でも、なんでそんなこと言ったのか、ウチ自身分かっていない。

せっかく…そう、せっかく通じ合える【トモダチ】が出来たんだと思ったから…上っ面で判断せず、同類とウソをついて仲間のフリをするわけでもなく他人と違う点を茶化したり笑ったり差別するようなキズの舐め合いではない本当の仲間ができた気がしたから。


それが、健ちとはるかがお似合いだったとしても、くっついて壊れるのがイヤ。ウチの中の特別が無くなるのがイヤ…でも、そうやって自分の思い通りにしようと思ってしまう自分がイヤ……


「ウ…ウチにもチャンスが欲しい。このままこの関係が壊れるのはヤダ…でも、それで誰かが我慢したり傷ついたりするのもイヤ…そして、ウチは今の関係が楽しくて続けたいとも思っている。でも、それもワガママって知ってる」


はぁっ…一息つく。

古賀澤さんは少しだけ私と同じく息をのむ。

花鶴さんが期待した目をしている…何を?


健ちは…不思議そうな顔をしている。


「ねえ、二年生…今年一年をこのままで過ごしたい。その上で誰と誰がくっ付こうが離れようが文句は言わない…どお?!」


精いっぱいの笑顔、精いっぱいの強がり。ウチらしさ全開の提案じゃないかな?!


「お嬢らしいですね…」ヒロキがふっと優しい顔をする。


「チャンスを均等にということか?このままだと、国木戸君ははるか君を選ぶだろう…その邪魔をしたいのではなく、自分が取って代わる可能性も含めてシャッフルしたいということなのか…?シュレディンガーの猫の様な…」

桝村カイチョーは何言ってんのか分かんないけど、たぶんそう。


「でも、ソレ…健ちゃんが顔を晒す覚悟とは別の話だから、【クマとも】以外の全校生徒…いえ、全世界の人のチャンスになっちゃいますよ?」

みゆきち…スルドイな…


「僕は…そ、その…い、いいですよ。い、いまのみんなとた、楽しく過ごせるなら」


最後に健ちが決定を下したけど、ウチの勝手な要望に応えてくれてマジ感謝!

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