43・優しいセカイ
結論から言うと、ボクはマスクと伊達メガネを着用して登校している。
別に芸能人ぶる訳でも、顔を晒す勇気が持てない訳でも無いけど、「余りにも周りに迷惑だ」と言う結論になったので、【クマとも】のメンバーと相談して学校内では堂々とするところから始める…となったから。
学校内でも顔を晒し始めはやや騒動が起きたけど、ソレで言うなら古賀澤さんも千鳥さんも学校内なら圧倒的に有名人だったので、一緒に居ると、騒ぎはそこまで大きくは、《《ある意味中和されて》》ならなかった。
そして、注目度とその発言力では学校一の桝村生徒会長の一言は、皆を牽制し騒動を落ち着かせた。
「我々は学生であり、この観音崎高等学校に分別なく騒ぎ立てる不埒な学生は在籍しておらず、従って必要以上に過干渉すべきでは無い」
と言う様な内容であった。
勿論一部の界隈では揶揄する動きもあったが、黒妃さんの指導もあって、そう言った声も直ぐに聞こえなくなった。
更なる界隈では、(保健室にて黒妃に脅威に晒される)がトレンドになったとか。
鹿部君に教えてもらったけど、脅威=驚異の胸囲のスラングだ、と聞かされて恥ずかしかった。
そんな僕を見て彼は笑っていた。
ついでに言うと鹿部君には色々相談できた。
「ねえ?男らしさって何が必要なのかな?やっぱり、鹿部君みたいな強さとか?」
「うん?健ちは力や喧嘩の強さが必要だと思っているのか?」
鹿部君は僕のことを千鳥さんと同じく“健ち”と呼ぶ。
愛称は距離感の近さだと言っていた。
「ソレは…た、多分ボクには無理だけど、その、えっと…こ、こころの強さとか?」
「まあ、俺はフィジカルしか無いけどな…強さにも色々あると思う。お前のお袋さんは確実に強いと思うし、芯を持つことは大切だな。『揺るぎない決意』とかかな…そう言う意味では、お前は強くなれたんじゃ無いかな?」
「そ、そうかな?」
「自分を守っていた殻を捨てるのは、誰にでもできるものじゃ無い。」
その声は誰身向けたものなのか…
それから、僕のマスクじゃないけど、大きく印象を変えたのが花鶴さんだ。
彼女はある日から、三つ編みで中分の髪の毛スタイルを止めた。
髪を下ろし、前髪を垂らし、少しウェーブが残る髪の毛は肩に掛かるまであり、ナチュラルメイクをして眼鏡を止めた。
地味な…失礼、控えめな見た目だった花鶴さんが一気に明るい美少女に変身した。小柄で目立つ体型ではない彼女だが、逆にロリっぽさが可愛く見えて、これまた注目を集めた。
どうやら千鳥さんの入れ知恵らしい。
「健ちを狙うなら…女は度胸と愛嬌!」と言ってメイクも教えてヘアスタイルももちろん花鶴さんのお母さんにやってもらった結果だと聞いた。
【クマとも】のメンバーは集まらずとも話題を振りまくカリスマグループとして校内に認知されていった。
その中心で、僕は素敵な仲間たちと、これからも様々な青春を謳歌するのだろう。
僕が『僕らしくある』というのは未だピンと来ない。
でも、確かに赤い毛糸玉から始まったこのメンバーがこれからどんなことがあっても、前向きに明るく立ち向かえるのではないかと思う。




