39・古賀澤はるかの視点・遥かなる想い
国木戸君の家庭の事情が複雑なのは、最初からわかっていましたし、プライベートなのでそこを掘り進めるつもりなんて本当に無かったんです。
でも、実際自分の親が絡む仕事の裏側で、直接関係して無いとは言え、国木戸家の名前が少なからず絡んでその名が出てしまえば、調べたくなると言うのは人間の性では無いでしょうか?
千鳥アキラさんの積極的なアプローチは、ストレートですが効果的です。
私の無駄に手の込んだ赤い糸作戦が如何に自分の思い込みで変な方向に努力する結果になったのも愚かな判断でした。
その暴走する行為を花鶴みゆきさんが全部見ていたなんて、如何に人間は愚かで自己解釈による勝手な想像で行動するのかを実体験をもって知れたのは良かったです。
……正直落ち込んだのですが、会長のあのポジティブシンキングに影響を受けましたし、そのおかげで私は変わった気がします。
アキラさんのお父様がその筋専門での弁護士をされていて、足抜けされる、又はそこに落ちていく人を救う組織も運営されていると聞いて、凄いなと思いました。
しかし、そのアキラさんがコンプレックスを告白してくれた国木戸君の力になりたい一心で大人を巻き込んだややこしい話になって、いよいよ私も本格的に動かねばと決意し…
たどり着いた事実は…皆さん地元民として関わるスキャンダル問題に発展してしまいました。よもやパパまで関わる話になるなんて…
それでも何とか一旦落ち着いた感じになってホッとしています。
国木戸君の鼻は直ぐには治らず、それは兎にも角にも私が悪いのですが…(私の不注意で頭突き)その後、春から夏、さらに夏休みが終わって新学期になりました。
完全とは言わずともシップもガードも取れて元気になったという事で、まだ残暑の酷い中、放課後図書室に皆が集まりました。
「ほ、本当に…お見せしないとダメですか?…ぼ、僕…以前もい、言いましたが…」おずおずとマスクに手を掛ける国木戸君は既に、春先とは雰囲気が異なっています。
夏休みで花鶴さんのところでカリフラワーの様な髪の毛はかなり整えてもらったようです…毛髪量を梳いてもらいバクハツヘアは収まりました。でも彼は顔が小さいのでより可愛らしさが強調されている様な気がします。
「バッカだなぁ…健ち…お前の魅力はそんなマスクでは隠せてないんだからヨ…」と早速アキラさんがチャチャを入れるのですが…彼女は国木戸君の顔を見たことってあるのかしら…という疑問はありますが…
ゆっくりと外されるマスク
そこには確かに【天使】が居ました。
「こ、この様な形で、皆さんと向き合うのは…とても勇気が、ひ、必要なのですが…」
その透き通る様な肌、後ろにある窓から入射光で際がキラキラと光る髪の毛の下に大きな瞳、こぢんまりとした鼻とルージュを引いたのか?と疑う様な薄いピンクの唇…
その容姿はルネッサンスの画家が挙ってデッサンに現れんがばかりの正に天使という以外の形容詞が浮かばない程の美貌が現れた。
私は無神論者とまでは言わないが、神様に全てを決めてもらいたく無いと思っている。
だが、コノ国木戸健一という奇跡を観たら「入信します!」と即答出来るくらいにはインパクトがある。
誰もがその姿に固まっている。全く驚きです…
以前偶然見えた僅かな時間見えた口元も、前髪が長く、その全容を掴めていなかったことを改めて認識しました。
何という事でしょうか…
「あ、あの…」固まる周囲に固まり返す国木戸君…
「きゃーーー!!モンチ天使!!」
流石アキラさん行動が早い!
抱きつくと同時に頬擦りしている!ちょっ!
「お嬢、落ち着いて…」と鹿部くんがやや強引に引き剥がす。
「肌すっべすべ!赤ちゃんみたい!!化粧水何使ってんの!?」ソレは私も知りたい!ですが…
「はひぃ!け、化粧水って何ですか?」それはそうです…
慌てる国木戸君はいつもの本人ですが、素顔インパクトがとんでも無い破壊力です。
「全く驚きだ!僕は以前『ゲイではない』と宣言したが…君の為ならゲイをも受け入れよう!」桝村生徒会長がおかしなことを言いだしました。
何にしても、それだけのインパクトがあるという事に他なりません。
「す、すいません…やっぱり…僕なんか」
逆ですよ逆!…ですが、国木戸君がもしマスクなしで普段から外を歩いたら確かにそれは問題になりそうです。
「こ、こういうのはどうでしょう?【クマとも】は今後、国木戸君を守る会…とする。とか…」
花鶴さんの一言は(それだ!)という雰囲気になって来ています。
しかし、ソレは彼のためなのか?このソーシャルメディアが世界監視システムの様になって情報拡散リスクもある中で、彼が彼らしく無理をしない生活を送る事を改めて祈った中での今…
「国木戸健一さん、率直に申し上げてあなたは類稀なる整った容姿をお持ちである事を自覚すべきです。コレまで貴方が感じていたコンプレックスは様々な要因が元になっているのは、皆さん理解しています」
皆が私の結論を待つのを感じます。
生徒会として講堂で話す時より緊張します。
「私は貴方にとても強い好意を持っています。ソレは『好き』と言う感情である事を認識いていますが、元は強い興味からです。貴方の容姿は多くの人にとって賞賛に値するものです。ここに集った【クマとも】は決してその容姿にだけに絆絆された仲間ではないと皆が思っていますし、私もそう思います」
ふう…と一息付けさせてもらいます。
「私は赤い糸という伝説の『結びつく運命の力』を実は自分ではなく、そう誘導した別の力があるのではないかとすら今は思っています…私が言うのは変ですが」
「はるかの話は長いヨ…ナニが言いたいの?」
アキラさんは容赦がありません…が、そこが彼女の魅力です。
「私は…ここに集いしモノがこれからの国木戸君にとって友好的で共感者として支えられる友人でありたい、あってほしい願っています。その上で、彼に今後どうして欲しいのか…伝えるべきだと思いました」




