28・古賀澤はるかの視点4・円環の理
「いいえ、ちがいます!」違いますとも!
「違い…ます……が…」周囲を見渡す。そこに揃うメンバーを見て私は思います。そう、私は国木戸健一君をこちらを向かせて…あれ?それから…仲良くなって、一緒に…
そのために、努力しました。
赤い毛糸玉に辿り着くまでも、辿り着いてからも。
追うと逃げてしまう可愛い王子様。
私は、国木戸健一君を振り向かせたかった。私の実力で困難を乗り越えて一緒に笑いあえて「あの時は大変だったんだから…」という笑い話を夢見ていました。
でもそれが、こうして会長やアキラさん、鹿部さん…更に、聞けば幼少期をご存じの花鶴さんという個性的なメンバーと、この赤い毛糸が紡がれた赤いクマのキーホルダーで結ばれた縁は、当初の独占したいという気持ちは残るものの、得難い友達が得られたという感覚も共存していることに気づくのです。
…そんな私の独占欲を、語って国木戸君が拒否したら?アキラさんに笑われたら?桝村会長に失望されたら…
私は何を…これまで努力してきたのでしょうか…好かれるため?親の希望を叶えるため?私自身の為です…
でも、私自身の為という欲求は、私独りだけのためでは無いと思うのです…だって、評価は自分がするものではなく社会の中での他人が行うことだからです。
だけど、私だって個人の希望や独占したい欲望の一つや二つ…
「私は…正直に言います。ここにいるメンバーの中で国木戸君の一番になりたいのです」
言ってしまった…そしてさらに本音を語る。
「だけど、ここにいるみんなと仲良くしたい…とも思っている自分が居るのです」
「はるかぁ~」千鳥さんがこっちに来ます。
「よく言った!そうだよな…モンチ可愛いしな…そりゃ独占したいわな!でも、それと同時にウチらと仲良くなりたいって、ソレソレ…大切な奴、よく言ったはるか!」
私は、崎高の奇蹟だの、クールビューティーだの言われることは特に意識してきませんでした。
褒められて喜ぶというのは堕落の第一歩と厳しく教育を受けてきました。それは当然で、当たり前として受け取り、更なる上を目指して万人から支持されるべき…と。
でも、ソレで『誰も寄せ付けない、味方も仲間もいない』と言うのは、強さでも賢さでも無い…
「千…アキラさん、【クマとも】の皆さん、ごめんなさい、私はこの赤い毛糸玉の奇跡みたいなものを仕込んでいました…」
SNSで良くある炎上が生で起きる事も覚悟での告白だ。仲間に隠し事は良く無い。コレで軽蔑されて弾かれたとしても元の生活に戻るだけ。
「知ってた」アキラがしれっと、しかも今更?と言う感じで応じる。
「え?」ショック!です…私…




