11・千鳥アキラの視点1・ペットのぬいぐるみ
最近、マジだるくて学校行くの超めんどいって思ってたけど、2年になってからやばいカレぴ見つけたんだよね!
その子はモンチッチが制服着て歩いてるみたいな、激カワ vibe!
大人しいだけじゃなくて、なんかいつもビクビクしてる感じ? マジで母性本能バチバチに刺激されるんだけど~!
でさ、いつも早めにきて、教室の隅っこでチョコンって座ってるの、めっちゃウケるんだけど、なんだっけ、ピグミンマーマレード? 世界一ちっちゃい猿みたいな雰囲気!
絶対ゲットしたい! 私のコレクションにガッツリ咥えたい…って、ウソ、加えたいって感じ~!
席は席替え希望〜ってお隣ゲットぉ〜
「ねぇねえ〜カレぴ、何時も独りなの何でなん?」
早速速攻スピードアタック!
そしたらカレぴビックリした顔して、周りを見渡して自分の事を言われてるって気付いて、それからウチの事見て目を伏せて真っ赤になってモジモジ。
何コノテラ可愛い生き物?!
絞り出した言葉が「あ、あの…ボク…友達居ないから」
「ぎゃは〜!ウケる。じゃあ、私とトモダチヨロ!」
「え?いゃ、アノ…」
「なぁにぃ?…お姉さんとは話せないってこと?」
目線が泳いでいる。明らかに動揺するお猿さんカワヨ。
「あ、あの…見えているの…ダメでは無いかと」
「え?あ、コレ?」
日サロ行ってご自慢の焼き目とバスト。見せブラと共にシャツ全開。
そ、そんなに刺激的だったか?
そこまで露骨に困られる反応は新鮮。
大抵皆んな横目で見たり、明らか凝視したり。
でもさ、ギャルは私の一つの生き方なんだよ。
要は舐められたらオワリ。
露出は逆武装。常識ある奴は近づかない。ヤバい奴は咥え込む…違った丸め込む。
そんな私から見たら、可愛い見た目、キョドル涙目、怯える挙動…もうこんなのまな板の上の恋じゃん!
嗚呼ん!抱きしめて私の胸の中で安眠させたい抱きしめたい!
「ねぇねーカレぴっぴ、今日帰りにダチとカラオケ行くんだけど一緒にどお?」
「あ、えっと…すいません。お金ないんで…」
速攻お断り!ウケる!しかもお金無いって…
……見りゃ分かる。
いつの時代の学生カバン?年季入り捲り。制服、素人でも分かる、補修し捲り。
チクリと胸の奥が痛む。
「いやいや、ウチが奢るから!」
明るくミラクル提案。
「受けたご恩を返せないのが辛いのですいません」
オーノー!トマホーク!貴方が落とした斧は金の斧ですか?
この希少性!国宝級!
この子を絶対堕としたい!
千鳥アキラ、本気になりました!!
「お嬢、ホンキですかい?」
昼休みに隣のモンチが気になると言ったら、ヒロキが呆れた顔をして文句を言って来た。
「なぁにぃ?ウチの純粋な想い踏みにじんのかヨォ?……あと、お嬢はヤメロ」
おっと、乙女はもっとロマンティックに語らないと
「お嬢じゃなくて、学校ではキラ⭐︎って呼んで」
「まぁ、俺としては、お嬢が誰と火遊びしようが、知ったこっちゃ無いんですけどね?よりに寄ってあんなハム助はオススメしませんね…」あん、もう無視された…
「ハム助?ウケるんですけど…でも、そのハム助ことモンチの可愛さったら〜小動物系のカワユさ集約MAXみたいな?」
「お嬢、水を刺すわけじゃありませんが、お嬢以外はオレの警護対象外なので、一緒に居ても助けられませんぜ?」
「だから?」
「お嬢以外は自己責任で防衛して頂きたい。従って、そんな弱き者がお嬢と一緒に居られたんじゃあ、足手纏いってもんです」
「ねぇ、ヒロキ、もしかして妬いてんの?」
「なっ!んな訳ないじゃ無いっすか!お嬢の前に立つのがオレの役目っす。お嬢の方を向くのが誰であろうと、オレは前を向くのが役目っすから」
「頼もしい事で……まぁ、モンチ、カレぴは可愛いのは変わらないから、ハッピーラッキーよろしくね」
鹿部ヒロキは崎高の同級生…だけど、実際には二十歳超えてる。パパが付けてくれてる盾役。
ゴツい体格で今時流行らないバッキバキのツーブロックヘアで後ろに纏めている黒髪、眉なし三白眼、鍛え抜かれた筋肉に学生服が似合な過ぎる。
ウチが襲われることなんて…もし誰か計画したとしても、ヒロキが隣に居るのを見たら、皆んな諦めちゃう。
サイキョーの盾。ウチの最強守護者
ウチは我儘な育ち方したから、お金の無い苦労とか知らない。けど、ヒロキは違う。
ウチが思春期迎えた頃、パパに無理言って黒服のボディーガードの送迎をやめてもらった。
ハズイし、キモいし、何より誰も近づかない。それがイヤで泣いた。
その時、パパは友達を紹介してやると言って連れて来たのが鹿部ヒロキだった。
その時の彼は野犬か狼か?と言う様なざらつく様な殺気を無闇矢鱈と放っていた。こんな奴が友達?とパパに文句言ったら、パパは笑って「お前には丁度良い」
と返した。
最初は意味がわからなかった。
でも、実はウチも友達の意味を知らなかった。
最初は闇雲にあちこちに出向いた。ショッピングモールの買い物から映画、遊園地。
何も言わないヒロキと一緒に、女子憧れの遊びに行きたいランキングを片っ端から制覇した。
よく考えたら、コレってデートじゃん…
そう思ったら少し凹んだ。
でも、ヒロキはもの凄くウチのこと大切にサポートしてくれた。
友情より先に愛情が育つのは思春期の女子として当然じゃない?
中学卒業時に告った。
ヒロキはほんの一瞬嬉しそうな顔をして、直ぐに困った顔になり、それから悲しそうな顔をして「それだけは聞けません」とハッキリ断られた。
「ヒロキはどんなヤンキーや大人のチンピラにもビビらず立ち向かうのに、私には向き合えないの?!」
と言って、無理矢理唇を奪ってやった。
それがどう言う事態を招くのなんか思春期抜けきれてない小娘なウチには分かってなかった。




