帰郷
残り5分
天水陥落から数日後。
韓遂及び旧馬騰軍は、人質である馬岱が助け出されたことを知るや否や反乱軍を離反。これまでの鬱憤を晴らすかのように苛烈な攻勢を仕掛けた。突然のことに反乱軍は反撃するまもなく壊滅。散り散りになって西へと逃走を始めていた。
当然、それを旧馬騰軍の面々が逃すはずもなく、熾烈な追撃戦が展開されることとなる。今彼女たちは、仇敵の首に手が届く場所まで来ていた。
〜陳倉近郊〜
「辺章ォ!!!」
悲鳴と怒号が入り交じる戦場の中、少女の烈火の如き咆哮は、その中にあっても一際轟いた。彼女の視線の先には、軍の大将とひと目で分かる出で立ちをした、大柄な男の姿がある。
邪魔な敵兵を薙ぎ払いながら、その身に渾身の突きを入れようと距離を詰める。しかし、次から次へと現れる兵士によって思うように近づけない。
(もう少しなのに……!)
仇が目と鼻の先にいるのに、その僅かな距離が届かない。焦る気持ちのままに駆け、強引に守りを突破した。おかげで距離は縮まったが、周りに味方はいなくなった。戦場で孤立したも同然の状況。しかし、今の彼女にそんなことを冷静に考える思考はない。元々激情家の彼女が、仇を前にして冷静でいられるわけがないのだ。
(母様の仇!)
馬超は駆けた。
駆けて、駆けて、駆け抜けて
後少しで槍の射程圏内に届くところまで迫った
「辺章様!」
名も知らぬ兵士が馬超の前に立ち塞がる。冷静さを失った頭でも、降り掛かる火の粉を放置することは選べなかった。仇に突き立てるはずだった穂先が兵士の心臓を貫く。一瞬のことではあったが、その一瞬の間が馬超と辺章の距離を大きく広げた。その隙間に入り込むように続々と兵士が集まり、彼女の追撃を阻止する。
雑兵がいくら来ようとも、彼女を討つことは出来ない。だが、時間を稼ぐことは出来る。一人倒すたびに、距離は広がる。仇の背中が、兵士の間に消え始める。
蹴散らして進んでも間に合わない。無視して進もうにも兵が厚い。飛び道具があれば、それらを無視して討つことは十分に可能だが、彼女の手の内には槍しか存在しない。
「アアアアアアア!!!」
その行動に一瞬の迷いもなかった。
馬超は、その手にあった槍を辺章目掛けて投げた。戦場で唯一の武器を手放すという、自殺行為以外の何物でもない捨て身の攻撃に、彼女を取り囲んでいた兵士達は反応できなかった。槍は兵士達の間をすり抜け、辺章の背中へと吸い込まれていく。
完全に逃げの姿勢に入った彼に、背後から迫る槍を避けることなど出来なかった。勢いよく投げられた槍は、辺章の心臓を貫き、乗っていた馬の後頭部に刺さってようやく止まった。
絶命した馬はその場で転倒。辺章の体も投げ出された。勢いよく投げ出された影響で、辺章の体は一目で息絶えているとわかるほど悲惨な状態になっている。
(母様……璃空……仇は取ったよ。)
自らの主の死に、半数近くが混乱を起こすが、一部の者は主の仇と武器をなくした馬超に襲いかかる。武器のない彼女に成す術はない。四方から迫る凶刃に、仇を取れたことへの満足感を得ながら馬超孟起はその命を散らす、はずだった。
「全く、無茶をするな、君は。」
烈風の如き風切り音が響き、馬超の周囲に円が出来るように周囲の敵が地に伏した。
「……ぁ。」
頭の中が白くなり
周囲の喧騒も遠いものとなる
仇を討てた満足感も
妹達への後悔も
全て、目の前の存在によって消え失せた
「璃空…!」
白馬に跨り、双戟を構え、背中に棺桶を背負ったその姿を見間違えるはずがない。戦場で討たれたと思った大切な存在が、確かに目の前にいる。
夢なら覚めないで欲しい
そう願う彼女の思いに、璃空は槍を差し出すことで答えとした。
「一緒に終わらせよう。また、あの平原を駆け抜けるために。」
「……!ああ!」
槍を取り隣に並ぶ。周りを敵が囲み、逃げ場は何処にもない。
味方は遥か後方で敵と交戦中。いずれ主将が討たれた情報が届き、壊乱することになるだろうが、それまでは孤軍奮闘するしかない。だが、二人に不安の色はない。
あるのは、勝利への確信だけだ。
「龐令明」「馬孟起」
「「推して参る!!」」
〜陳倉〜
「璃空が本当に世話になった。ありがとう。」
馬超とその妹達が深々と頭を下げる。相手は、璃空を討ち取ったと思っていた人物である終だ。戦いの後、事の仔細を聞いた彼女は、こうして彼に感謝を告げていた。
「気にすんな。あくまで、勝つためにやったことだからな。」
「それでもだ。もし、お前があのとき、璃空を捕らえず討ち取ることを選択していたら、また皆でいることもできなかった。……本当に感謝している。」
馬超達にとって、龐徳は心の支えだった。馬騰を討たれ、馬岱を人質に捕られ、望まぬ戦いを強いられた馬超達姉妹を、その言葉や行動で常に勇気付け希望を持ち続けるように諭し続けていた。だからこそ、彼が討たれたと思った時は絶望の底に落とされたし、母の仇を討つ機会が訪れた時は彼の分もと狂気的とも取れる怒りに身を任せていた。
その死んだと思っていた璃空が生きていた。それは彼女達にとって望外の喜びに他ならない。
「何か、私たちに出来ることはないか?戦が終わったばかりだから、限りはあるが……」
「そうだなぁ……」
その申し出に終は考え込む。特に見返りが欲しいとは思っていないが、求めなければ彼女たちの気が済まないことは分かっている。さて、どうしたものかと視線を彷徨わせ、自身の背後の静かに佇む人物を視界に入れると内心ため息を吐きつつ答えを出した。
「ならよ。あんたのところの馬。一頭こいつにくれねぇか?」
「はっ?」
そう言って指差した先にいるのは、自称臣下の小沙良だ。まさか自分に話を振られるとは思っていなかった当の本人は、驚きのあまり間の抜けた声を出している。
「それくらいならお安いご用だ!すぐに用意しよう!」
馬超は小沙良を見つめるとニカリと笑って厩へと駆け出す。やけに用意が良いことに疑問を抱くも、気にするほどのことでもないかと小沙良に目を向ける。彼の予想通り、何が何だかわかっていない様子だ。
「あの、終様?」
「……何時までも歩きじゃ、足手まといだからな。」
益州を出てから今に至るまで、小沙良はずっと徒歩で彼に着いてきていた。初めの頃はそれを利用して何度か引き離そうとしたのだが、彼女の並外れた執念と身体能力によって遂ぞ叶うことはなく、漢中で追いつかれてからは諦めて歩調を合わせていた。その内何処かで諦めてくれるだろうと思って、何度も説得をするためにしたことだったが、逆に自分が諦める形になってしまった。
「俺にずっと着いていくんだろ?なら、馬ぐらいちゃんとしたのを持っておけ。」
「……!感謝致します!」
拱手する小沙良。それを微妙な表情で終は見つめる。やはり同年代に臣下の礼を取られるのは慣れそうにない。それでも、彼女を臣下にすると決めたからには、それらしく振る舞えるようには努力をしようと覚悟を改めた。
「待たせたな。こいつだ。」
戻ってきた馬超の後ろには、やや小柄な体躯の馬がいた。鮮やかな黒の毛並みに小柄な割にしっかりとした肉のつき方から一目で名馬とわかる。それを見た小沙良は、初めての、それも間接的とは言え終から与えられた馬を感動した様子で見つめていた。
「応竜って言うんだ。ちょっと小柄だけど、足の速さは涼州で一、二を争える。」
「……いいのかよ?こんないいの貰っちまって。」
「これでも足りないくらいなんだ。何も言わず、貰ってくれ。」
「…ありがとよ。」
馬超が手綱を小沙良に渡す。人懐っこい性格なのか、早速小沙良に甘えるように頭をこすりつけてきた。それに最初は戸惑いを見せるも、しばらくすると落ち着いて応龍の頭を撫でていた。相性は良いらしい。
「いつまで戯れているんだ?行くぞ、小沙良。」
「は、はい!」
終が麒麟に跨り、小沙良が応龍に跨がる。馬超たちと話す前から準備はしていたため、その背には旅に必要な諸々が入った麻袋がある。
「もう行くのか?」
「ああ、速くしねぇと面倒なのに捕まるからな。」
「そりゃ一体誰のことだ?」「それは一体誰のことかしら?」
二人分の女の声が、終に対して掛けられる。
手遅れだったようだ。
「……何時の間に?」
「前回のことがあるからな。この辺りに来るだろうと思って先回りさせてもらったのさ。」
「あんたの動向は、最も注意すべきことだからね。恋に報告をお願いしていたのよ。」
炎蓮の後ろから雪蓮が、賈駆の後ろから恋がそれぞれ顔を覗かせる。雪蓮は楽しげに笑い、恋は寂しそうに見つめていた。雪蓮の悪戯が成功したような意地の悪い笑顔をぶっ飛ばしたい衝動は我慢できるが、恋の見捨てられた子犬のような視線は放っておけない。だが、このまま残れば面倒になる。
どうしようか、と一瞬悩んだのが運の尽き。気がついたときには、何やら見覚えのある孫家の兵たちによって囲まれていた。
(ダメだな。これは逃げられん。)
一時とはいえ、かつて指揮をとった自分の兵に囲まれるという状況に、終は何とも言えない感情を抱きつつも逃走を諦めて麒麟から降りる。
「……それで、用件はなんでござましょか?」
「終、わかってんだろぉ?」
「あんたの処遇についてよ。」
知ってた。
端的にそんな言葉が浮かぶ。
「あんたの命令違反のせいで、こっちは色々と大変だったのよ!?今回の手柄を全て張温に譲ることでどうにかなったけど、おかげでこの戦で得られたものはないも同然になったわ!責任とって董卓軍の傘下に加わりなさい!」
「オイオイオイ、先にこいつを見つけたのは俺たちだぞ?なぁ、終。俺たちと一緒に来いよ。絶対に退屈はさせないぞ。」
「恋は私たちの軍に加わることを決めたわ!恋はあんたにとって特別なんでしょ!?一緒にいたいと思わないの!?」
「俺の娘に手を出しときながら、そのままサヨナラなんて男として恥ずかしくないのか?いい加減観念しろよ。」
互いに互いの主張を行うが、それの向かう先は一人。実質的な集中砲火を受けることになっている。当然、終の感じる疲労感は加速。逃げ道を塞がれた状況でなければ完全に思考を停止して話を聞き流すこともしていただろう。そして隙を見て逃げていた。
「取り敢えず、あんたらの言わんとすることはわかった。」
一通り主張が出たところで、終が言葉を発する。
誠に遺憾な事ながら、今の終にとって彼女たちからの勧誘は、誠に、誠に遺憾な事ながら、非常に有り難いものではあった。小沙良と言う明確な家臣を持った結果、それを養う必要が出来た彼は、安定した収入を得るために何処かへ仕官する必要に迫られている。小沙良が聞けば、何もなくとも仕える覚悟といいそうだが、終はそれを良しと出来るほど甘い考えの持ち主ではない。
「だが、ことがことだ。すぐには答えを出せん。」
終の個人的な感情を一切排除して勢力だけ見れば、どちらも一定水準以上の優良勢力だ。どちらについても、客観的に見れば損はない。ゆえに、ある程度しっかりと考えて選択をする必要性がある。
ちなみに、個人的な感情を多分に入れると董卓軍一択である。董卓軍には恋がいるし、何より無茶ぶりをしてくる主君もいないし、酒癖の悪い女傑たちに絡まれることもない。そもそもここから急いで立ち去ろうとした理由の一つが、一度孫家の目を搔い潜ってほとぼりが冷めたころに改めて仕官しようと画策していたからだ。今のまま仕官の話を受けようとしても、妨害を受けてなんやかんやで長沙に連行されるのが目に見えている。
補足だが、終は別に炎蓮等孫家の面々が嫌いな訳ではない。炎蓮は滅茶苦茶な所はあるが、それが良い意味で漢らしく写り、ある種の憧れを抱くほどでもある。雪蓮は孫家の世話になっていた時期に、良く自分を揶揄ってきていたため苦手意識があるものの、仲間と見た人物に対して情深い人間であることを知っている。他の孫家の面々についても、良いところが多いことは重々承知している。
だが、やはり振り回される未来が見えている以上、仕えたいとは微塵も思えないのだ。そこは、終の性分と孫家の家風の問題である。
「いっぺん、故郷に帰らせてくれ。その上で、あんたらのどっちに着くか答えを出す。……それで今は手打ちにしてくれねぇか?」
最もらしいことを言ったが、本音を言ってしまえば故郷に帰りたくなっただけなのである。先程まで急いでいた最大の理由はこれだ。
故郷を離れてから随分と経つ。星との約束の期日も大きく過ぎてしまっている。帰ったら十中八九ひどい目に合う未来は見えているが、不可抗力があったとはいえ、約束を破った自分が悪いので逃げるという選択肢はない。何より郷愁の念が堪えきれない。
「本当に、答えを出すんだな?」
「二言はない。」
何にせよ、終は自身が岐路に立っていることを理解していた。これが、自身の今後を左右する大事であるからこそ、一旦帰郷して心を落ち着け。しっかりと考えた上で、後悔のない答えを出そうと考えていた。
「なら、俺から言うことは何もないな。」
「……わかったわ。一応はその言葉、信じてあげる。」
炎蓮が合図を出し、囲いが解ける。説得が上手くいったことに、終は表情に出さなかったが、ほっとしていた。
「その代わり、恋をあんたに同行させるわ。念の為にね。」
「俺の方からも雪蓮を行かせる。当然、承諾するだろうなぁ?」
絶対に断る、とは言いたくても言えない。恋が同行するのは良い。雪蓮が同行するのが、彼にとって大問題だ。主に心情的に。
「……わかりした。」
逆を言えば問題点はそれしかないので拒否できるわけがない。個人的な感情で断れば、即長沙行きになるだろうことは目に見えている。
そんな終の葛藤を知ってか知らずか、雪蓮は楽しげに笑いながら終の隣に移動
「……(キッ」
しようとするも既に隣を占拠していた恋に睨まれ断念する。終、早速胃の痛みを覚える。
「あー、仁竜さん。今言うのもあれなんだけどさ。」
「なんだばちょさん?」
そこに申し訳無さそうに馬超が声を掛ける。終、嫌な予感を感じ、胃痛と共に頭痛を覚える。
「一つお願いがあるんだけど」
「俺もお供させてください。」
馬超の言葉に合わせて背後から現れる璃空こと龐令明。終、軽く目眩を覚え、危うく意識を失いかける。
「………一応、聞く。何故だ?」
「言ったはずです。俺の一生を掛けてでも、この恩は返すと───そのためには、まずあなたの近くにいる必要があると、そう思った次第です。」
終にとって、これは非常に既視感を覚える光景だった。具体的には、彼が益州にて小沙良の両親を救出したときと全く同じ状況だ。
言い方こそ違えど、璃空がやろうとしていることは小沙良と大差ない。なし崩し的にちゃっかり配下になる未来しか見えない。小沙良が配下になってしまっただけでもいっぱいいっぱいなのに、これ以上増えるなど看過できない。
「……あんたらは、これでいいのか?ずっと皆でいたいと思わないのか?」
こう言った手合は直接言っても無駄だと学んだので、すぐ近くで苦笑いしている馬家の姉妹達に救いを求める。
「そりゃいたいさ。でも、璃空は一度決めたら絶対に退かないからさ。」
「そうそう、一途というか、頑固というか……」
「真っ直ぐだよね。璃空は。」
「だけど、そう言うところに翠姉ちゃんは惚れてるんだよね?」
「蒼!」
最後に軽い漫才をして仲の良さを見せる姉妹だが、彼女らの言葉を要約すれば、『諦めてくれ』っと言うことだ。こうなってしまっては、彼としては完全にお手上げだ。
「そういうことです。これからよろしくお願いします!殿!」
「……………勝手にしろ。」
一人も二人も変わらねぇだろ。
半ば自棄糞じみた考えのもと、終は止めることを諦めた。
「それじゃあ、行くぞ。」
再び麒麟に跨り、元部下たちによって形成された包囲を抜ける。彼の後ろには、恋と雪蓮が互いに火花(主に恋側から)を散らしながら続き、さらにその後ろから小沙良と璃空が楽しげに話し合いながら続く。
そしてそのさらに後ろから、先程まで彼を包囲していた元部下達や、先の戦いで義勇兵として指揮下に入っていた者や、別の隊所属の義勇兵や、そもそも義勇兵ではない何処か正規の部隊に所属していたと思われる者などが、さも着いていくのが当たり前といった様子でゾロゾロと
「まてまてまてまて!!!」
目の端に写ってしまった謎事態に声を上げる。
気のせいかもしれないと振り返って見てみれば、そこには小規模の人の群れが出来ている。どう軽く見積もっても単純な旅の帰り道で引き連れる人数ではない。流石に色々物申したくなった。
「いかがなさいましたか?」
「明らかに人数多いだろうが!!軽く見て50人いるぞ!!?」
普通に大所帯である。決してただの里帰りで連れる人数ではない。
「俺達は、仁竜様の強さに惹かれました!」
「あなたの行く末を見てみたいんです!」
「是非とも、お供させてください!」
やべぇ、全力疾走してぇ
そう思うも、それをしたらしたで倍以上になってやって来そうな未来が見えたので、無駄であると解りながらも説得することにする。
「あのなぁ、気持ちは嬉しいけどこの規模で動くには相応の準備が必要でーーー」
「大丈夫」
ポンッと、大きめの袋が恋から渡される。中からはジャラジャラという音がする。
「詠がくれた。」
「ついでに、お母様も彼等に餞別としていくらか持たせているわ。」
「翠からも少し多めに融通してもらっています。どうぞお使いください。」
(詰んだああああ!!!)
今恋から渡された物を含めて、この小隊の総資産を軽く見積もった結果、どうあがいても説得は不可能であるという答えに行き着いた。資金不足による維持の問題が解決してしまったからだ。
こうなるともう逃げるしか手段が思いつかないが、美陽での戦いの折、終は常山の出であると高らかに名乗ってしまっている。あの地を虱潰しに探されたら、間違いなく居場所は特定されるだろう。そう考えると、この乱の鎮圧に乗り出した時点で詰んでると言えた。
「……お前ら俺を何だと思ってるんだよ。ただの田舎もんだぞ?」
「あなたみたいなのがただの田舎者なら、漢はここまで荒れてないわよ。」
最後の抵抗とばかりに卑屈な台詞を吐くも、至極真っ当に聞こえる言葉を返される。ここに至っては、もう仕方がない。
「……好きにしやがれ。」
終が進む。それに恋達を含む大凡50名近くの人間が続く。碌な訓練もしていない、雑多な人の群れは、不思議と息の揃った動きをしていた。
(村のみんな、驚くだろうなぁ。)
やや現実逃避気味にどう説明をするか考えながら、終は久方ぶりに帰る故郷に思いを馳せるのだった。
皆様、よいお年を




