25話 さようなら。声の届かぬ貴方へ。
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明後日になる。俺は今戸惑っている。
さち「ほら乗ってよ!」
渚「乗るって……!」
さち「背中に!」
渚「マジで言ってる?」
さち「マジだよっ!」
背中に乗って地上に降りるらしい、いや怖すぎるだろう。ジェットコースターを超える恐怖だ。
渚「の、のるわ、じゃあ!」
さち「いーよっ!」
渚「いくよ?」
俺は寝そべったさちの背中に乗る。
さち「いっくよー!」
渚「もう!?」
さちの羽が羽ばたく、空を……
渚「うわぁぁぁぁぁ!」
高い、怖い。
さち「暴れちゃダメ!」
渚「うん……!」
高すぎる。下を見たら終わる。
さちはゆっくり空を飛んでくれる。
さち「速度あげるよーっ!」
渚「う、うん!」
ビュン!
前よりも速くなる。でも……
渚「ひゃっほー!」
何故か俺は恐怖を忘れていた、とにかく楽しい。エキサイティングだ。
さち「あっこだ!」
さちがお家を指さす、さちが下降していく。
さち「よーし!着くよ!」
渚「おっけ!」
俺はさちの背中から飛び降りる、
さち「ついたぁ!」
そこは以前さちが住んでいたお家。
さち「……」
さちはちょっと緊張をしているようだ。
渚「いくよ。」
ピンポーン!
俺がチャイムを鳴らす。
さちのお母さん「はーい!だれかしら?」
渚「渚です!ちょっといいですか?」
さちのお母さん「ええ!わかったわ。開けるわよ。」
ガチャ
しばらく待っていると扉が開いた。
さちのお母さん「なんの用かしら。」
渚「あの……突然申し訳ございません。さちについて話したいことが……」
さちのお母さん「……」
さちのお母さんの表情が曇る。
さちのお母さん「さちについては話さないでくれると嬉しいわ。」
さちのお母さんが本音を俺らに伝える。そりゃそうだよな。
後ろにいるさちには気づいていない。残念ながらさちのお母さんには見えないようだ。そういう運命だった。
渚「どうしても話したいんです。大事なお話で。」
さちのお母さん「……どうしてもと言うなら……さちの事やっぱり忘れられないもの。」
渚「単刀直入に言いますが。さちが天使として生き返ってる。これ、信じられますか?」
さちのお母さん「ええっ!?」
……
俺はさちのお母さんに案内されて、ベランダある椅子に座
る。
さちのお母さんが、3人分のお茶を注いでくる。思っていたより素直に受け入れたようだ。
さちのお母さん「まさかうちの子が生き返るなんてね……」
渚「姿は見えませんが。ここにいるんです。」
さち「お母さん……!!会いたかったよ!さちだよ!ねぇ!」
さちが必死にお母さんに呼びかける。だが、残念ながら聞こえないようだ。
渚「さちがお母さんに会いたかったといってます。」
俺が翻訳をする。
さちのお母さん「そうなのね……!さち、私も会いたかったわ!」
さち「お母さんっ!……ううっ」
さちが涙を流す。
渚「あの、なんで信じてくれたんですか?」
さちのお母さん「……」
さちのお母さんが考える素振りをする。
さちのお母さん「だって、お茶がへってるもの、さっきからコップが浮いて……信じられなかったけど……本当なんだって……」
渚「……」
さちのお母さんは意外と細々までみているんだな。
さち「お母さん大好き!にー!」
さちが泣きながらお母さんへ愛を伝える
渚「さちがお母さん大好きって言ってます!」
さちのお母さん「私も……大好きよ!当たり前じゃない……!」
さちのお母さんも、一滴二滴涙を流す。
さち「お母さん……本当はお母さんとずっと一緒に居たかったよ……!ねぇ、聞こえる?」
渚「さちが必死に、一緒にいたかったよって、聞こえる?って!」
さちのお母さん「聞こえるわ……ちゃんと、声が届かなくても……あなたの思いは……私に聞こえてるわ……!」
お母さんが必死に叫ぶ
さち「お母さんっ……やだよ、ずっとそばに居たいよ……離れたくないよっ……!」
さちが涙ながらに呟く。
渚「さちは、お母さんのそばにずっといたいってひたすらお母さんに伝えています!」
さちのお母さん「私も……叶うのなら……さちとずっと一緒にいたかった……離したくなかったの!うぅっ、さち……」
さち「でも……私には新たな居場所が出来たから……天使のお仕事しなきゃだからっ……傍にいられないの……う
うっ……!グスッ……」
さちが涙ながらに伝える……なんて残酷なんだ。運命というものは。
渚「さちには新たな居場所ができて、もうお母さんとは傍に居られないって……ごめんなさい。」
さちのお母さん「あなたが謝る必要は無いのよっ……グスッ……わかってるわ、さちは天使になったんだものね……お仕事とか……あるもの……仕方がないわ……」
2人は離れる運命なんだ。
さち「お母さん……大好き……ずっと忘れないよ……ううっ……!ずっと……!ずっと……!大事なお母さんだから……ねっ……!」
渚「さちが……お母さん大好き、ずっと忘れない、ずっと大事なお母さんだからって……!」
さちのお母さん「私も……!さちが大事よ。世界一大切な私の娘よ……!!」
2人が泣きながら気持ちを伝え合う。俺の翻訳じゃ全ては伝わらないでも、それでさちの気持ちがお母さんに伝わるなら……
さちのお母さん「さち……生まれてから、低体重で、私……さちが亡くなっちゃうんじゃないかって、心配だったの、でも、すくすく育って、立派な女の子になってくれて……私は何よりも嬉しかった……!」
さち「うぅっ私はお母さんのおかげで大きくなれたんだよ……大好き……!」
渚「さちはお母さんのお陰で大きくなれたんですよ。大好きっていってます。」
俺の翻訳とともに会話を進める。さちが話す、それを俺が翻訳する、それをさちのお母さんが聞く。俺らは灯りをつけるのを忘れる程言葉を紡ぎ続けたんだ。しだいに夕陽が沈み、あたりが暗くなる。
さち「もう帰らなきゃ……私……もうここには居られないから……!」
渚「もう帰らないとらしいです。」
さちのお母さん「さち……もう終わりなのね……!……悲しいけれど……私はさちが天使として活躍することを祈るわ……っ!」
さちのお母さんが泣きながら呟く。
さち「ずっと……大好きだから!さようなら。」
さちが叫ぶでも届かない、またねじゃなくてさようなら。お互い。これ以上会うと辛くなるから、さちは無理して……
渚「ずっと大好き、さようならといってます。」
さちのお母さん「うぅっ……頑張るのよ……大好き……!行ってらっしゃいさち!」
俺がさちの背中にまたがり、さちが浮遊する。
さち「行ってきます。愛してるお母さん!!」
さちのお母さん「っ……!」
さちのお母さんが目を大きくあける……もしかして……
さちのお母さん「私も愛してるわ!!!」
さちのお母さんが叫ぶ。俺らは夜空を飛び立っていった。
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