少年、新しい仲間を紹介する③
「カレンとゴンちゃんは、闘気の修行だね。カレンはとにかく闘気の量を増やしてみよう。ゴンちゃんは闘気の質の向上を目指してみよう」
「はいにゃ!」
「・・・オイラ別に強くなりてえなんて言ってねえべ」
「まあまあ、べつにいいじゃないにゃ。乗り掛かった舟だにゃ」
ジュリアンがクリスティーナの指導をしているちょうど同じころ、ラルカはカレンとゴンゾの二人に闘気の修行をすることにした。二人とも潜在的な闘気の質と量は高いが、実際に出力されてはいない、とのジュリアンの評だった。だが、ヴァンパイアであるジュリアンは生命の力である闘気を持たない。そのためラルカが代わりを務めている。
「でも、鍛冶にだって闘気は重要でしょ。やってて損はないはずだよ」
「ま、確かにな。でも闘気の修行って言ったって、闘気の質の修行は授業で訓練してるべ。それじゃだめなんか?」
ヒショウのもとで闘気の操作の訓練は授業で定期的に行われており、カレンはもちろん、ゴンゾもまじめに訓練している。
「うんとね、それ以外にもう一つ方法があるの。しかも、質だけじゃなく量も増やせる方法」
「そんな方法があるにゃ!?」
「うん、ちょっとだけ大変だけどね」
その言葉に少し嫌な予感を感じる二人が顔を尻目に、ラルカは両手の掌を下に向けた構えを取り、
「はっ」
闘気を放った。白銀に輝く闘気が舞い上がる。質も量も二人とは天地の差がある。
「おおお・・・」
そばでクリスティーナに結界を教えていたジュリアンが思わず見惚れる。
(なんと雄大な。まるで戦の神そのものだ。そして美の神のように美しい。ああ、我が君よ・・・)
ジュリアンが祈るように跪いた。放置されたクリスティーナはどうしていいかわからずおろおろしている。
「今から僕の闘気を、二人にぶつけるから、闘気を出して耐えてみて」
「な、な、なんだってーー!」
「む、無理だにゃ!死んじゃうどころか、影も形も残らないにゃ!」
「大丈夫、攻撃するわけじゃないよ。僕の闘気を二人にかぶせるだけだから。それを押しのけるようにしてみて」
「どどど、どうすべ、あいつ、本気の目してるべよ!」
「だだだ、大丈夫にゃ。ら、ラルカのこと信じるにゃ、やるしかないにゃ」
「じゃ、いくよ!」
ラルカが闘気を二人に向ける。二人は闘気を全開に出し、それに抗おうと必死に闘気を放出する。この修練は川の流れに逆らって泳ぐように、強い負荷に逆らうことによって、一人で行うよりはるかに効率よく闘気の訓練をすることができる。ただし、ラルカのように質、量、操作すべてが高レベルの闘気の使い手が協力することが必要になる。ヒショウでさえ、生徒たちにこの訓練をすることは難しかった。全盛期であれば話は別だが。
「ぐ、ぐおおおおおっ」
「うにゃにゃにゃにゃにゃっ」
二人は必死で闘気を放っている。ラルカは二人の押し返す力と同じ力で闘気の圧力をかける。
「その調子。無理はしなくていいから、なるべく長く抵抗してみてね」
(あ、あいつ、意外とスパルタなんだな)
(た、確かににゃ、厳しいにゃ)
「あ、結構余裕そうだね。じゃ、ちょっと強くするね」
その宣告に二人が悲鳴を上げた。
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