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一度世界を救った少年は、再び世界を救う!?  作者: 長月楠


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少年、またまた魔物討伐へ②

「ジャリ坊。あんたが(かしら)なんだろ?あたしらの邪魔をするなって言われたのが、わからないのかい?」

「邪魔なんかしてないよ。お姉さんたちと同じように、魔物の討伐していただけだよ」

「それが邪魔だって言ってんだよ!」

 ナツメが声を荒げる。するとラルカの前に、ライラがかばうように進み出てきた。

「お久しぶりです、ナツメさん」

「久しぶり?」

「わたしは、七級義勇士のライラ・プルメリアと申します。覚えていないのも無理はありません。以前に狂戦士の栄誉(グラディオル)が中心になって、ギルド総出てオーガの大集団を討伐した時に、スタルクさんの率いる部隊の末席にいただけなので」

 ライラが頭を深く下げた。ナツメがふん、と鼻を鳴らす。

「お気を悪くしたのなら申し訳ありません。しかし、わたしたちに狂戦士の栄誉(グラディオル)の方々の邪魔をする気はないことを知ってほしいんです」

「なら、ここから出ていきな。ここはあたしたちのなわばりだ。あんたらジャリどもにうろうろされちゃあ迷惑なんだよ」

「そ、それは・・・」

 ライラが言葉に詰まる。ライラはあまり口が上手くないらしい。

「ねえ、お姉さん」

 そんなライラを助けるように、ラルカが口を開いた。

「なれなれしい呼び方はやめな。あたしはスタルクと違ってジャリは嫌いなんだよ」

「じゃあ、ナツメさん」

 素直にラルカは呼び方を変えた。

「この森って、最近強い魔物が出てくるようになったって聞いたんだけど、理由って知ってる?」

 ナツメの眉がピクリと動いた。

「言ってる意味が分からないね。なんであたしに聞くんだい?」

「だって、ナツメさんほどの人が目標とする魔物がこの森にいるってことでしょ。以前はダイガンさんもこの森にいたし。何か知っていると思って」

 ライラたちが顔を見合わせる。そう言えば、なぜダイガン達はこの森を狩場にしているのだ。本来ここは学生の練習に使われる森であり、村焼き以上の魔物が出ることはほとんどなかったはずだ。

「あたしらも最近その噂を傘下の連中から聞いたのさ。眉唾だと思っていたが、実際グレイシアレオもいたからね。他にも強力な魔物がいるかと持って探しているのさ」

「そうなんだ」

 ラルカがうんうんと頷いた。

「迷惑をかけたのならごめんなさい。だけど、僕たちも大切な仲間のため、どうしても魔物を討伐する必要があるんだ。ナツメさんたちの邪魔はしないので、見逃してください」

 ラルカがぺこりと頭を下げた。ナツメはじっと見つめたまま、何もしゃべらない。が、突然空を見上げた。ナツメの目が大きく見開かれる。

「?」

 ライラたちも空を見上げた。するとはるか上空に、巨大な翼を広げた魔物がとんでいる。

「あれは、コカトリスじゃないか!?」

 ライラの指摘通り、その魔物はコカトリスだった。災禍規模は街薙ぎで、フロストクイーンと同じである。ライラたちの顔は恐怖の色で染まったが、対照的にナツメは笑みを浮かべた。

「ふふふ、なかなかの獲物じゃないか。奴は石化魔法を使うからね。コアは高く売れるはずだ」

 ナツメは腰にぶら下げていた円月輪を構えると、赤い闘気を込めコカトリスに向かって投げた。円月輪は回転しながらコカトリスに高速で向かっていき、その首を跳ね飛ばした。円月輪がナツメの手元に戻ってくるのと、コカトリスの死体が地面に墜落したのはほぼ同時だった。

(やはり強い。あれほどの魔物を、たった一撃で)

 ライラは心の中で驚愕していた。自身も月光竜胆を得て、雷魔法も習得し、以前よりはるかに強くなったつもりだったが、ナツメと自身の力の差は決して小さくはないことをまざまざと見せつけられた。

「悪いねジャリども、獲物は早い者勝ちなのさ」

 ナツメは配下の義勇士たちにコカトリスの解体を命じた。

「ほら、さっさと消えな」

「い、行こう、ラルカ」

 ライラがラルカの袖を軽く引っ張った。が、ラルカは何も言わず、空を指さした。

「え」

 その方向を見ると、そこには先ほどより一回り大きいコカトリスが殺意を持った目でこちらを見つめていた。先ほどの個体のつがいなのだろうか。

「お、こりゃいい。もう一体も仕留められるなんて、ついてるね」

 ナツメは怯えるどころか愉悦の笑みを浮かべ、再び円月輪を構える。しかし、ラルカがそれより先にコカトリスに向かって飛びあがった。

「なにっ!?」

 ナツメが驚愕の声を発した時にはすでにラルカはコカトリスを自身の刀の間合いへ捕えていた。

(うぐいす)

 臥龍を抜刀一閃ラルカが頭上に月を描くと同時に、コカトリスが頭から尾まで両断されていた。まだ空中にいたラルカは一瞬で納刀し、両手を大きく広げる、と同時に両手から炎の翼が生え、二つにわかれたコカトリスの肉体を一瞬で灰にしてみせた。

(あれは、上級火魔法、天翔炎翼(フェニックスウィング)!?)

 数多くの魔法使いを見てきたナツメも、天翔炎翼(フェニックスウィング)を詠唱破棄で発動するのは初めて見た。仲間のゲルもかなりの火魔法の使い手だが、さすがに上級魔法の詠唱破棄はできない。ラルカがナツメの目の前に降りて来ると、ラルカとナツメの間にコカトリスのコアが落ちてきた。先ほど天翔炎翼(フェニックスウィング)で燃やす前に、これだけは切り出していたのだった。

「獲物は早い者勝ちだよね?」

 ラルカはナツメに向けて一つウインクした。

「ね、コカトリスって肉や羽は処分していいんだよね?」

 ラルカがクリスティーナに確認する。クリスティーナは呆然としていたが、

「は、はいぃ、コカトリスは全身に毒を持っているためぇ、コアと魔石以外は価値がないので換金対象外ですぅ」

 何とか自身を取り戻し返事をした。ラルカはにっこり笑うと、地面に落ちているコアを拾うためにしゃがんだ。

「・・・・」

 ナツメは黙ったまま、静かにそれを見ている。ラルカは拾ったコアを童子の宝物庫(トイ・ボックス)へ放り込み、

「じゃ、僕たちはこれで」

 踵を返してナツメの前から去って行った。

「な、な、なんだあのガキ、ば、化け物か!?」

「し、信じらんねえ、何が起きたか全くわからなかったぞ」

 ナツメの手下の義勇士たちが騒ぎ出す。

「あ、姉さん、いいんですか?奴ら、帰って行きますけど・・・」

 恐る恐る、一人の男が訪ねる。ナツメは舌打ちを一つすると、

「帰るよ」

 不機嫌な言葉に、周りの男たちは身をすくませた。ナツメが歩き出し、男たちもそれに従う。ナツメは右手で、のどをさすった。

(リキッドの奴が正しかったか)

 ナツメが不機嫌なのはコアを先取りされたからではない。先程ラルカがコアを拾おうとしたとき、誰にもわからないようにラルカに対し殺気を放った。それは首元を円月輪で切りおとすような強烈なものだった。だがその瞬間、逆に喉笛を刀で貫かれていた。それがたとえただの殺気でも、並の戦士なら気を失っていただろう。

(何者だ。マジで魔女の隠し子じゃないだろうね。他のガキはともかく、あのジャリだけは敵に回すべきじゃないね。一応ダイガンにも話しておくとするか)

 ナツメの顔がイラつきで歪む。周りの男たちは八つ当たりされないよう、下を向いて目を合わせないようにしていた。

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