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一度世界を救った少年は、再び世界を救う!?  作者: 長月楠


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少年、祖父に会いに行く③

「ふむ、どれがいいかのう」

ガドンが工房を見渡し、その中にある武器の中から一つの斧を持ってきた。ライラが今までもっていた斧より長いものの、刃の部分は若干小さい。

「これを振ってみなさい」

「は、はい」

ライラがその斧をもって素振りをする。

(す、すごい、ぴったりだ)

手になじむどころの話ではない。まるで長年愛用した武器のように自在に動く。

「ふむ、お嬢さん、あんた魔法も使うじゃろう」

「!は、はい」

自身の奥の手をあっさり見抜かれて驚くライラ。ガドンは一瞬でライラのある程度の力量、戦術、経験値を見抜いていた。

「じゃがあくまでメインは斧の攻撃じゃな。ならば魔力親和性は臥龍ぐらいでよいか」

「がりょう?」

「僕の刀だよ」

ラルカが自身の二振りの刀を取り出した。

「こっちが臥龍。もう一つが鳳雛。おじいちゃんが、僕が七歳の誕生日にくれたの。臥龍のほうが硬いけど、鳳雛のほうが魔力親和性が高いんだ」

魔力親和性が高い武器は、魔法を武器に付与する、いわゆる魔法剣のような使い方をした際高い効果を発揮する。また魔法に対する防御力も高くなる。しかし逆に硬度や強度は下がってしまうため、高ければいいというわけではない。

(そうか、こいつの刀もマレウス様の作品なのか、どうりで)

ライラはラルカの刀の切れ味を思い出した。

「ふむ、長さは今の斧より若干長めでもよいな。それにお嬢さんは腕力もある。重めでも問題なかろう」

ガドンの頭の中にはすでに具体的な武器の形が浮かんでいるようだった。

「ラルカよ、すまんが十日後にまた来てくれんかの」

「うん、いいよ」

「お頼みいたします」

ライラが深く頭を下げた。

「あ、そうだおじいちゃん、ちょっと耳貸して」

ラルカがいたずらっ子のような表情を浮かべ、ガドンに何か耳打ちしている。ガドンもふむふむ、と頷いている。その表情もラルカのようににやけている。

(・・・なにをたくらんでいるんだ)

ライラは血のつながらない二人が似ている、と思った。

「ほほ、まかせなさいラルカよ。なに、そのくらいならすぐにできる。安心しなさい」

「うん、じゃあ十日後また来るね」

ラルカが楽園への扉(エデンズゲート)を広げる。しかし、何かを思い出したのか、すぐにしまい、代わりに童子の宝物庫(トイ・ボックス)を出した。

「そうだおじいちゃん、僕が預かってた金属、ここに置いておくね」

童子の宝物庫(トイ・ボックス)から次々と金属の塊を取り出す。

「おお、そういえばラルカに預けておったのだな、すまんの」

(?)

ライラが首をひねる。見たことがない金属ばかりだ。銀色に輝く金属は一瞬鉄かとも思ったが、よく見ると鉄など比較にならない美しさだ。黒い色のものは石にしか見えないが、金属なのだろうか。赤い色のは金属のようなガラスのような不思議な質感をしている。青い色の金属は鈍い光を発しており、ただならない雰囲気を醸し出している。そういえば、ラルカの刀、臥龍も同じような色をしていた。

「な、なあ、いったんこれはなんだ?」

なんとなく嫌な予感がする。

「あ、これ?うんと、この銀色のが、ミスリル」

「みっ」

「あとこの黒いのがアダマンタイト。この赤いのがヒヒイロカネ。で、この青っぽいのがオリハルコン」

「お、お、オリハルコン!?」

ラルカが出した金属はすべて非常に貴重な金属である。最も安いミスリルでさえ金以上に高価だ。アダマンタイトは全ての金属の中で二番目の強度を誇る。ヒヒイロカネはその美しさから宝石として取引もされている。オリハルコンに至っては神の金属とも呼ばれ、それでできた武器が店頭に並ぶことはあり得ない。

「ちょ、ちょっとまて、まさかそれで、わたしの武器を作るって言うんじゃないだろうな」

「?そうだよ?」

「?そうじゃよ?」

「?ソウデスヨ?」

あたりまえだよ、といった表情を浮かべたラルカ。タロス77号を蹴り飛ばすガドン。呆然として言葉が出ないライラ。オリハルコン製でしかもマレウス作の武器となると、その価値は国家予算クラスになる。ライラの頭がフリーズした。しばらくのちライラの頭が復帰すると、鉄製でいいと言うライラとオリハルコンメインの合金で作るというガドン&ラルカの口論がしばらく続き、結局ライラが押し切られたときには、夕方になってしまった。

「おじいちゃん、バイバイ。またね」

「よ、よろしくお願いいたします」

ラルカとライラが楽園への扉(エデンズゲート)で帰って行くと、ガドンは寂しそうな顔をした。タロス77号がその肩をポンと叩いた。ガドンが振り返ると、タロスがバカにするような笑みを浮かべていた。ガドンはその顔に拳をめり込ませた。




「よかった。何とか夕ご飯の時間に間に合ったね」

ラルカとライラが寮に戻るとちょうど夕食の時間になった。ライラは野外訓練の時に迷惑をかけたことをカレンとクリスティーナに謝罪したが、二人ともなんで謝られたかわかっていなかった。そもそも迷惑をかけられたと思っていなかったのだろう。二人の優しさが、ライラの胸を締め付けた。その後ゴンゾも含めた五人で食事をした。ライラにとって、こんなに大人数での食事は初めての経験だった。

「ふう、おなかいっぱいだべ。明日は休みだな、精一杯ごろごろすんべ」

「精一杯の意味、まちがってるにゃ」

「わたしはぁ、蔵書室で借りた本、返さないとぉ」

「じゃあ、そろそろ寝よっか。みんなお休み」

ラルカの声にみんながそれぞれ部屋に向かう。しかしライラは、何か考えるようにそこを動かない。

「・・・」

「ライラ?」

ラルカが気になって声をかける。ライラは何かを決心したように、大きく一つ深呼吸をした。

「ら、ラルカ。明日、付き合ってほしいところがあるんだ」

「明日?」

「あ、ああ、ラルカがよければ、だが」

「うん、もちろんいいよ」

快諾したラルカの返事に、ライラが安どの表情を浮かべた。

お読みいただきまして、ありがとうございます。

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