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一度世界を救った少年は、再び世界を救う!?  作者: 長月楠


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少年、少女たちと共闘する③

「ひ、ひいいいいい」

 三人の生徒たちは、互いに抱き合って震えている。魔物の群れはそれを見て笑っているように見えた。数体のラクシャーサの中央に、ひと際大きく、腕も四本ある魔物がいた。その魔物が首からぶら下げているのは、髑髏で作られた首飾りだった。また新たなコレクションを増やすつもりなのだろう。彼らに付いていた義勇士は勇敢に立ち向かったが、あっけなく倒されてしまい、今地面に倒れている。

「ぐふふ、ごいづのあだまだげはのごせ、ほかはぐっでいいぞ」

「う、うまぞうだな」

「ごどもいいはいいな。にぐがやわらがい」

「だ、誰か、たすけてくれぇっ!!」

 生徒の悲鳴に残忍な笑みを浮かべた魔物の腕が生徒の頭を引きちぎらんと伸びてきた。しかし、魔物の腕は、何かに阻まれた。

「!!!!??」

 魔物は何が起きたかわからないようだった。生徒たちの周りに、結界が張ってある。それが魔物の腕を防いでいた。

「良かった、間に合ったみたいだね」

 ラルカが間一髪、結界を張ることに成功した。

「あ、ら、ラルカ君!!」

「大丈夫?けがはない?」

「う、うん、ありがとう」

 三人の生徒はほっとした表情を浮かべ、そして泣き出してしまった。無理もない、彼らは才に恵まれているとはいえ、まだ十五なのだ。四本腕の魔物は苛立たしげにラルカをにらみつける。そこに遅れてライラたちが到着した。

「ひっ!」

「にゃっ!」

 カレンとクリスティーナの二人が、四本腕を見て絶句する。明らかにラクシャーサよりはるかに強い。それどころかここまで強力な魔物は見たことがない。さすがのライラも冷や汗が流れる。

「なんだぎざまは。おまえがらさぎにぐっでやる」

 しかしラルカに焦る様子は一切なく、左手をその魔物に向けると、無言で炎帝の魔弾(ノヴァ)を放った。大爆発が起き、四本腕を含むラクシャーサ達は一瞬にして灰になった。

「う、うそにゃ・・・」

「はわわわわわ」

「・・・ちっ」

 三者三様のリアクションだが、全員ラルカの桁違いの強さにあっけにとられている。ラルカは即座に生徒たちの結界を解くと、地面に倒れている義勇士に駆け寄った。先ほど義勇士にも結界を張っていたため爆発には巻き込まれていないものの、気を失っており、胸から腹部にかけて大きな傷ができていた。

「うわ・・・」

「ひ、ひどい」

 内蔵が見えるほどの深い傷だった。まず助からない、全員がそう思った。しかしラルカは彼の傷に手をあてがい、回復魔法・強化治癒(ハイヒール)をかける。すると徐々に傷がふさがっていく。

「す、すごいぃ」

 クリスティーナは、自身の回復魔法と比べてあまりのレベルの違いに自信を失いかけてしまった。

「うう・・・」

「あ、気が付いた」

 義勇士が目を覚ました。

「あ、ありがとう、助かった。突然ラクシャーサ達が現れて、不覚をとった」

「あの魔物は倒したので、安心して」

「き、君たちが!?」

 義勇士が疑うのも無理はないが、巨大な焼け野原を見て、何かを悟ったようだった。

「す、すごいな、特にあの四本腕はかなりの強さだったはずだが」

「あ、あの魔物、たぶんラーヴァナですよぅ」

「ラーヴァナ?」

「はいぃ、ラクシャーサの上位種でぇ、災禍規模は街薙ぎだったはずですぅ。しかも火属性だからぁ、火は効き難いはずなんですけどぉ」

「ま、街薙ぎって、ほんとにゃ!?」

「し、信じられん、街薙ぎを倒してしまうとは。今年の新入生は粒ぞろいと聞いていたが、ここまでとはな」

「あ、それは違うにゃ。ラルカがおかしいだけだにゃ」

 全員うんうんと頷いている。

「ありがとう。このことは支部長のヒショウさんにも報告しておく。我々は戻るとするよ。君たちはどうする?」

「あ、僕たちは後から帰ります。まだやることがあるから」

 そうか、と言って義勇士と生徒たちは、改めてラルカたちに礼を言い、帰って行った。

「ラルカ、どうしたにゃ?やることってなんにゃ?」

「うん、まださっきの魔物の生き残りがいる。そいつらを倒そうと思って」

「ま、まだいるんですかぁ」

「いったん探索魔法で探し出してみるよ」

 そう言ってラルカは探知魔法の詠唱を始めた。

 ――――我が権能の前に何人も隠し通すこと能わず

魔眼の視手(バロール)

 通常探索魔法は、風魔法の探知(サーチ)を指すが、ラルカが使用したのは空間魔法の魔眼の視手(バロール)である。一見探知(サーチ)と大差ないように見えるこの魔法は、性能も難易度も全く別の魔法だ。探知(サーチ)は周囲に自身のマナを飛ばし、その反応から魔物等を発見する。そのため相手にも逆探知されやすく、最悪周囲の魔物すべてが集まってくる可能性すらある。また魔物の正確な種類は探知不能で、体の大きさやマナの強さしか判定できず、闘気の強さはわからないため、小型で物理攻撃型の魔物の場合その強さを見誤る可能性もある。しかし魔眼の視手(バロール)は空間魔法のため同じ空間魔法を使用する者しか逆探知は不可能であり、実際に見るように探査可能なため、その正確性は探知(サーチ)とは比べ物にならない。ラルカはその魔法で、ラクシャーサ達の生き残りを難なく発見した。

「いた。でも、ちょっとまずいな」

「何がまずいにゃ?」

「うん、どうやら二つのグループがあるみたいなんだ。しかもちょっと離れてるんだよね」

「なら、一方はわたしが行く」

 ライラの言葉に、三人が一斉に顔を見た。

「放っておいたらまた被害が出るだろう。もう一方はお前に任せる」

「ちょ、ちょっと待つにゃ、一人で行く気かにゃ」

「あああ、危ないですよぅ、わたしたちも、一緒に行きますぅ」

 ラルカは少し考えると、

「じゃ、ライラたちは、あっちの方向の魔物を頼むね。距離はだいたい300バルティン(588m)ぐらいだから。僕はこっちに行く。けど、無理はしちゃだめだよ」

「言われるまでもない」

 そう言ってライラが走り出すと、慌ててカレンとクリスティーナもついて行った。

お読みいただきまして、ありがとうございます。

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