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一度世界を救った少年は、再び世界を救う!?  作者: 長月楠


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少年、魔物狩りに行く③

「じゃあ、そろそろヒショウ先生のところに戻ろっか」

 先ほどバーゲストを倒した後に、さらにもう一体の魔物を仕留めたところでラルカ達は戻ることにした。

「うん、もう疲れただよ」

「でもぅ、ゴンゾさん、結局一回も戦っていなかったんじゃあ・・・」

「お、オイラはいいんだよ。オイラは鍛冶師になるんだから、別に弱くたって」

 ゴンゾの言葉にラルカが笑っていると、カレンの豹の耳がピクリと動いた。

「?どうしたの、カレン」

「うん、なんか遠くで人の争う声が聞こえるにゃ」

「だれかぁ、ケンカでもしてるんでしょうかぁ」

「別にほっときゃいいべ、そんなの」

「うーん、でも、怒鳴っているの大人の声のような気がするにゃ」

「そうだね、ちょっと見てこようか」

 ラルカたちは声のする方向へ向かうことにした。


「おい、おめえら誰に断ってここで狩りしてやがんだ」

 その声に生徒たちは身をすくませた。生徒をかばうように、指導役の義勇士が声の主に相対する。

「だからこれは、学園の戦闘訓練だと、何度も言っているだろう」

「だからじゃねえ!この魔物は、俺たちの獲物だったんだぞ!どうしてくれんのかって聞いてんだよ」

 初めに怒鳴っていた男とは別の男が怒鳴った。

「魔物の討伐対象が被った場合は、先に戦闘をしていた者に所有権があるはずだ」

「なあ兄ちゃん、そんなこと聞きたいんじゃねえんだよ」

 また別の男がニヤニヤと下卑た笑みを浮かべ、義勇士の肩に手を置く。

「5アウグスで許してやるよ、それだけ置いて帰ってくんねえか」

「・・・ふざけるな」

「ふざけてねえよ。お前だって、俺たちともめたくはねえだろう?おとなしく渡したほうが身のため――」

「ねえ」

「「「「「「うわっ!?」」」」」」

 ラルカが突然義勇士と男たちの間に顔を出した。

「・・・あれはラルカの癖なのかにゃ」

 後を追ってきたカレンたちもあきれ顔だ。

「な、なんだこのガキは!?」

「あ、僕ラルカです。初めまして」

 ぺこりと頭を下げる。

「あ、これはどうもご丁寧に」

 五人の男たちのうち、おっとりした顔の男がつられて頭を下げた。彼は根は悪い人間じゃないかもしれない。

「バカ野郎、何頭下げてやがんだ!」

 リーダー格の男がどなる。

「おいお嬢ちゃん、これは大人の話なんだ、さっさと帰ってな」

「僕は男の子だよ!」

「ら、ラルカさん、今それどころじゃないですよぅ」

 クリスティーナがラルカの脇腹をつんつんする。

「いいかい坊や、俺はこの兄ちゃんと話をしてんだ、危ない目にあいたくなきゃさっさと帰んな」

「でも、さっきお金よこせとか言ってたでしょ?確かそんなことすると、ギルドから処罰されるんじゃない?」

「そ、そうだにゃ。ここには支部長のヒショウさんもいるんだにゃ。処罰されたくなかったら、謝ったほうがいいにゃ」

 カレンの言葉に、男たちは顔を見合わせる。が、直後に大笑いしだした。

「な、何がおかしいんだにゃ」

「ははは、何が支部長だ、笑わせるな。いいか嬢ちゃん教えてやる。俺たちゃ、“狂戦士の栄誉(グラディオル)”の一員なんだぜ?」

 その言葉にカレン、ゴンゾ、クリスティーナの顔が青ざめた。指導役の義勇士も奥歯を噛みしめている。

「わかったか?ならすっこんでな。痛い目にあいたくなければな」

 そういうとリーダーの男は指導役の義勇士の胸ぐらをつかんだ。

「おい、やさしく言っているうちにさっさと出しな」

「――くっ」

 義勇士が悔しさを噛み殺し、頷こうとした次の瞬間、リーダーの男の手首をラルカが掴んだ。

「あ?なんだこのが――」

 その次の瞬間、ラルカはその男を屑籠に放り込むように遠くに放り投げた。一瞬で姿が見え亡くなり、星になった。

「へ?」

 残された男たちも、義勇士も、あっけにとられている。

「どうしたの?さっきの人、追いかけなくていいの?」

「ば、化け物か!?」

「あ、そうだ。あっちの方向にある池に落ちるように投げたから、死んでないから安心していいよ」

「あ、それは痛み入ります」

「ば、バカ、何礼なんか言ってんだ!は、早く助けに行くぞ!このガキ、覚えておけよ!」

 男たちが走り去っていった。

「あ、ありがとう、助かったよ」

 残された義勇士がラルカに頭を下げる。ラルカも「どういたしまして」と頭を下げた。

「しかし、まずいことになったな。狂戦士の栄誉(グラディオル)ともめ事を起こしてしまった。支部長に報告しておかないとな」

 暗い顔で義勇士がつぶやいた。

「ねえ、狂戦士の栄誉(グラディオル)ってなに?」

 ラルカの質問に、全員驚いた顔をした。

「お、お前、狂戦士の栄誉(グラディオル)もしらんのだべか?」

「うん、なにそれ?」

「ぐ、狂戦士の栄誉(グラディオル)っていうのは、義勇ギルドに所属するパーティの名前なんですぅ」

 クリスティーナが怯えた表情で話し始めた。

「彼ら自体は五人だけのパーティなんですけどぉ、傘下に従えているパーティが数百もいてぇ、世界最大の構成人数を誇っているんですぅ」

「闘神様やヨミ学長が冥府に行った後、急速に力を伸ばしたんだにゃ。今じゃ各ギルドの筆頭パーティ以上の権力を持っているって噂だにゃ」

「だがらおめえ、目をつけられたら面倒じゃ済まねえぞ」

「ふーん、そうなんだ」

「そうなんだっておめえ・・・」

 あきれたようにゴンゾがつぶやくと、義勇士が暗い雰囲気を変えるように

「ま、とりあえず支部長のところに戻ろう。大丈夫、支部長にはしっかり話しておくから」


「そうか、それは大変だったな」

 義勇士から報告を聞いたヒショウは、腕を組んで何か考えているようだった。

「ちなみに、そのパーティの名前はわかるか?」

「はい、ヘルズドックスの連中でした」

「そうか、狂戦士の栄誉(グラディオル)の中でも新参の、かなり下っ端のメンバーだな、ダイガンも恐らくそこまで問題にはしないだろう」

 ほ、っと義勇士が息をついた。ヒショウはラルカたちに頭を軽く下げた。

「すまないね、みんな。なに、安心してほしい、彼らには私から厳しく注意しておく。君たちに手は出させないよ」

「せ、先生が謝ることじゃないですよぅ」

「そうだべ。悪いのはあいつらだよ。ヒショウ先生はなんも悪ぐねえっぺよ」

 ゴンゾがヒショウをかばうように言う。

「でも、あの人たち別に対して強くなかったよ。あの人たち全員よりカレンのほうがずっと強いよ」

「にゃっ!?」

 突然名前を出されたカレンが驚いた声を出した。

「はは、それはカレンの師としてはうれしいかな。まあ、彼らは末端の構成員だからね。確かに戦闘力はあまり高くないだろう。ただし」

 ヒショウは人差し指を立て、ラルカの目を見てはっきりと言った。

狂戦士の栄誉(グラディオル)のオリジナルメンバーの五人は、甘く見ないほうがいい。たとえ君であろうとね」

お読みいただきまして、ありがとうございます。

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