表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
一度世界を救った少年は、再び世界を救う!?  作者: 長月楠


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

112/131

少年、人の醜さを思い知る③

「ふー、おなかいっぱいだべ。もうなんもはいらねえだよ」

 ゴンゾが膨らんだ腹をさする。食事も終わり、寮の自室に戻るところだった。

「カレンもにゃ。こんなにお腹いっぱいになったの初めてかもにゃ」

「まったく食べ過ぎた。子供じゃないんだから、腹が痛くなっても知らないぞ」

 あきれたようにライラがつぶやく。因みにラルカはライラの背中ですでに夢の中だ。

「しかしあのお方の料理は見事であった。普段の料理も確かに素晴らしかったが、あのような繊細な料理もできるとは」

「はいぃ、最後のプディングも最高でしたぁ」

「オイラ三回もおかわりしちゃっただよ」

「カレンは五回にゃ!」

 ライラは仕方ないな、と息をついた。とは言え怒る気にはなれない。皆安心から連日の疲れがどっと押し寄せていたところだった。もちろんライラ自身もだった。

「よし、じゃあ明日は授業だ。遅れるんじゃないぞ」

 ライラは寝たままのラルカをジュリアンに託し、男性陣に別れを告げた。その時、遠くから走ってくる人影が見えた。

「あれ、あの人・・・」

「か、カレン!!」

「ポールさん?」

 やってきたのは義勇士のポールだった。必死に走ってきたのだろう、汗だくになっている。

「どうしたにゃ?ポールさん。そんなに急いで」

 呼吸を落ち着かせたポールに訝しげに尋ねる。走ってきたにもかかわらず、顔が青ざめている。

「ポールさん?どうしたんだ?」

 尋常ではない様子に、ライラも尋ねる。

「みんなも一緒か、ちょうどよかった。どうか、落ち着いて聞いてほしい」





「・・・なんでにゃ」

「・・・・」

「・・・・」

 カレンの言葉に、返事をする者はいない。ラルカも、ライラも、皆呆然としている。孤児のユン、リリ、フウが住んでいた小屋の中には、貧しくとも小さな幸せがあった。だが、今あるのは絶望だけだった。

「・・・なんで、なんでなのにゃ」

 六人の目の前で、ユンとフウが泣いている。今までの幸せな生活がもう戻らないことを知り、言葉にならない感情を吐き出すように。大声を張り上げ、体の中からあふれ出る悲しみを洗い流すように。

「・・・なんで、なんで、なんでにゃ」

 ヒショウの眼からは涙がこぼれている。拳を握り締め、床にたたきつけた。その衝撃で空になったポーションの瓶が乾いた音を立てて転がった。

「なんで、リリが死んじゃったにゃ!!」

 冷たくなったリリにすがりつき、カレンが叫ぶ。夜空の月は、しかしそれでも美しく輝いていた。

お読みいただきまして、ありがとうございます。

ご感想、評価、リアクションお待ちしております。


しばらくは毎日投稿しますので、応援よろしくお願いいたします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ