第99話 統合失調
「The Mutation」の会場での事件で、愛利が死んだ事を知った父は日本に戻ってきた。一人娘の愛利は最後に父の顔を見たのは1年前だった。
愛利は幼い頃から、時々おかしな行動をとったり誰もいないのに誰かに語りかけたりたと、まだ小さいからあまり気にはしてなかったが、小学校に入っても変わらなかったので、専門家に診てもらった結果、統合失調症と診断された。
愛利は母親は亡くしており、父と2人で暮らしてきた。愛利の催眠の能力は5歳の時から既に目覚めており、無意識に鏡を使って自分自身に催眠をかけたのだ。その催眠は妹がいるという催眠だった。愛利は兄弟がいないことを気にしていたため、弟や妹を欲しかったのだ。そんな中、無意識に使用した催眠を自分にかけて、自分には妹がいると完全に信じ込んでしまったのだ。まだ自分の能力に自覚が無いため、それが催眠状態になっているとは知る由もない。
自分に催眠がかかった状態で今日に至るまで過ごしてきたのだから、統合失調症と診断されるのも無理はない。
催眠状態で15年間生きてきて、自分の能力に気がついて、他人に次々と催眠をかけていって一線を越えてしまったが、一番最初に催眠にかけたのは自分であり、愛利の催眠の能力は自身で解除するか、死ぬかで解除される。自分にかけた催眠はもはや気付くこともないので愛利の中ではそれが当たり前になっていたのだ。
ムタチオンという、生まれながらにして人とは違う能力を身につけた者。それに一生気付かないで終わる者もいれば、気付いてそれを使う者も出てくる。この世界では数千ものムタチオンがいると言われている。さとしの目的はなぜムタチオンがいるのか、なぜムタチオン同士は争うのか、それらの真意に迫ることだ。




