第86話 みゆを止めろ
祐也は、第3支部の高層部である父に愛利の催眠能力の回避方法を聞いていた。
「催眠系統の能力は基本的には、対象者と目が合うかどうかが重要な点だ。だから催眠を回避するのは奴と目を合わせない事だ。」
「分かった。」
高層部の里山は、目を合わせることで催眠に掛かってしまうと断定した。
「たしかに、今まで催眠に掛かってる奴らは全員愛利の視界に入る範囲だ。だから中層部の道中や俺たちは操られなかった。」
さとしは中層部の吉川幸子と協力をする。
「幸子さん、俺がみゆの足を押さえるから、その隙にあんたの能力で動きを封じてくれ。」
「分かったわ。」
幸子の能力は触れた者の筋肉を一定時間硬直させることが出来る能力を持っている。これを使えばいくら操られていても、物理的に動けなくすれば止めることが出来るのだ。
「みゆちゃん、このままだとあなたも一緒にM部隊に目を付けられてしまうわ。」
さとしはスロー効果で100分の1秒効果を発動したが、なんとみゆの速度はさとしが想像する以上に速かったのだ。
「なんだと。」
みゆは知らず知らずのうちに成長しており、高速移動の速度が大きくなっていたのだ。
「おいおい、飛行機並じゃねーか。」
普段空に飛んでいる飛行機だが、実際飛行機の速度で地上を、さらに室内で移動するとなると見えない程の速度になってしまう。さとしはさらに100分の1秒から200分の1秒にし、ようやくみゆの動きを捉えた途端に、こっちに向かってくるのが分かった。さとしはさらに50分の1秒を増して250分の1秒にし、みゆが突進する直前にしゃがみ込み、みゆの両足首を手で掴んだ。掴んだ途端、勢いでさとしも200mほど吹き飛んでしまった。みゆの動きが一瞬止まったのでそのすきに幸子に動きを封じてもらった。みゆの表情は無表情で一切の感情が無くなっていた。
「触れている限り動きを止められるけど、いつまで持つか。」
「ああ、愛利って奴がそれに気付いて俺らにも催眠を掛けようもんならもうどうにもならなくなる。」
「でもM部隊の中層部を舐めたらいけないよ。もう一人この会場には中層部の道中さんがいる。道中さんは中層部でも1位2位を争う実力者。私では歯が立たない人物よ。」
道中はこの状況でやむを得ないと判断し、能力の大型の発動をすることにした。
「このままだと負傷者が増える一方。何よりこれだと俺の立場が無くなっちまう。山下愛利、M部隊の中層部を舐めてもらっちゃこまる。お前程度の能力なんざ世界にはくさるほど存在している。調子に乗ってると痛い目にあうぜ。」
道中は大型の発動を使おうとしていた。




