第65話 面会
2015年5月17日…さとしらが乗る車は新潟に向けて走っている。みゆは携帯を充電して親に電話をかけようとしたが、さとしが一回止める。
「まてまて、何て説明するつもりだ、正直にムタチオンに攫われて、俺たちが助け出すためにアジトに向かったなんて言ったら後々面倒な事になるぞ。」
言われてみればそうだった。普通にあったことを話せば後々さとしらも面倒な事になるからだ。そうなればお互いムタチオンだということもバレてしまう。さとしや健太も言い訳を考えていた。
「これはどうだ。帰るときに道に迷ってしまって仕方なくネットカフェで泊まっていたのはどうだ?」
「アホか、そんなん言い訳にならんだろう。だったら携帯の電源が切れるはずがないだろう。」
「これならどうだ、誰かに道を聞かれてそのまま遠い所まで行っていたとか。」
「それじゃあ誘拐になっちまうだろう。」
さとしらの議論が続いて、ちえこが解決策を出した。
「あんたたち、本気でそんな言い訳考えてるの?本当に子供なんだから。私の地区でカラオケ大会があったから、歌が得意なみゆちゃんを呼んで私の所にいたってことにして、携帯は学校に置いたままで、みゆちゃんは親に連絡済みってことにしておいて、私は連絡はしていたものだと思っていたってことにすればいいじゃん。」
「なるほどーそれは思いつかなかった。」
「でも怒られるのは避けられないかもね。捜索願とか色々出てるかもしれないから、みんなに謝ってね。」
「わかった。」
「正直俺たちは一線を越えた事をしてるからな、そういう事態になることは当たり前だ。もしこの俺たちのしていることがバレたら家にもいれなくなるし、地元にもいれなくなる。完全にお尋ね者になってしまう。だから絶対に本当の事を言ったら駄目だ。」
ちえこはみゆの母親に連絡をした。母親は電話に出てみゆの知り合いということを話してみゆと変わった。
「あんた連絡もしないで何してんの。皆心配したんだよ、誘拐でもされたんじゃないかって、警察にも学校にも連絡してるんだから、明日皆に謝ってよね。」
「ごめんなさい。携帯を学校に置いてきちゃって、まあいいだろうと思ってて、こんな大事になるとは思ってなかったの。」
「なるに決まってるでしょ。高校生の女の子が一人帰ってこないんだから色々考えるよ。あとさとしくんたちもそこにいるの?」
「さとしも来てるよ。」
「ちょっと変わりなさい。」
「みゆのお母さんすいません。てっきり連絡はしているものかと思っていまして。」
「あんたも夜中時々抜け出すってね、みゆとこっそり色々してるらしいけど、面倒事を起こすなら別れて。」
「ちょっとそれは言い過ぎだよ。」
「いいえ、別れなさい。さとしと付き合うようになってからあんたは色々騒動に巻き込まれてる。そういうのを呼び寄せる人とは付き合うなって言ってんの。」
「私はさとしとは別れないから。」
「別れないなら家に入れないわ。」
それから3時間して家に到着した。さとしらは皆に謝って担任にも謝った。母親は今後さとしと連絡も近付くのも禁止した。
それから1日がたって、夜になり、さとしはみゆにメールをするが、アドレスや電話番号も変わっていた。みゆの部屋では抜け出したりしないように、外側から鍵を付けられた。さとしも抜け出したりしないように、窓には鉄柵が取り付けられた。
「くそ、まだまだいっぱいやることがあるのに、涼太もいないし、みゆとも話せなくなった。」
一方、長野にある精神病棟に入れられている涼太は、母親と面会をしていて、さとしに渡して欲しいという手紙を渡した。母は涼太が渡した手紙をさとしに送ることにした。
「絶対渡して。」
涼太はこの状況から一刻も速く抜け出したかった。




