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「ムタチオン」  作者: 使徒佐さとし
第六章 誘拐編
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第64話 吉本の不満

 さとしは吉本に家族の事を聞くと吉本は離した。

 「そうだ、俺には嫁と息子がいる。息子はいま小学4年生だ。」

 「あんたの息子さんや嫁さんも、あんたは出稼ぎに行ってると思ってる。15年も前から既にこんなことしていたなんて、思ってもいないだろうな。」

 「仕方ないんだよ。お前らガキどもに何がわかる。毎日毎日同じことばっかり言われるし、言われたこともちゃんとやって、やりたくてやってる訳じゃない。それでもちゃんとやってるのに認めてくれない。俺がどんだけ努力しても結局言われることは一緒。そして給料もろくに出ないし。そしていつも俺ばっかりが使い回しにさせられる。これが毎日続くんだぞ。」

 「あんたの言いたい事はわかる。俺も学校では孤独だ。小さい頃から誰にも相手にされなかった。こっちから話しかけても無視されるし、俺は何もしていないのに、勝手にトラブルの犯人にさせられるし俺には味方がいなかった。そんな時俺は自分のこの能力を発見して、いつかは世界中の誰もが俺を無視できない存在になる事が俺の夢になってた。でもそれは簡単な事じゃない。たとえ犯罪だとしても簡単には世界は注目しない。」

 「だから俺はそっちの道に行ったんだよ!せっかくの能力を有効に使わないって、もったいないと思わないか?いいか、俺たちムタチオンは選ばれた者だ。世界でたった数千人しかいないと言われている中の1人なんだぞ。せっかくの能力を使わないと死んだら何も残らないんだぞ。」

 「あんたの気持ちは分かる、俺も似たような事を考えたことがある。誰かに注目されたいが為に、1回スーパーで万引きをしようとした時があった。でもな、一人の少女にそれは止められたんだ。その少女は無言で向こうを指さした。指さした方を向いたら万引きして警察に連行されていく人がいた。俺はそれを見て恐くなって万引きをするのを止めたが、今思えばみゆだったんだな。今ほど髪は長くはなかったけど、みゆだった。」

 「そういえばあの時さとしに会ってたんだね。」

 さとしは祐也に合図をして、祐也は倉庫の外へと出て行った。

 数分ほどして戻ってきたが、吉本の妻の咲と、息子の健太郎だった。

 「咲、健太郎!?なんでお前らが。」

 「パパーもう止めて!」

 「話は全部この子達から全部聞いたよ。もうM部隊には連絡してるし、直にあなたを捕まえに来る。」

 「なんて事をしてくれたんだ。」

 祐也は既に吉本の家族たちにこのことに関して連絡していたのだ。すでにM部隊の中層部の吉川幸子にもこのことは連絡してあり、吉川が1人で来るように言っておいた。

 「パパ、変なお金で僕に何かくれたりしてるなら僕は嬉しくないよ。僕はパパの働いている姿を見るのが好きだったのに。そんなことはもう止めて。」

 「上京して上手く行ってると思ってたのに、まさかそんなことしてたなんて。」

 外を見ると夜が明けてきて、すでに時間は朝の5時を回っていた。吉川が倉庫に来て、さとしらとも対面した。

 「あなたが吉本八郎だね。」

 吉川はそっと吉本に近づく。そこで咲が吉川に聞く。

 「八郎は、どうなるんですか。」

 「最終的に決めるのはうちの高層部ですけど、これだけ長い期間活動をしているとなると、無期懲役は免れないかと。」

 「パパーいつでもいいから、家に帰ってきてね。僕いつまでも待ってるから。」

 「行ってらっしゃい。」

 吉川は無効化剤を吉本に打ち込んだ。これで、吉本は能力を一定時間使えなくなる。

 「祐也くん、ありがとう。教えてくれなかったらもう手遅れになってたよ。」

 「いえいえ、俺はこのまま黙っていたら良くないと思ったからさ。」

 吉本の残りの仲間はこの後M部隊の下層部が処理をした。

 日が明けていて、今日は日曜日の朝だ。今からちえこの車に乗って新潟に帰る。みゆの着ていた制服はボロボロになったので、カバンに入っていたジャージに着替えた。

 「もう何回制服を買ってんのか・・・」

 祐也はここで別れて三重に帰った。

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