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「ムタチオン」  作者: 使徒佐さとし
第六章 誘拐編
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第63話 予想外の実力

 健太の首にはスタンガンを突きつけられていて、いつスイッチを押されるか分からない。ちえこには刃渡り15cmほどのナイフを突きつけている。吉本は少しでも動いたらこの2人の命は無いという。そして吉本は一瞬さとしの方を向いた。すぐにみゆを見たが何も変化は無い…と思われたが、みゆの両手にはいつの間にか健太とちえこを脅していたスタンガンとナイフがあった。それに気付いた脅していた2人は健太の首を絞めようとした。健太は瞬時に自前のナイフを取り出し、相手の右腕を切った。相手はその場に倒れこむ。そしてみゆが健太にしゃがむように指示した。すると一瞬でもう1人が倒れた。吉本からみると何が起きているのかが分からなかった。

 「貴様、一体何をした」

 「何って、見えないくらい速くナイフとスタンガンを奪っただけ。このくらいの距離なら0.5秒もかからないよ。」

 みゆから健太たちのいる所までおよそ5mあるが、みゆの高速移動を使えば5mなんて0.05秒しかかからない。それは瞬きと5倍しかかわらない時間であり、少し目を離した時間で十分間に合った。その間にさとしも100分の1のスロー効果で見ていたためすぐに分かった。100分の1効果なら、通常の1秒間を1分40秒に拡大して見ることができる。最大の1万分の1秒ならほとんど止まって見えると言える。さとしはスロー効果を使ってなんとか熱による混乱を和らげている。

 吉本は吹っ切れて、残り48人の仲間にみゆを取り押さえるよう指示した。全員みゆを取り囲んで健太からは全く見えなくなった。みゆのオーラを見ていた祐也は驚いていた。

 「これは・・・」

 吉本の仲間はナイフや日本刀や六尺棒などをたくさん持ち出し、一斉にみゆに向かってきた。吉本は余裕な顔をしていたが、みゆも余裕な顔をしている。

 数秒ほどして、よく見ると一人ずつ倒れていくのが分かる。何人かが吉本の目の前に飛んできた。そして一人がちえこの方に飛んできた。

 「ちえこさん!伏せて!」

 ちえこは祐也の指示通りにしゃがんだ。その瞬間頭上に飛ばされていく仲間がいた。

 「離れてないと、俺たちも危ないぞ」

 健太たちは一旦その場を離れた。そしてわずか数分で全員を倒したのだ。吉本はみゆに触ろうとみゆに向かってくるが、当然みゆの速度に付いていけるはずもなく、疲れて触るのを止めた。吉本はみゆの圧倒的な力に驚きを隠せないでいる。

 「なんて力だ・・・」

 「さとしの熱を解除して」

 吉本は能力の差を感じて諦めた。さとしに掛けていた熱を解除した。

 治ったさとしは立ち上がって吉本に話しかける。

 「あんた、福岡に家族がいるだろ」

 さとしは吉本に妻や息子の事を聞いた。

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