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「ムタチオン」  作者: 使徒佐さとし
第六章 誘拐編
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第61話 再び

 2015年5月16日…計画実行まであと16時間となった頃、みゆの母と父は警察に駆け込んでいた。

 「まだ見つからないんですか」

 「我々も必死に捜索していますが、未だに手がかりも掴めてません」

 「じゃーもっと捜索範囲を広めてよ」

 あれから3回警察に聞いてるが毎回答えは同じであった。母親は全く進まない捜索に警察に対して不信感を持つようになった。

 一方さとしの親たちもいつの間のか家にいないさとしに驚いていた。

 「今帰ってきたけどさとしがいないんだ。電話にも繋がらないし」

 「昨日の夜はいたんだけど」

 「夜中に抜け出したんじゃないか」

 「まさかみゆちゃんを探しにいったんじゃ・・・」

 「なんてことだ・・・」

 さとしの母親はみゆの母親に行ってさとしもいなくなった事を伝える。

 「まさか、死んだと思って自殺でもしたんじゃ」

 「そんなこと言わないでよ、おそらく探しに行ったんだと思う」

 「探すってどこに?電話も繋がらないの?」

 「全然繋がらない、どこにいるかも分からないし」

 「さとしの友達に何かしらないか聞いてみれば?」

 さとしの母親は健太の母親に聞いてみると、健太もいないということが分かったのだ。

 「みんな探しに行ったんだと思う」

 この事は近所中で話題になり、大騒ぎになってしまった。学校には先生らにも連絡が錯綜し、警察にも問い合わせが殺到していた。いつの間にか、みゆ、さとし、健太の3人が行方不明の扱いになってしまっていた。

 一方さとしらは、ちえこが運転する車で首都高を走っていた。

 「一応東京に着いたが、先月修学旅行で来たがこんな形でまた東京に来ることになるとはな」

 「東京についても、吉本のアジトを突き止めないとな」

 「そうだな、ここからが大変だ」

 「いいかお前ら、これから吉本のアジトに向かうわけだが、近所の迷惑なおっさんの家に乗り込んで文句を言うとか、喧嘩相手の家に行って謝ってもらうとかのレベルではない。これは一歩間違えたら殺される可能性もあるんだ。現実は映画のようにはいかないぞ」

 「それは十分に分かってる、俺たちは既に一線を越えたことをしている。M研メンバーに入った時点で覚悟はしてる」

 夜になり、計画実行まであと11時間を切ろうとしていた。吉本は計画の段取りの最終確認をしていた。

 「実行は今からおよそ11時間後の明日の午前8時だ。これは今までの強盗とはレベルが違う、お前らも10年以上一緒に行動してきたが、今回で最後とする。成功したら一生遊んで暮らせるだけの報酬をお前らに与えるつもりだ」

 「任せとけ」

 「準備は整ってる」

 「いつでも万全だ」

 その時、倉庫のシャッターが大きな音を立てて開いた。

 「止めといたほうがいいぞ」

 そこに現れたのは、さとしと健太と祐也とちえこだった。みゆは叫んだ。

 「さとしー」

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