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「ムタチオン」  作者: 使徒佐さとし
第六章 誘拐編
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第58話 最終計画

 一方の吉本のアジトでは、計画の確認をしていた。

 「計画の実行は今は日付が変わって土曜日になってるから、正確には明日の朝の日曜日に行う。相手はムタチオンに特化しているM部隊が警備しているから、中途半端な侵入だとすぐに終わりだ。だから、堂々と突破する。」

 「堂々としても、全警備が俺たちに向けられてそのあと応援が多数来るだろ。」

 「そこはこいつに任せる。」

 吉本はみゆを指して、笑みを浮かべている。

 「こいつの能力なら数十人相手でも対抗できるだろ。警備は川田みゆに任せておいて俺たちはその間に現金を頂いていく。」

 至ってシンプルな作戦だ。吉本はみゆに日銀を襲撃させて、正面で争っている最中に現金をもらっていくという算段だ。しかしみゆはこの作戦に疑問を持った。

 「仮に現金を奪ったとしても私はどうすればいいの?」

 「作戦が終わったらお前は用無しだ。お前ほどの実力だと中層部、あるいは高層部が来て一気にやられて終わるだろうがな。そうしている間に既に俺たちは金を手に入れていて、その場にはいない。」

 「なんて奴、私がどうなっても関係ないんでしょ。」

 「そうだよ、お前くらいどうなったって俺には関係ねえ。」

 「あんたって最低だね。」

 その時、吉本は能力を発動し、みゆの体温を上げた。みゆはたちまち、苦しくなりもがき始めた。

 「口には気をつけろ、お前は計画を実行するために必要だから生かしているだけだ。」

 みゆはどうするかを考えたが現状では何も出来ない事に気づく。

 (逃げようと思えば能力を使えばこんな所一瞬で出られるけど、あいつは私に触れてから一度も他の人に触ってないから、どこに逃げてもあいつの能力の支配下にある。誰かに助けてもらうしか方法がない。あの時落とした赤い紙をさとしは気付いてくれたかな。気付いてるなら早く来てよ・・・)

 みゆはポロポロと涙を流した。

 「今更何を泣いてんだ、どこに逃げたって俺はこれからも誰にも触れたりせずにいれば、ブラジルに行っても俺の能力によって、支配されるだけだぞ。俺の能力は一人しか使えないが、逆にどこにいてもそいつをピンポイントで攻撃できる。」


 一方さとしらは、ちえこの車で東京に向かって走っている。さとしは祐也に吉本の経歴などのデータを見せてもらい、調べている。健太は万が一に備えて得意のナイフを持ってきた。そしてさとしが言う。

 「これから吉本のアジトに向かうわけだけど、これは敵の本拠地に殴り込むという行為だ。相手もそこらの不良やチンピラとはわけが違う。下手したら全員殺されるかもしれん。だから、俺たちだけではどうにもならんかもしれん。だからM部隊の中層部の吉川さんに協力してもらうことにした。」

 さとしは吉川の連絡先を持っていて、何かあったら連絡するように言われていた。


 吉本の計画を実行するのは日曜日の朝8時であり、計画実行までの時間はあと31時間だ。

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