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「ムタチオン」  作者: 使徒佐さとし
第六章 誘拐編
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第57話 素性

 「奴は危険指定されてるのか。」

 「そうだ、吉本は危険指定されてる。」

 「ならそっちにデータとかあると思うのだが。」

 「あるぞ、ちょっと待ってくれ。」

 祐也は、M部隊のホームページから、ユーザー名とパスワードを入力して危険指定されているリストをダウンロードした。危険指定リストの情報は、M部隊に直接情報提供者として申請し、アカウントをもらう。このアカウントはM部隊に悪影響が及ばないと判断した人のみに提供されるものだ。通常のページではリストは見れない。祐也は父親が第3支部の高層部でもあるので、この程度なら教えてもらったのだ。祐也はダウンロードした内容を印刷してさとしに渡した。さとしは、第3支部が現在把握している吉本八郎に関しての全ての情報を見た。

 「吉本八郎、1969年12月3日生まれで今年で46歳になる。身体的特徴では、身長180cmに、右目の下にホクロか。人の体温をコントロール出来る能力を持っており、M部隊より100万円の賞金が掛けられている。」

 詳細情報を見てみると、過去に吉本が犯した犯罪などのデータもあった。さとしが生まれて間もない頃から現在まで強盗などの活動をしている。

 「こいつ、結婚してるのか。」

 しばらくして、ちえこがさとしの家に来たので、さとしらは、ちえこの車に乗って東京に向かった。さとしは一連の流れを確認する。

 「いいか、日付が変わってるから昨日の夕方になるが、みゆは駅からすぐ手前の交差点付近でさらわれた。あそこはこの時間になると、人も少ないし交通量も少ない。それにあそこは防犯カメラがないから、目撃者がいなかったら本当に分からない場所だ。東京からわざわざ来たってんだ、相当念入りに調べた所からかなり前からみゆの行動を観察していたと思われる。そうでなければ、あんな簡単にさらわれるはずがない。」

 「それならみゆも気がつかないはずはないと思うが。」

 「それがちょっと不思議なんだ。あいつは人一倍警戒心が強いから、誰かに見られたり監視されてたりするとすぐに気がついて能力を使うなりして、その場から消える。そのみゆが気がつかないとは考えづらい。」

 「なら気がついてたけど、さらわれた可能性はないのか。」

 健太がそう言うとさとしには一つ心当たりがあった。

 「そう言えば最近、やけに周りを警戒する日が多かったな。どうしたのか聞いても何も無いって言うからあまり気にしていなかったが。」

 「やっぱり前々から後を付けられてたんだな。」

 「仕方ないさ、あいつは他の女子とは比べものにならないほどの美貌だからな。スタイルもいいし、そこらのグラビアアイドルよりもいいだろう。とても高校生には見えない。市街地にいったらコスプレだと思われるくらいだからな。」

 「まじかよ、たしかに言われてみれば高校生に見えないよな。なんか大人の女性って感じ。」

 「10人とすれ違うと9人は振り返るほどの実力を持ってるからな、ナンパされることがよくあって、少々自分はイケてる思考があるから、案外もろいところがあるんだな。」

 「どんな実力者でも必ず弱点があるからな。俺は川田さんにさとしの弱点聞いてるから、言うこと聞かなかったらそれをやってくれって言われてるし。」

 「余計な事を教えたな・・・」

 ちえこが運転する車は現在東京に向けて進行中である。




「ムタチオン」初投稿から1年です!

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