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「ムタチオン」  作者: 使徒佐さとし
第四章 修学旅行編
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第34話 クラスの輪

 2015年4月27日…本来なら20日から2年生は学校に戻るが、今回の出来事で1週間延期となり、今週から授業を再開することとなった。退院したさとしらは、いつもは気にかけもしないのに、皆はさとしを心配していた。さとしは小さな声で大丈夫と言うがさとしも予想外の事が起きた。

 「さとし、お前こいつを助けたんだってな。ありがとうな。」

 「あの時さとしがいつもとは違う雰囲気で俺を必死に抱えて建物に避難させたんだ。」

 さとしはあの時、同じクラスの男子がそばにいて、足を怪我してして、歩けなくなっていた所をさとしは助けていたのだ。こんな状況に演技もくそもないとさとしは必死に生徒を助けた。さとしはここまでくると演じる必要性を感じなくなったため、さとしはついに前髪で隠れている顔を出して皆に本当の気持ちを打ち明けた。

 「俺は小さい頃から友達もいなかったから、人との接し方が分からなかったんだ。でも今回の件で分かった気がするよ。皆は俺を無視してた訳じゃなかったってことが。」

 すると皆が思っていた事を口にした。

 「何言ってんだ、俺は逆に心配してたんだぞ。何か悩み事でもあるのかって。もし明日来なかったら自殺でもしてるんじゃないかって。」

 さとしは改めて自己紹介をして、入学して1年、初めてクラスの輪に入ったと実感したさとしだった。

 このことがたちまち学校中で広まり、一気にさとしを見ようとしてくる女子が急増した。そう、さとしは中々のイケメンだったので、それに気付いた女子がたちまちさとしに近寄るようになってしまった。連絡先やしまいには付き合ってと言ってくる肉食系もいた。こんな経験はさとしは今までなかったのでどうしていいか分からずさとしは逃げてしまった。しかし女子たちは追いかけてくる。すぐにさとしは人気者になってしまった。

 「やっぱ今までのままで良かった気がする。」

 そこで健太がさとしに話しかけてきた。

 「集団ってのはこういうもんだ。初めは誰も知らない人でも次第に各グループが誕生して、気が合う人同士でつるむようになる。そのどのグループにも属さない一人でいる人がいると、皆は逆にこいつは一人のほうが良いんだろうと思ってしまうんだ。一度そうなると中々抜け出せない。さとしは凄い奴だよ。今まで誰も相手にしなかったのに、今日この日で一気に人気者となってしまった。分からないもんだな。」

 いくら演じていても、実際に人とあまり関わってこなかったのは事実で、何を話して良いか分からなかったが、これだけは絶対に話題にしないと決めていることがった。

 「ムタチオンの話題は絶対こっちからは振らないことにしている。」

 人と話す機会が増えたということは自分がムタチオンであるということに気付かせる可能性が上がったとも言えるからだ。さとしらの研究はまだ始まったばっかりでこれからもムタチオンの研究は続く。

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