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「ムタチオン」  作者: 使徒佐さとし
第三章 中層部編
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第24話 ムタチオンの歴史

 2015年3月…中層部の一件から5ヶ月が過ぎて、さとしらも間もなく2年生になる所だ。

学校は春休みに入っており、さとしらはのんびりと…いや、ムタチオンの研究に忙しかった。

 M研メンバーは週に数回集まっており、お互いの研究の報告をしていた。現在課題となっているのは、ムタチオンの歴史について解明することである。教科書には軽く触れているだけで、具体的な事は記されていない。みゆの知り合いの富山大学にいるちえこも現在ムタチオンの共通祖先を調べている。2014年10月の名古屋での騒動から5ヶ月、あれから日本の治安も心なしか悪くなったようだ。ムタチオン関連のニュースも良く耳にするようになった。最近ではアメリカのM部隊の第1支部が動くといったことも起きている。

 この世界には生まれながらにして人間離れした能力を持つムタチオンと呼ばれる人類がいる。世界にムタチオンは1000人ほどいると推定されているが、ある大学の研究報告によれば、実際はその10倍の1万人はいると推測される。もともとM部隊はムタチオンの対策によって設立された特殊な組織である。ムタチオンの出現は1907年の時に確認されていて、当時戦時中だった各国では、並外れた力を持つ者によってその国はだれも勝てない強大な国となってしまった。その国はアメリカだが、さとしの推測によれば、アメリカの強大な力はムタチオンが関係していると予測し、圧倒的な力で制圧したその力はその時すでにムタチオンが使われていたと思われる。そのアメリカにM部隊の本部があるからますます不思議な話である。さとしは第二次世界大戦が終了後にM部隊を設立したので、戦時中のメンバーがそのままM部隊になっている可能性が高いと見ている。さとしによれば、この真相を知っているのは当時を生き延びたアメリカにただ一人しかいないある人物が手がかりだと言う。しかし、さとしの身分を考えればその人物に会うことはほぼ不可能に等しかった。

 歴史や哲学など幅広い知識を持つ健太によれば、ムタチオンが出現しているのは歴史的に見れば全て大事件が起こった時と同時期に出現していて、大事件の起こる間隔を計算すると、1000年周期で起きていることが分かった。つまりムタチオンは1000年に一度に地球上に出現し、100年から200年ほどかけて衰退していくという。遺伝子プールを考えると全く成り立たないので、ますます分からなくなる。計算が得意な西村によれば、現代のムタチオンの最初の発見から108年が経過しており、現在はムタチオンの全盛期だと言う。西村曰く近年のうちで様々な事が起こる可能性があるので、要注意が必要だという。

 ムタチオンの記録に関しては古代遺跡とかで記録が残っているという。西村と健太でムタチオンの繁栄したと推定される時期の古代文明を調べた。そこにはマヤ文明と古代エジプトが浮上した。マヤ文明が栄えていた15世紀頃にメキシコ人による侵略で滅亡したと言われているが、これらにムタチオンが関わっていると記録があるが、詳しい事は分かっていないようだ。

 今から5000年ほど前の古代エジプトではムタチオンとより密接に絡んでいるとのこと。             1日の長さを24時間に決めたとされる古代エジプトでは、世界を変えるほどの事件が起こる際にムタチオンがいつもいることになり、現代に出現しているムタチオンを考えれば、21世紀中に何かが起こるということが予測できるのだ。毎年のように年末に「たけ○の超常現象ファイル」の番組では○槻教授や韮○による超能力の議論が繰り広げられているが、毎度のことで全く結論を出せないでいる。さとしも何年も続く議論で呆れているが、さとしは何としても答えを出したいようだ。

 「謎は大きく分けて3つだ。1つ目は古代の文明はムタチオンの襲撃によって滅びている。2つ目は当時ではあるはずのない現代の乗り物や技術などの予言を記した壁画。3つ目は俺たちムタチオンはこの先どうなっていくのかだ。」

 ムタチオンで生まれた以上、いくら大人しくしていても必ず同じムタチオンと出会うようになっているという。

 その日、M研は一時解散し、各自家に帰ったが、休みなのでみゆはそのままさとしの家に泊まることにした。

 夜、みゆとさとしは見晴らしのいい場所に行って、星を眺めていた。さとしはムタチオンの話をしていた。

 「俺の推測だと、全ての歴史的大事件にはムタチオンが絡んでいると見ている。そして俺たち自身もその事件に巻き込まれるのではないかと思う。」

 「それもいいけどたまには休まない?」

 さとしはここ最近ムタチオンばっかりで、全く遊んでいなかった。

 「そうだな、新学期まで時間があるし、たまにはのんびりと過ごしてもいいな。」

 「さとし、この場所始めて喧嘩した場所だよ。」

 「そうだっけ。」

 「もう、いつもそうやって大事なこと忘れてるんだから。この前の名古屋の騒動もそうだよ、あの日私の誕生日だったんだよ。」

 みゆの誕生日は10月22日で、この時ちょうど中層部の幸子と北村が対峙していた時だった。さとしはすっかり忘れていたのだ。

 「でも次の日ちゃんと祝っただろ。」

 「当日じゃないと嫌だもんね。」

 みゆはかなりの神経質で待ち合わせ時間も1秒の誤差も許さないほどであるため、1日遅れは相当なものである。さとし自身も時々付き合っている事も忘れてしまうほどムタチオンの研究に没頭している。というより作者自身もこの設定は忘れていたようだ。

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