第23話 実行する時
「なんで?それでどうして私の家族が殺されないといけないの?」
「たまたまお前らだっただけだ。別に他の奴らの可能性もあった。」
「あなたもそんな思いしてるなら、私のこの辛さが分かるはずよ。願っていた弟も出来て、大好きだったぬいぐるみも手に入れて、年末には海外旅行で盛り上がっていたのに、これから楽しいことが待っていたのに、それが突然訳の分からない奴に奪われる。私はあなたを捕まえる為にM部隊に入って調べまくった。家族にはもちろん友人にも絶対に話してはいけないM部隊の仕事。年に1~2回しか帰れないし、それ以前に実家はもう無いし。あんなことが起きなければこんな道を歩まずに済んだ。普通の女の子になりたかった。私の時間を返してよ。」
気が付くとさとしとみゆは既にこの場にはいなかった。さとしらは電車を使って新潟に帰っていた。
「勝手に帰っちゃっていいの?」
「いいんだ。あれは吉川さんと北村の問題だ。俺たちは何も口出すものは無い。あとは何とかするだろ、それと任意同行中だから拒否した。」
さとしはあくまでも任意同行で来ているので拒否すれば帰ることは出来る。さとしはムタチオンのあり方について再び考えさせられることになった。
一方、北村と対峙している幸子は北村の能力により幸子は苦戦を強いられていた。いくら動きを止める能力を持っていても触れることができなければ効果はない。北村はさらに突風を出して、幸子を屋上から落とそうとした。
「この前の強盗も俺が指示したのさ。俺はこの国のシステムを変える為に国家規模のテロを考えている。その手始めに銀行を襲わせた。だがどうだ、今はM部隊がいるからその程度ではすぐに抑えられる。ムタチオンのお前なら分かるよな?M部隊はどれほどの驚異かを。そのM部隊に入ってるお前もお前だ。」
北村は突風で幸子を落とした。幸子は手で柵を掴み落ちるのを防いだ。なんとか上りきって、立て直す。すると、北村の胸ポケットから1枚の写真が落ちてきた。その写真には北村の家族が写っている写真だった。幸子はそれを見て北村に抱きついた。
「あなたも家族を大事にしてたんなら、どうしてそういうことをしたの。世の中は残酷で血も涙もないけどね、一人一人を見ていくとそうでもない事もある。同じ状況で悩まされている人は大勢いる。決して私やあなただけじゃないの。みんな頑張って生きてきてる、生きたいのに生きれない人もいる。こうして生きてられるだけで良いじゃない。今さら仇討ちとかしても無くなったんだからもう戻らない。もういいでしょう?」
いつの間にか北村の体は動かなくなっていた。この隙に能力で北村の動きを封じたのだ。
10秒間動きを止められるが常に体に触れていると常時動きを止めることができるので、このままムタチオン刑務所へ連行することとなった。幸子はさとしの件については忘れることにした。




