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「ムタチオン」  作者: 使徒佐さとし
第三章 中層部編
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第22話 仕返し

 名古屋に到着し、早速被害がでた場所へと向かった。そこには立ち入り禁止区域となっていたが、M部隊の中層部である幸子は難なく入ることができる。さとしらも一緒に入った。この場所は2014年7月にさとしとみゆが大阪のホテルに止まっているときに見ていたテレビのニュースにやっていた、6000万円の銀行強盗の現場のすぐ近くである。この当時のニュースを思い出したさとしは確信した。7月の強盗が起きた場所と同じ場所で被害が起きている。明らかに偶然ではないのだ。この強盗の犯人はM部隊の下層部が逮捕しているため、幸子も当然この事件は知っていた。幸子も強盗の場所と同じなので今回の事件と7月の強盗事件が絡んでいると見た。

 現場から10km離れたビルの屋上からさとしらが現場を捜索している様子を見ている男がいた。その男は幸子の家族を失わせた北村だった。北村は10階建ての高さ30m程度のビルの屋上から望遠鏡でさとしらを観察していた。北村はさらに被害を出す模様だ。それに気付いたみゆはみんなに報告する。

 「10km先のビルの屋上から私たちを見ている男がいる。」

 それを聞いた幸子とさとしはみゆに合図をした。さとしと幸子は車に乗りそのビルに向かった。みゆは能力を発動して北村がいる屋上へと移動した。北村がいるビルの屋上までわずか1分40秒で到達した。突然消えたみゆの姿に驚く北村はあたりを見渡すとみゆは既に北村のすぐそばに立っていた。北村はみゆに問いただす。

 「何者だ?」

 みゆは何もかも全て話した。すると北村は大きく笑いだす。

 「ククク、それで仇を討ちに来たとでも言うのか?」

 みゆは能力を発動し、北村に突進しようとする。秒速50mで突進したが、北村の出した突風により押し戻された。

 「俺の風は風速100mまで出すことが出来る。お前がいくら高速で移動しても俺の風より速く移動しない限り俺に攻撃することはできない。」

 久々の強敵だった。みゆの最高速度は毎秒100mなので、全力を出しても北村の速度も100mなので、物理的に考えると勝負はつかないからだ。

 遅れて幸子とさとしも屋上に上がってくる。この状況にさすがのさとしも危機感を感じた。幸子は北村を29年ぶりに見たが、その風貌は未だに残っている。幸子は北村にあの事件のことを聞いた。そして北村は話す。

 「たしかに85年の事件は俺がやった。」

 「なぜそんなことをしたの。」

 北村は驚くべき真相を話す。

 「別にお前達に恨みがある訳じゃない。俺はただ金が必要だった。吉川家は金持ちだと聞いてたからその家を襲って金を奪えば良いと思ってやった。俺は当時母親が難病で手術すれば治るがその費用が6000万円もかかると言われた。俺はガキの頃父親は離婚して母と二人で暮らしてきたが、ある日突然の難病で入院することになった。俺は施設に預けられたが母親の病室に毎日行った。しかし様態は悪化する一方で、手術を迫られたが、費用が足りなかったら手術は出来ないと言われた。」

 北村は手術費6000万円を何とかする為に色んな所でバイトをしたが、所詮知れている金額であった。手術が出来ないのであれば延命治療で寝たきりの生活が続くだけであった。手術をすれば元の生活をほぼ取り戻せるそうだが、6000万という大金はどうにもならなかった。

 北村は小学生の時に父親が離婚し、生活保護すらも受けれない状態で北村大輔に飯を食わせるだけが精一杯であった。当然給食費も払えない学費も払えないので学校を辞めざる負えなかった。そんな中での母親の突然の病気である。大輔が中学生の時、離婚した父親のとこに行ってこのことを話したが全く話を聞くどころか赤の他人扱いされ、大輔は次第に不安が怒りへと変わってきた。大輔は怒りを抑えきれずに父親を吹き飛ばした。すると、猛烈な突風が吹いて父親が住んでいるアパートごと吹き飛ばしてしまった。大輔は自分の能力に驚き、あることを考えた。

 「そうだ、これさえあればどうにでもなるじゃないか。」

 大輔はその後も度々家を襲って金品を奪っていったが、6000万円までには到達できなかった。そこで一気に集める方法として金持ちの家を探し始めた。その時すでに大輔は20歳を超えていた。10年経っても母親は延命治療で寝たきりで、もはや自分で立ち上がることすら出来ない状態だった。金品を奪って来て数年がたち、2000万円以上の金が集まった。大輔はもう少しだと母親に伝えた。しかし母親は意外なことを言った。

 「私はもういいから、早く子供が見たいよ。」

 この時大輔は25歳になっていた。大輔はこの言葉の意味が良く分からなかった。大輔はその後長野県に吉川財閥がいるということで、幸子らが住んでいる家にたどり着いた。この時はクリスマスで幸子の家族たちでパーティーをしていた。自分の家庭の状況を考えると幸子らの家族を見ていると何故か怒りが沸いてきた。大輔は金を奪う目的であったが、その時は無性に家を破壊したくなり、幸子の家に侵入し、家を破壊したのだ。

 2000年4月2日12時33分…大輔の母親は亡くなった。結局費用は集まらず、大輔は自分が今までしてきたことは何だったのかと訳が分からなくなりついには開き直ってしまった。大輔は金を払わないと命が救えないというこのシステムに納得が行かず、それを訴えるために、仲間を集めてとんでもない計画を立て始めたのだ。

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