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「ムタチオン」  作者: 使徒佐さとし
第八章 紀元前編
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162/274

第162話 時間を移動するという事


 さとしは現代から紀元前のイラクにタイムスリップした。さとしはまずなぜ日本から遠く離れた中東にやって来たのかを推測した。

 「俺は未来から来たが、場所はここから遥かに離れた所から来ている。この時代だと数年は掛けないとたどり着けない距離だ。」

 「そんなに遠くなのか?」

 「ただ時間を移動するだけなら同じ日本にいてもおかしくない。しかし全く関係無いと思われる中東にやってきた。一見関係が内容に思えるが俺はある事に気づいた。」

 「それはなにかね。」


 さとしはスマホの地図を開いて日本と中東の位置を見た。すると緯度が同じだという事を見つけた。

 「このまままっすぐ東に8200km進めば俺がいた新潟があるんだ。」

 「まっすぐという事は同じ位置にいるという事なのか。」

 「そう、緯度が同じだから真東に真っ直ぐ行けば新潟がある。地球は自転して、公転している。時間を移動するという事は地球の位置も変わる事になる。1秒で460m自転しているからな。楕円軌道を描いて公転しているから、毎年かならず同じ位置に地球が来るわけではない。少しずつずれているから、俺が5000年前に移動した時に新潟が中東の位置に来ていたという事になる。」

 「何だか難しい話だな。」


 地球は常に移動していて、1秒間におよそ28km移動している。仮に1秒前にタイムスリップするとしたら、今いる場所から28km移動した所に場所が変わる事になる。さとしはそれに気が付き、同じ場所で時間を移動したつもりでも、地球そのものが移動している為に、8000kmも離れたイラクまで来てしまったのだ。


 「これは偶然が重なってたまたま地球にいられたが、少しでもずれていたら宇宙空間に放り出されてた可能性もあったという事だ。こんな偶然が重なった現象が果たしてもう一度起こるのだろうか?」


 次にさとしが現代に戻る方法を考えてみた。さとしがここに来たときはウバイド自治区がある近くの何も無い草原にいた。さとしはもう一度タイムスリップした場所に行くことにした。

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