第158話 古代文明
さとしとエディンは夜中の語りを終えて、シュメール人の頭脳的存在であるゼプトを呼んで3人で例の場所に行くことになった。メソポタミアのトップが不在になるので、右大臣と左大臣に交易の段取りを任せて、3人はエディンが見つけたある遺跡に向かった。
「この事はわしとゼプトだけが知っている。他の者には言っていない。」
「それは一体どこにあるのですか。」
「ユーフラテス川の上流に行くと大きな崖がある。その崖を登った先にその遺跡がある。」
謎の遺跡は町から50kmほど離れたユーフラテス川の上流の高さ50mの崖の上にあるという。その崖にはよく見ると登る事ができる階段があるのだ。歩いていくと半日はかかる距離だったので、さとしが開発した足でペダルを漕いで進む車輪を使って移動することにした。
「しかしいいものを作ったものだ。」
「これなら半分も掛からない。」
「現代では自転車と言う乗り物です。普通に歩くより3倍ほどのスピードが出ます。歩いて半日なら12時間として、これなら4時間あればつきますね。」
「そなたが考えた時間の単位も便利なものだ。これでどれくらいの長さなのかがはっきりわかる。」
「さすがに腕時計は作れなかったが、ここは快晴がよく続くから日時計はかなり役に立ちます。普通の時計に匹敵する精度です。」
「そなたの未来では便利なものがたくさんあるのじゃのう。」
「まあ、便利過ぎて問題も起きているが。」
「そなたからすれば我々の時代はどうだ?やはり不便じゃろ。」
「初めはそう思いましたが、今ではそうでもないです。通信手段がない代わりに、周囲の人とのコミニュケーションがよくとれるようになったし、小さな事でも互いに助けあって生活する。こんな体験は現代ではした事がなかった。なんだか人間らしい生き方って奴を本当にやってるって感じです。」
「未来では人々は話さないのかね?」
「話さない事はないですけど、偽物の会話ですね。」
「偽物?」
「俺の時代ではメールと言って文字で連絡が出来ます。なので話す必要がないのです。電話というのもありますが、これもコンピュータが肉声を再現して出している音に過ぎないのです。ですので電話も偽物の会話なんですよ。俺の時代の世の中は作られた音で満ちている。本当の自然溢れる音と言うのがないのですよ。」
「いつの時代も同じ事を考える者がおるということじゃな。」
「そうですね。」
数時間走ると、ついに崖に到達した。3人は階段で崖を登って遺跡の門にたどり着いた。
「なんだこれは?」
それはどの教科書、歴史書にも載っていない初めて見る遺跡だった。




