第128話 生贄の先
先日シュメール人が行う伝統て、若い少女を生贄に捧げる儀式が行われた。ラリサが川へと流され、その先が気になったさとしは、流れていった棺を追いかけていった。
その様子をゼプトが見ていたが何もせず黙ってさとしを見ていた。
さとしは流れていく棺を川岸から追いかけていくと、小さな集落にたどり着いた。そこには複数の女性が網を張って、流れていく棺を引き上げた。すると、その女性たちは、棺の中に入れられたラリサを救出し自分たちでかくまったのだ。
「大丈夫、あなたはもう誰にも狙われない。」
「え?」
衝撃的な展開だった。さとしは女性たちが住む集落に言って事情を聴きに行った。
「何者だ、私たちは部外者を寄せ付けない。この場を見られたからには直ちに消す。」
「待ってください。」
そう言ったのはラリサだった。
さすがに身構えたさとしは少し力を緩めた。
「あの方は私たちシュメール人の救世主です。敵ではありません。」
しばらく議論が続いたが、女性たちは打ち解けて全てを話してくれた。
「昔私たちの村では、二つに分岐していて、ラッセル区とゼプト区があったの。でもラッセル区の治安が悪く、私たちゼプト区にいる女の子を次々と襲われたりしていたの。そこでゼプトさんが、対策を打ったの。」
これはさとしも知らなかったシュメール人の歴史であった。ゼプトは自分たちの区の女性たちを守ろうと、あえて、二つの区の統合を図り、同時に若い女性を生贄に捧げるというルールを設けた。ラッセル区は反対したが、ゼプトの説得により生贄制度を確立させた。すると必然的に女性たちは少なくなり、同時にラッセル区の者たちは目的である女を失った。それに納得がいかなかったラッセルが暴動を起こし、ゼプトと抗争をした。その結果、ゼプト区が残り、現在に至っている。生贄にされた少女は、シュメール自治区から5Kmほど離れた河口付近で、森林に囲まれていて外部の者からも発見しにくい場所に、住み着くように指示した。当然最近生まれた少女はこの事を知らないので最初は本当に殺されると思い、激しく抵抗をする。しかし、本当は少女自信を守るために、形式的に殺していたのだ。現在もこの制度を続けているには、外部の者たちから襲われるのを防ぐためにこの儀式を行っている。これにより、シュメール人は若い女性がいないのだ。




