第125話 ラリサの悩み
セム族の襲撃から1週間が経ち、ようやくシュメール人たちも落ち着きを取り戻してきた。そんな中シュメール人で唯一の美少女ラリサが一人部屋の隅でうずくまっていた。それを見たさとしは気になって声をかけてみた。
「どうした、セム族ならもう大丈夫だぞ。」
「話しかけないで。」
「ん?」
ラリサは扉を閉めて引きこもってしまった。どうしようもないので、さとしはゼプトにラリサについて聞いてみた。すると思いがけない言葉が出てきたのだ。
「生贄だと。」
「そうじゃ、我々シュメールは、美しい少女を生贄にし、神に捧げる儀式を行っている。向こうにある神殿の上に棺が置いてあるじゃろ、実はあれ生贄用の棺なのじゃ。」
「なんだと。」
「あの棺の中に入れて出られぬよう蓋を固定して、ユーフラテス河から海に流すのじゃ。」
「そんな事をしていたのか。だから女性が少ないのか。」
さとしは生贄をやめさせる事を考えたが、もしそれで何かが起きるとさとしは反感を買うことになる。それに歴史がこれで大きく変わってしまったら帰った後が問題になってくる。さとしは救えるはずの命をこのまま見過ごす事にした。
ラリサは棺に入れられてユーフラテス河に流された。しかしその棺からドンドンと叩く音が聞こえてきた。ラリサは必死に抵抗しているのだ。しかし誰も棺の方を向こうとしなかった。
「仕方ない、これがこの時代のやり方。俺が手を出すことじゃない・・・」
ラリサが入れられた棺から叩く音は見えなくなるまで聞こえ続けた。




