第121話 涼太が言っていた歴史
セム族との交戦で惨敗したシュメール人らは、残った人たちで瓦礫などの処理をしていた。幸い、ラリサとゼプトは無傷であった。さとしは誰もいない物陰に移り、一人で涼太が言っていたムタチオンの歴史を思い出していた。
「ムタチオンは世界に1万人はいると推測されていて、世間では1000人ほどと言われているが、実際は1万人以上はいる。ムタチオンはいつの時代もいるとは限らず、いない時代、いる時代と繰り返している説もある。専門家の推測によればムタチオンは1000年周期で出現し、また1000年間はいない状態が続いている。現代にいるということは、前回のムタチオン繁栄期は1000年前になる。」
涼太の推測によれば、現代のムタチオンが初めて発見されたのは1907年で、既に100年以上が経過している。ピーク時は最初の出現から100年程度であると、推定されているので、現在はピークとも言える。そしてそこから数十年で急激にムタチオンの人口が減るというデータもあるのだ。さとしは一人で呟く。
「ここは紀元前だが、俺が元にいた時代は現在2015年だ。最初の発見から108年が経ってる。ということはちょうど今がピークでこれから急激に低下していくということか。だが分からないのが、なぜいない時期といる時期があって、それが1000年周期なのも不思議だ。天文学の世界で1000年周期といえば超新星爆発だな。銀河系では100年に1度ほどの割合で起きてる。それが地球から観測されるのは10回に1回の確率、つまり1000年に一度は地球から超新星爆発を見れる事になるな。前回のムタチオンは1000年前なら、前回の超新星爆発はかに星雲の1054年に地球から観測されたとの記録が残ってる。これと何か関係があるのか?」
さとしは持っていたスマホのメモを出して確認をしていた。
「外でも充電できる、充電器を持ってきてよかったぜ。」




