第107話 メソポタミア文明
さとしは村人から色々と話を聞いていると、徐々に状況が掴めてきた。
「ここはメソポタミア文明と言われた場所じゃないか。」
今からおよそ7000年前に後にメソポタミアと呼ばれる現在のイランとイラクの国境付近に位置するユーフラテス河の沿岸地帯に、農民族が住み着き、ここの土地は耕作や放牧に適しており、近くの湿地帯では魚と鳥が常に豊富に得られるので、生活するには理想的な環境だった。
その農民族はウバイド人と呼ばれ、その後1000年以上もそこに住み着き、泥でレンガを作って街や神殿を作り、その後のメソポタミア文明の基礎をつくることになった民族である。彼らの有能で進取性に富んだ気性は、まもなく、この地を中近東で最も繁栄した地帯に押し上げていった。ただ文字を持たない民族だったので、どうやって画期的な技術を生み出したのかなどの詳しい事は分かっていない。
さとしは、涼太が話していたメソポタミア文明の事を思い出した。しかし、メソポタミア文明と言えば涼太が言っていた、当時では圧倒的な技術力を持っていて、ここだけ時代が先に進んでいるとまで言われたほどで、世界で初めて船や、車輪が付いた馬車のような乗り物もこのメソポタミア文明が起源だと言われているが、さとしが現場を見る限りとてもそのようには見えなかった。
「確か紀元前3800年くらいにシュメール人というのがこのウバイド人が住むユーフラテス河の湿地帯に来て文明の大ブレークが起きたはずだ。だがそんな感じには見えない。まだ革命が起きる前なのかそれとも、そんな事は起きてなかったか。いや、そんなはずはない、シュメール人のシュメールの粘土板には、船や、箱に車輪を付けて、多くの荷物を一度にたくさん運ぶ台車の開発、レンガや石を使って建築する技術、これらの記録が残ってるから、そのような物があってもおかしくはないが、あるのは石をただ積み上げて作った小屋や、葉っぱを重ねただけの寝床、これは随分話が違うぞ。」
記録とは違う状況でさとしは疑問を持ち始めた。




