野性ノ証明
UEFAチャンピオンズリーグ(CL)リーグフェーズ第8節 アヤックス-ドルトムント アウェー戦 その2
ハーフタイム、ダンがテレヴィクンへのマンマークを志願する。
もはやエース対決に活路を見出だすしかない状況と悟っていた首脳陣も快諾した。
後半
ダンがテレヴィクンに影のように張り付いた。
「こんな所で負けるわけにはいかないんだ!」
テクニックの差は僅かにリード、スピードではほぼ互角。だが、ダンには圧倒的なフィジカルがあった。
ブンデスリーガを魅了するテレヴィクンの敏捷なステップを、ダンは狂暴なまでの体幹とボディバランスで強引にねじ伏せていく。
ガツン、と肉体と肉体がぶつかる鈍い音が響く。体格差を活かした重戦車のようなプレスに、さしもの天才も自由を奪われていく。
エース対決の天秤が、明確にダンへと傾いた。
テレヴィクンからボールをもぎ取ったダンは、そのまま自ら縦へと爆発的な突破を仕掛ける。
後半26分:
今が完全なフリー、ここで懸河ドライブを選択する。
蹴り出されたボールはクロスバーを高く超えた所から、懸河の勢いで降下し、ゴール右上に突き刺さった。1-1。
ドリアンは狙っていた。
今や、ダンのマークが薄い状態だが、ドルトムントはポジションチェンジやマンマークの人員を割いたりして来ない様子。
ゾーンで守り抜こうとしているようだ。
ボールを保持すると、ダンを走らせるよう、縦パスを出した。
パスに反応し、鋭く飛び出すダン。追おうとするテレヴィクン。
「動け、動け、動いてよ……!」
しかし野性を解放したダンの走力には追いつけない。
テレヴィクンばりの流れるトラップで受け、一気にペナルティエリアへ侵入する。
迎えうつドルトムントCBも、トップスピードに乗ったダンに対処しきれない。ペナルティエリア内で強引に引き倒すしかなかった。
ホイッスル。倒したドルトムントCBへイエローカード、そして二枚目累積によるレッドカードが突きつけられる。
残響の後に来る完全なる消音、暫し間を置いて、嘆きと怒号の不協和音。
後半AT:
獲得したPKを、落ち着いてゴール左隅へ突き刺した。逆転の2-1。
その後は僅かな時間でタイムアップ。奇跡のリーグフェーズ突破。
敵地の巨大スタジアムに、ダンを中心にした小さな花が咲いた。
「天才」テレヴィクンに仮託して、前半に短かったけれどまばゆい輝きを、後半に乗り越えられなかったフィジカルの弱さを描きました。
凄く切ない感じ出せたかな?
後、クラシックちょっとカッコつけ、あんまり知らない笑




