深きモルダウ
UEFAチャンピオンズリーグ(CL)リーグフェーズ7節 アヤックス-スパルタ・プラハ(アウェー戦)その1
CLにリーグから出場を重ねるも、近年はリーグ敗退が続いているアヤックス。ノックアウトステージ進出に燃えるダンだったが、6節終了まで苦戦を強いられていた。
スタジアムへ向かうチームバスの窓に額を押し当てるようにして、夕暮れのプラハを眺める。
百塔の古都と称される街。無数の尖塔が茜色に染まる。
そしてモルダウ川と、そこに架かるカレル橋の美しいシルエット。
「いつか、大切な人とこの街をゆっくり歩けたらいいな」
そんな旅情を抱くが、バスがスタジアムの敷地に入った瞬間、ブーイングの轟音がガラスを震わせる。
ダンの意識は一気に戦場へと引き戻された。
VIP席に鎮座するスパルタ・プラハ会長、ベトベト。
現役時代は無尽蔵のスタミナと闘志で知られたが、その本質はピッチのすべてを見通す「インテリジェンス」の塊。
現在は飛び抜けたプレーヤーは不在だが、伝統のガッツでガッツンガッツン(のプレス)で知られる、スパルタ・プラハ。
御前試合とあって、より気合いが入っている。開始早々、狂犬の如く、未熟なアヤックスイレブンに襲いかかる。
前半25分:
激しい肉弾戦に、アヤックスの若い中盤が窒息。パスワークを乱される。
CBも力負け、押し込まれるような先制点を献上。0-1。
再開後もスパルタ・プラハは激しくプレッシャーをかけて来る。その運動量にも振り回され、アヤックスは混乱状態。
ただ一人、ダンだけは冷静にピッチを俯瞰していた。かつて苦汁を飲んだ、アウェーのビルバオ戦で味わった経験が生きている。
(魂の総量で押されている。加えて、ただ闇雲に走っているわけじゃない。ベトベト会長のクラブだ。あのプレスには明確な『ハメる基準』がある。なら、その思考の裏を突く)
アヤックスにとっては幸運なシュートミスにも恵まれ、何とか追加点を与えずに前半終了。
ハーフタイム。首脳陣からの指示は、寄せられる前にショートパスを正確に繋ぐ事と、ポジショニングの調整だった。
ビハインドの状況で、前に出なければならないのに。微調整にしか思えない。
後半開始
後半13分:
後半もスパルタ・プラハは激しいプレスを仕掛けて来る。
アヤックスの微調整を嘲笑うかのように、ショートパスは乱され、ボールを奪われてしまう。
ゴール前に殺到するスパルタ・プラハ。数的には互角だが、突破力が違う。
泥臭くゴール前へ押し込まれる。0-2。
スタジアムは狂喜乱舞し、アヤックスのメンバーには諦念が漂い始めた。
現在のCLは大会規模(資金も)が大きくなり、情報管理の為、アウェーゲームは缶詰状態で過ごすようになりました。
大昔は緩かったんだろうけど。書き手としてもつまんなくて困るよ。




