表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【連載版】婚約者が死んだ――――社会的に。  作者: 笛路 @書籍・コミカライズ進行中


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

21/23

21:はじめての……

 



◇◇◇




 レンブラント様から好きだと言われた。愛しているとも。

 顔が熱い。

 ニヤけそうな頬にしっかりしろと叱咤した。


「ありがとうございます」


 そう返事をした瞬間、レンブラント様がまた淋しそうに微笑んだ。彼はなぜこんなにも諦めたような空気を出すのだろうか。


 彼から聞いた話を総合すると――――。


「ラッキースケベ、というやつですね」

「うん……ん? んん!? いや、なんか違うと思うのだが」

「偶然の産物を享受することですよね?」

「う……ん? そうではあるだが……す、スケベではないからな!?」


 誰から教えられたんだと聞かれたので、副団長から聞いたと話した。レンブラント様が笑顔で明日対処すると宣言。目が笑っていないのだけれど、大丈夫なのだろうか。


「その…………私も、好きです。レンブラント様が勘違いして受理したと思い、これはラッキースケベだなと黙っていました」

「だから! スケベはやめなさい!」


 レンブラント様が真剣な顔で中腰になると、バンッと机を叩いた。

 怒らせてしまった。


「申し訳ございません」

「っ……驚かせたよな、すまない。クリステル、隣に座っても?」

「ええ」


 どうぞと手で指し示すと、レンブラント様が嬉しそうに微笑みながら移動してきて、ピッタリと身体を寄せて座った。


 ――――近っ。


 落ち着かない。

 腰を浮かせ、レンブラント様からほんの少しだけ離れた。


「むっ?」


 一瞬にして不機嫌顔になったレンブラント様が、せっかく空けた隙間を詰めてくる。

 近過ぎて落ち着かない。また少しだけ離れたが、レンブラント様がどんどんと近付いてくる。

 最終的にソファの端に追い詰められてしまった。


「あの……近いのですが」

「愛し合う者同士なんだ。問題ないだろう?」


 問題ないのだろうか?

 他人同士や同僚程度の仲なら、この距離感は駄目だろう。だけど私たちは婚約をしているから、問題ない……? 紳士と淑女の距離感……でも、婚約者だし。

 うん。問題ないのだろう、たぶん。

 

「クリステル、私たちは両思いということでいいんだよな?」

「はい。そう、思います」

「ん」


 レンブラント様が春の日差しのように柔らかく笑った。それはあまりにも眩しく美しくて、ポーッと見とれてしまっていた。


「クリステル、目を」

「め?」

「目を瞑ってくれると嬉しいのだが……」


 ふと気付けば、両頬に手が添えられおり、レンブラント様の鼻と自身の鼻が触れるほど近くなっていた。

 これは――――。


「キス?」

「ん……したいんだが…………良いだろうか?」


 掠れるような低い声に、喉と心臓がギュムムムムムと締め付けられる。


「はい――――」


 それは、甘く切なく苦しいのに幸せな、初めてのキスだった。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ