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クラウンゲーム  作者: 好きな言葉は酔生夢死、家から3歩出ることで毎日の運動タスクを消化し、健康的課題の高血圧については24時間断食することで対策を完了させている、200歳まで生きることが超確定した、常識はずれのバケモン
巫女編
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87 救出と死


 少しだけ体力が回復した理香は、空を飛びながら偵察をしていた。


理香「……あそこに誰かいますね」


 王城に備え付けられた鉄扉の前。もう少しで中に入れるかというタイミングで、理香はその人物を見つけた。


理香「巨大な大男ですね。隣には倒れた人がいます。遠くて分かりにくいですが、もしかしたら、逃げ遅れた住……」


 理香はそれ以上、言葉を紡ぐことができなかった。


信矢「早く報告しろ。敵か?」


理香「……いえ、それが……いるのは深玖様と小島です」


 その報告を受け、信矢は大きく目を見開いた。


 それと同時に、体の悲鳴を無視して全速力で王城へと駆け出した。





―――




 涼斗と久が粘れると断言した時まで遡る。



小島(…………このままでは、確実に全滅する)


 建物の陰から、小島はタクトと久の戦闘を観察しながら、頭を回す。


小島(私はじきに死ぬ。そうなれば、あの宝具の効果も切れる。負けは必至)


 そうなれば、巫女が奪還されるのも時間の問題だろう。まあ、巫女には爆弾を埋め込んでいるため、奪還はされないのだが。


小島(あそこでの爆破は最後の手段。……地理的にあそこで爆発すれば土砂崩れが起き、ホルダーであろうと死を与えることができる)


 だがそれは最終手段だ。できることなら、国への被害は少なくしたい。それが国王のためにもなる。


 幼馴染で、好きな女も取り合ったこともある友人を思い浮かべ、小島は小さく笑う。


小島「あんなクズでも、ここまで国は大きくできるものなんですね」


 タクトの王である【藤原 (ケイ)】は確かにクズだ。女には見境もないし、子供には興味もない。世に言えない非道なことも数多くやってきている。だが、抜群に優秀だ。


 そして小島自身もその恩恵にあやかってきた。


小島「……最後の仕事の時間ですね」


 意識が朦朧としながらも、小島はゆっくりと王城の地下牢へと向かう。





小島「……なるほど、これはやってくれましたね」


 破壊されたエレベーターの床を見て、薄々気づいてはいたが、地下牢に誰かが侵入していた。


小島「さて、一体どなたが来訪されたのですかな? 深玖殿」


 ベッドの上に横になる彼女は、満足そうな寝顔を見せていた。返事がないのも当然と言える


小島「……まあ、気にするだけ無駄です。どうせ、あなたの命もあと少しですから」


 誰かに言い聞かせるように、小島は小さく呟く。


 深玖を担ぎ、エレベーターまで移動する。


 床の部分が壊されてはいたが、動作には問題なく、エレベーターは二人を連れて上階へと連れていく。




政明「………………」


 その様子を、非常階段から、政明は歯を食いしばりながら見るのだった。





―――





 現在



信矢「よくここに顔を出せたもんだな」


 小島と少し距離をとりながら、信矢は【深紅の刀】の切っ先をむける。


小島「いやはや、そんな物騒なものをちらつかせなくても、抵抗する気はありませんよ」


 小島は腕を斬り飛ばされ、胸にも深い傷ができている。ホルダーといっても、もう命の火は風前の灯だ。


信矢「深玖になにをした」


 怒りを必死に抑え込み、なんとか冷静さを保ちながら信矢は問いかける。


小島「さて、なにをしたのでしょう……。いや、そもそも私はなにがしたかったのでしょうね?」


 なにか悟ったような顔をしながら小島は空を仰ぐ。


 それが信矢の琴線にふれたのか、低い声で舌打ちをした。


信矢「問答は無駄だ。早く、深玖を渡せ」


 小島は、気絶した深玖を信矢のもとへ投げた。


 信矢は刀から手を離してしっかりと両手で深玖を受け止める。


信矢「……深玖……!」


久「意外だのう。すんなり渡すとは」


小島「これ以上の損失は、我が国にとっても痛手です。それに……疲れたのでね」


久「ここでお主を殺してしまっても構わんのだぞ?」


小島「お好きにどうぞ。どうせ、もういくばくの命も残っていない身なのでね」


 小島はその場にゆっくりと腰を下ろして大きく息を吐く。


 その途端、今まで止まっていた傷口から一気に血が飛び出た。傷口を【巨人】の力で無理やり止血していたのが、決壊したのだ。


 まるで血の噴水のような場で、小島はピクリとも動かない。


久「……どうする、信矢君?」


信矢「とっととアジトに帰る。どうせ死ぬ奴に興味はない」


 しっかりと【丹のロープ】に深玖をしばり、離れ離れにならないようにしっかりと信矢は抱きしめる。


久「そうか。理香君、早く出ようかの」


理香「かしこまりました」


 全員がロープに捕まったことを確認してから、理香は宙に浮いた。


理香「では、行きましょう」


 小島はうっすらと見える視界から、エンドの状態を最後まで確認する。



小島(……まだ、死ねない。私が死ねば、彼女の爆弾も起爆するよう設定してある。……まだ、せめて、彼らが市外の平野に出るまでは……)





―――




 奇妙な浮遊感と、暖かいぬくもりでボクは目が覚めた。


深玖「……あれ? ボク生きてる?」


信矢「深玖!」


 声がした方をすぐに向けば、そこにはボクの恋人がいた。最愛の彼は、目に涙を浮かべながら、ボクを抱きしめてくれた。


信矢「すまん……助けに行くのが遅れてしまった……」


 エンドの面々がボクのことを見て、安堵の表情を作るが、それと同時に、ボクはまずいと直感した。



深玖「皆、早くボクから離れて!! まだ、ボクの中には爆弾が――」



 言い切る前に、体内のどこからか『ピピッ』という電子音が静かに鳴った。


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