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クラウンゲーム  作者: 好きな言葉は酔生夢死、家から3歩出ることで毎日の運動タスクを消化し、健康的課題の高血圧については24時間断食することで対策を完了させている、200歳まで生きることが超確定した、常識はずれのバケモン
巫女編
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85 想定外の身バレ


政明「局所麻酔を施した。終わるまで、由美とおしゃべりでもしてろ」


 ボクに受話器を押し付けながら、政明さんはメスを握る。ボクは、なるべく下を見ないようにしながら、由美と話す。



由美『聞いてたよ!? 深玖、今から帝王切開するの!? ていうかプレグナンシーしてたの!??』


 電話越しだが、由美は色々と察していた。


 彼女は声さえ聴ければ真偽の判定ができるため、現状を正確に把握できている。


深玖「あはは……大丈夫だよ。……いやごめん、大丈夫じゃないかも」


 今更でもないが、確かに怖くなってくる。自分の身ではなく、子供のことが。


由美『えっと……ごめんね』


深玖「なんで謝るのさー?」


由美『いやその……今、信矢君と戦ってるのは私の仲間だから……』


 サイも静香も深玖も大事な友人だ。


 だからこそ、それを仲裁できない自分の現状を、由美は憂いていた。


深玖「そんなの、由美が謝ることじゃないでしょ。それに、もしかしたらこれが話せる最後の機会かもしれないんだから、楽しいこと話そ!」


由美『……そうだね! なに話す?』


深玖「っぱ恋バナでしょ」


 よく学校の屋上で話していた二人の話題は多岐にわたるが、その中で一番盛り上がるのが恋バナだった。


由美『……っていっても、それって私が二人の関係性を質問して答えるやつでしょ。あれ、最近は惚気にしか聞こえなくて、ちょっとメンブレ気味なんだけど……』


深玖「いやいや、ボクは今政明さんに会ってるからね。あの人のことについて教えてよ」


 それを聞いた途端、由美は明らかにテンションが上がった状態で声を発した。


由美『えー気になる? なっちゃうよね! そうなの! あれは中学1年生の時。ホルダーになって間もないころに話した政明が一番印象に残ってるなー。皆の嘘に苦しむ私に―――』



 由美はこれでもかというほど、政明について語った。


 優しくて、イケメンで、誠実で、自分のことを一番に考えてくれる人格者――などなど当の本人が聞いているにも関わらず、彼女はつらつらと言葉を紡ぐ。


 それに対して深玖は、時に笑い、否定し、肯定する。



深玖「――そっかー。そんな人だったんだね。さっき初めて会った時は怖かったけど、知れば知るほどいい人だね」


由美『でしょでしょ!!』



深玖「それに、()()()()()()()()()だから、お似合いだね!」



 深玖のその言葉を受け、場が一瞬凍り付いた。由美は黙りこくり、政明は大きく目を見開いて手術の手が止まる。


深玖「……えっと? もしかして、ボク、なにか変な事言った?」


由美『……み、深玖? さっきの発言、嘘じゃなかったよね……それとも聞き間t――』


 由美が問い質そうとしたところで、電話が切れた。


 先ほどの音響兵器が内線にダメージを与え、今切れたのだ。



政明「……おしゃべりの時間は終わったな。そろそろ全身に麻酔が回るころだ。早く寝てろ」


深玖「いやいや! なに、普通通りに進めようとしてるの。……もしかして政明さんて、由美に称号のこと隠してるの?」


 政明は黙りこくる。


政明「……そうだが?」


深玖「『そうだが?』、じゃなくて。由美とは幼馴染なんでしょ。なんで隠し事なんて……」


政明「世の中、本当のことだけで回るほど綺麗じゃねぇ。それだけだ」


深玖「でも……」


 納得のいかない顔をする深玖をみて、政明はため息を吐く。


政明「はぁ……、この際はっきり、端的に言うぞ。俺は由美のことが嫌いだ。あのヤンデレ気味の心理も、自分都合な性格も、無駄に賢い知性も、なにもかもが邪魔だ。一緒に暮らした腐れ縁で最低限の関わりはあるが、それがなければ絶対に関わろうとも思えない人種。それが【氷藤 由美】だ」


 はっきりと思いのたけをぶつけた政明は、もういいだろとばかりに深玖を見据える。


政明「そろそろ摘出になる。あとは、お前だけだ。正直、この麻酔が切れた後、お前がどうなるか俺には分からん。もう二度と目覚めることはないかもしれないし、もしかしたら奇跡的に救出されてるかもしれねぇ」


深玖「気休めはいらないかな。早く始めてよ」


 目をつむり、動かなくなった恩人の子供を前にし政明は小さく口を開く。



政明「――ごめんな」


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