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クラウンゲーム  作者: 好きな言葉は酔生夢死、家から3歩出ることで毎日の運動タスクを消化し、健康的課題の高血圧については24時間断食することで対策を完了させている、200歳まで生きることが超確定した、常識はずれのバケモン
巫女編
76/112

76 カミングアウト



政明「よく聞け、俺は【裏切者(ジョーカー)】、神村 政明。お前らも知らない、隠密系の称号を持つ人間だ」



 宣言と同時、政明は能力を解除する。


 その途端、二人は政明のホルダーとしての気配を感じた。


政明「さて、鬼ごっこの開始だ。今ここで俺を逃せば、俺を捕まえる機会は来ないだろ。それに、俺を捕まえれば漏れなくこれも付いてくる」


 政明は【虹のルーレット】を見せびらかし、すぐにその場を去る。



j『果たして彼らはやってくるかな?』


政明(来るだろうな)


 危険人物の【女帝】はダウンしてるし、俺の能力を考えればとても見過ごせない。


 さらに、【虹のルーレット】は【君主】の専用宝具だ。


 まあ、追ってくるだろう。



久「神村 政明……聞いたことがある。確か、【変態】と【適応者】の死に場所に偶然いたはずじゃ……」


湊「加えてホルダー、間違いなく二人の死に関係しているでしょう」


 案の定、二人は追ってきた。


政明(作戦通りだな……)


 心の中でほくそ笑みながら、政明は数刻前のやりとりを思い出す。




―――





 やっとの思いで王城までたどり着いた俺はひとまず、二人を客室のベッドに寝かせ、現状を分析する。


政明(王城内に荒らされた形跡はない……つまり、まだエンドはここまで到達していないな)


 窓の外を覗けば、至る所で戦闘が行われていた。


 今の俺たちの戦力は、

 俺――一応万全の状態、【虹のルーレット】と【黄金の粘土】を所有

 タクト――右足がグロテスク、使えない称号持ち

 由美――動けないほどの貧血、【純白の杯】を所有


 ちなみに【漆黒の布】も回収しようと少し周りを見て回ったのだが、まったく見つからなかった。漆黒の布は使い終わると所有者のもとへ戻るはずだが、勇の称号がなくなったため風でどこかにとばされたのだろう。

 万全の状態なら探し回ったが、二人を放って見つかるかも分からない宝具を探すのは無駄だと判断した。


政明(……まあ、こんだけ乱戦なら宝具の使い道は限られるしな)


政明「とりあえず俺は、サイの加勢に行く。タクトは回復したら、深玖を探してくれ」


タクト「いや、俺も行く!」


政明「んな怪我で何する気だよ。怪我人は寝てろ」


 タクトのグロイ足を見ながら政明はドアノブに手をかける。


由美「待って、政明! これ……使って」


 消え入りそうな声で、由美が政明に待ったをかける。


 見れば、由美は生気を失ったような顔で【純白の杯(ホワイトグラス)】を差し出してきた。


由美「これ、私の血液ギリギリまで絞って作ったの」


 狂気を感じる笑顔で、由美は杯を差し出す。中には、溢れんばかりの白い液体が入っていた。


政明「なにしてんだ。死にたいのか?」


由美「そんなわけないじゃん。でも、これがあれば、深玖もすぐに助けられるかなって」


 純粋な友人への助勢のために由美は白い血液を政明に差し出す。


政明「……………ありがとな」


 その言葉を聞いただけで由美は満足したのか、深い眠りについた。


 政明は早速、タクトの足めがけて杯を傾ける。


タクト「……すげぇな。これなら戦えるぞ!」


政明(かなり余ったな……なにかに使えるか?)


政明「ああ。だが、戦えたとしても、今の戦況じゃどうなるか分かんねぇ」


 やはり、一番確実なのは巫女を差し出して引いてもらうことだろう。



政明「おいタクト。レリウスが巫女を攫ったとして、その目的は何だと思う?」


タクト「えーと……そりゃ、巫女の称号を永続的に確保するためじゃないのか」


 政明は、少し由美を見てから小さく頷く。


タクト「それより、早く行こうぜ!」


政明「いや、少し待て。じゃあ、それが目的だとして、10代のJKを攫うことに抵抗がなさそうな非人道的なことができる人間はこの国だと誰がいる?」


タクト「そりゃー、俺の親父かな……、あと、親父の命令に忠実な小島とか」


政明(ああ、あいつか)


 由美を迎えに来た、巨躯の男を思い浮かべて政明はさらに質問を続ける。


政明「なら、十中八九【巫女】は五体満足でどこかに幽閉されてるはずだ」


 子供を作るなら、母体の健康を損なうわけにはいかない。


タクト「まあ、そうだな」


政明「でも、それはかなり危険だろ。女だからと言って、万全な状態でホルダーを幽閉してんだぞ?」


タクト「確かに……。鎖とかで繋がれても引き千切れるしな」


政明「つまり、この国にはホルダーを安全に捕獲する方法があるってことだ」


タクト「まあ、そうだけど……でもどうやるんだよ」


政明「由美が持ってる【純白の杯】だけどな、もともとは【巨人】が持ってた。だが、今は由美が持ってる」


タクト「……つまり、小島は別の宝具を手に入れたから杯を譲渡したってことか」


 そう考えるのが自然だろう。


 もともと、由美の専用宝具が【純白の杯】だし、一人のホルダーに複数の宝具を預けるのはリスクもある。


政明「なら、なんの宝具を持ってるかだ。俺は【鈍色の鍵(グレイキー)】だと予想する」


タクト「ああ、あのあらゆる錠前を破れるやつか」


政明「それだけじゃない。一般には知られてないかもだが、あれの専用効果は称号の無効化だ」


 小学生の頃、結奈が教えてくれた。


タクト「そうなのか!?」


政明「なら、やることは分かんだろ?」


タクト「……?」




―――




 戦場にいるホルダーが一堂に会し、全員がピリついていた。



小島「王子、だれですかこの青年は?」


政明「忘れたのか? 数年前、【解析者(アナリスト)】と一緒に保護されたガキだ」


 言われて気づいたのか、小島はハッとする。


政明「まあでも、ここでおしゃべりしてる暇なんてないんでな。とっとと始めるぞ」


久「なにをするつもりかのう?」



政明「決まってんだろ、反撃だ」



 政明は、余った血液で再使用時間(リキャストタイム)を飛ばした【虹のルーレット】を取り出す。


 今、ここにある素材は【裏切者】【違反者】【黄金の粘土】【巨人】、少し移動すれば【解析者】と【女帝】【桜色のベル】がある。



虹のルーレット(レインボールーレット)

効果 宝具・ホルダー同士の融合。

専用効果 専用武器の生成。



 【巨人】は少し微妙だが、それでもこちらの陣営には7つのマテリアルがある。


 ルーレットで1~6が出ればそれだけで逆転できるだろう。




政明「さて、フェスティバル開始だ」




[ターイム――ルーレットオオオ!!]


 ルーレットを回した途端、軽快な音と共に二つのルーレット盤が出現したのだった。


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