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クラウンゲーム  作者: 好きな言葉は酔生夢死、家から3歩出ることで毎日の運動タスクを消化し、健康的課題の高血圧については24時間断食することで対策を完了させている、200歳まで生きることが超確定した、常識はずれのバケモン
巫女編
69/112

69 【天水 涼斗】という男


涼斗『まず、そっちに手練れのホルダーが3人向かった。うち一人の女は空を飛んでいた。目算だが、あと10分ほどで王城につくだろう。


 確認できた宝具は――ッ!?』


 そこまで言った辺りで、涼斗との通話が途切れた。


政明「おい、涼斗! 応答しろ!」


サイ『とっとと返事しな!』


 カーニバルの二人がスマホに声をかけるが、なんの反応もない。


由美「えっと……どういうこと? あの人、負けちゃったの?」


 由美は動揺しながらも、政明に声をかける。


政明「……いや、そう簡単にやられる奴じゃないが……」


 だが、涼斗は途中で通話を遮断するような奴じゃない。


 つまり、なにかあっちでトラブルが起こったのだ。



政明「……最悪を考えろ。今、もっともマズいのはエンドが国に攻め込むこと。全員が万全の状態でいることを前提に動け」


サイ『……そうだな。敵は涼斗と戦ってるホルダーを合わせて4人。加えて、宝具も複数所持してる』


政明「ホルダーの内一人は空を飛んでる。……【浮遊者(フローター)】か。なら、航空部隊も編制すべきだ」


サイ『すぐ伝える』


 サイは内線電話で静香へと連絡を取る。


タクト「でも、どうするんだ? 具体的な対策なんて……」


政明「いくつか案はあるだろうが……それは【女帝(クイーン)】の仕事だ」


 実戦経験のある静香がやった方がはるかに合理的だろう。


 それよりも、すべきことがある。


政明「とりあえず、王城に戻るぞ」


 俺が王城に向けて、足を踏み出す。だが、二人の倒れる音が聞こえた。


 慌てて後ろを向けば、由美は貧血で、タクトはダメージのせいで動けなくなっていた。


 かくいう俺も、いつも通りに動けない。二人を抱えて戻るのは不可能だ。


政明「クッソ……」


タクト「悪りぃ、政明。実は由美さんに治し切ってもらって無くてな」


 さすがに俺に血を使いすぎたのだろう。タクトの足は、まだグロイことになっていた。


政明「気にすんな。それより、安静にしてろ」


 俺は、勇が使っていたカーボンチューブを使い二人を自分の前後に結び付ける。


由美「……ああ、政明の胸がこんなに近くに……。好き」


政明「冗談言ってる暇あんなら歩け」


 さすがのホルダーでも、二人を運ぶのは精神的にも肉体的にもキツイ。【純白の杯】は傷は治せても体力までは回復してくれないらしい。


 俺は、二人をおぶりながら、ゆっくりと歩みを進める。



政明「気晴らしに喋るぞ。さっきの涼斗の通話だがな、多分あいつは負けた」


由美・タクト「「!?」」


政明「あいつは絶対に約束は守るからな。恐らく、子供を庇って負けた」


由美「いやでも……あの人子供が巻き込まれても気にしないっぽい人じゃないの?」


政明「正解だ。けどな、約束を守る男でもある。多分あいつ、バトルフェスティバルの前に、子供が弱点だと言ったはずだ」


タクト「……なんでだ?」


政明「そう言っとけば、周囲への被害が抑えられるからさ。

 あいつは強いからな。敵はいずれ、人質を取らなきゃ勝てないことを悟る。その時、周りの建物をぶっ壊しまくって子供がいなかったら詰み。

 だから、最低限の破壊に留めて、積極的に子供を探させたはずだ。結果的に、子供の生存率を高めることになる」



 事務所の近くには高齢者が多いが、帰省する孫が一人はいるだろう。そいつを人質にされて負けた。


 十分にある結末だ。


由美「そっか……あの人、そんなにすごい人だったんだ」


政明「ああ。……まあイカレフェス野郎だが」


 だが、自分に確固たる信念を持つ、強い人間だ。



タクト「そういえば、なんでエンドが攻めてきたって予測したんだ?」


 勇の口内の装置を思い出しながら、タクトは疑問を投げかける。


政明「簡単だ。あいつの目的は、俺と涼斗に復讐すること。だから俺を呼び出して、俺を餌に涼斗もやるつもりだった。

 でも、計画は狂い、敗北。

 だから第二の選択肢、【エンド】を利用することを選んだ」


タクト「そこがよく分かんねえんだけど……あんな装置一つでなにができるんだ?」


政明「テキストメッセージを送るくらいできる。最近、エンド所属の巫女が行方不明になった。

 もし、その巫女からメッセージが送られてきて、さらに場所まで添付されてんなら、俺ならすぐに助けに行く。

 加えてエンドが向かってるのは、当初の巫女拉致予想現場のレリウス王国。

 俺が巫女を見捨てられないことを理解してるなら、間違いなく俺はエンドとエンカウントすると予想できる」


 それでも涼斗は釣れないだろうが、今回みたいに偶然エンドとエンカウントする可能性もあった。


由美「で、でも! 深玖を助けるって目的は一緒でしょ。なら、協力するっていえば……」


 恐らく、無理だ。


 由美には言えないが、俺は【適応者(サバイバー)】と【変態(サイコパス)】という二人のホルダーの死に関係している。


 ホルダーであることがバレていなくても、なんらかの関係者としてアタリはつけているはずだ。


政明(最悪、見つかった瞬間に殺されるかもしれねぇ)



政明「協力はできねぇ。それに、国に攻め込むってことは、サイやタクトに攻撃するってことだ。それは見過ごせない」


 だから、あくまで俺はレリウス王国陣営で戦う。


 だが、それは表面上の話だ。


政明(巫女奪還が目的なら、巫女を探し出して差し出せばエンドは撤退する。……なら、俺がすべきなのは――)



 勝利条件は王城のどこかにいる巫女を探し出し、救助&返還すること。



政明「……急ぐか」


 もうすでに戦いが始まっている王城を目視で確認した俺は、拙い足取りで歩みを続けるのだった。


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