59 犯人からの接触
王城までの道中
由美「つまり、恩人の子供だから気にかけてるだけってこと? なにか特別な感情があるわけじゃなくて?」
政明「そうだよ。つーか、お前の力で真偽の判定くらいできんだろ」
由美「そういうのは、分かってても気になるの!」
冬休みにまでこんなところに来るとは思わなかった、と悪態をつきながらも私は政明を案内する。
小島「おや、冬休みにまでここへ来るとは思いませんでしたよ。なにか心変わりでも?」
そして、王城の入り口付近でとても嫌な奴と偶然にも出くわした。
小島だ。
なにか仕事が立て込んでいるのか、彼は大量の紙束を持っていた。
由美「別に……どこにいようと私の勝手でしょ。さ、行こ政明。実質おうちデートだからね」
今回は王城に潜入するという極秘任務のため、涼斗は不参加だ。さすがにこんなところで、【道化師】であることがバレたら洒落にならない。
小島「そうですか。では、私はこれで失礼します」
政明「……おいあんた。最近、つっても半年くらい前だが深玖って奴は知ってるか?」
足早に去っていこうとする小島に、政明は質問を投げかける。小島は歩くのを止め、立ち止まった。
由美「ちょ、ちょっと政明!? あんまり関わらない方がいいよ。ていうか、どうせ教えてくれないし」
由美が小声で話しかけてくるが、俺は小島から目を離さずに口を開く。
政明「どうなんだ?」
政明(もしここで、話題を変えたり、沈黙を貫くようならほぼ確で黒。由美がいる以上嘘はつけないし、城内である以上、襲われる可能性も低い)
小島「いやはや、元気な彼氏ですね。しかし、敬語は使えるようにしなさい。では、私はこれで」
作り笑いを浮かべながら、小島は奥へと姿を消す。
政明「確定だな。おい由美、あいつを尾行、監視するぞ。上手くいけば深玖の居場所が分かるかもしれねぇ」
由美「確かに怪しいけど、どうやって尾行するの? 私だと気づかれちゃうし、政明がやってもし見つかったら死んじゃうよ。あの人、この国で一番強いし」
その発言を聞いて、俺は鼻を鳴らす。
政明「いや違うな。最強はあいつじゃねぇ。俺の中では、な」
少し意味深に呟きながら、とりあえず作戦会議の為に適当な部屋へと移ろうと提案する。
だが、その時50メートルギリギリだが、確かに俺たちはホルダーの気配を感じた。
由美「……政明、近くにホルダーがいる。ここから4時の方向。いや、今消えたけど……」
俺を一般人と思っている由美が丁寧に解説をしてくれるので、俺は驚いたふりをしながらも口を開く。
政明「このタイミングでのホルダー……怪しいな」
由美の案内で、謎のホルダーがいた場所へと足を運ぶ。
そこは、部屋に備え付けてあるバルコニーだった。国全体が一望でき、見える景色の奥には深い森が広がっている。
そして、足元には石を文鎮にしておかれている紙と地図があった。
本文
こんにちはピエロのお付きの人。
俺のことは覚えてるよね。ギャンブラーだ。
色々と察してると思うけど、僕が彼女を攫った張本人だ。
でも、彼女に危害を加える気はない。君の探し人は、俺のそばにいる。
返してほしかったら、君一人で同封した地図に書かれているところまで来てよ。
それと、僕が犯人である証拠として、【聖女】にメッセージを送ったから、それも確認してね。
由美と共に読み終わった俺は、すぐに由美のスマホを奪い取る。
そこには新着メッセージとして、深玖から連絡が来ていた。
テキストには『あいうえお』だけだが。
由美「深玖のスマホを持ってるってことだよね?」
政明「犯人かどうかはともかく、あいつが一枚嚙んでるのは確実」
政明(だが、なんでこんないいタイミングで王城にいた? ギャンブラーの運にしてもやりすぎだ)
少し思考の海を落ちそうになるが、すぐに切り替える。
政明「とりま俺は行くわ。由美は【女帝】と協力して小島を追ってくれ。
由美「いやダメでしょ!? 絶対に危ない目に合うよ!」
由美は、私も一緒に行くと言い出すが俺はそれを制止する。
政明「俺が一人じゃなきゃ、深玖が危ないらしいしな。それに、もしかしたら由美はこっちにいなきゃいけないかもしれねぇ」
由美「どういうこと?」
政明「最悪の場合の話だ。まあ問題ねぇ、俺には奥の手がある」
俺の言葉と、友人の身を案じてか、由美は渋々引き下がる。
まったく、俺へのメンヘラがなければ友達思いのいい奴なんだがな。
政明「……ああ、それと。タクト王子の部屋ってどこだ?」
由美「3階の南辺りだけど……会いに行くの?」
政明「少しな」




