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クラウンゲーム  作者: 好きな言葉は酔生夢死、家から3歩出ることで毎日の運動タスクを消化し、健康的課題の高血圧については24時間断食することで対策を完了させている、200歳まで生きることが超確定した、常識はずれのバケモン
賭博師編
52/112

52 攫われた巫女

少しセンシティブな内容を含みますので、無理のない範囲でお読みください。


深玖「……あれ? ここは、どこ?」


 ボクが目を覚ましたのは暗い部屋だった。徐々に目が慣れていけば、部屋の全貌が見えてくる。


 固い簡素なベッドに、和式トイレ。そして、これが最も重要だろう。


深玖「ボク、閉じ込められてる!?」


 囚人が入る独房のようなところで、ボクは閉じ込められていた。


 身動きをしようとすれば、腕に重みを感じた。


深玖(手錠……しかも壁に固定されてるタイプの)


 部屋の中でも満足に行動させないつもりなのだろう。


 とりあえず、意識が途切れる前の記憶を手繰り寄せる。


深玖(確か、勇さんに会って……そこから急に眠く……)


 まさか、紅茶に睡眠薬でも混入していたというのか。そして、眠った後にここに連れてこられたということは……考えたくはないが勇さんが犯人なのだろう。


深玖(いや、犯人と決めつけるのも早いかも。とりあえず、お母さんに聞いてみて――!?)


 なぜ、気づかなかったのか。こういう時、真っ先にボクに話しかける頼りになる両親が、目を覚ましてから一言も言葉を発していないことも。



??「気づきましたか。巫女、【日海 深玖】殿」


 鉄格子の向こう側、ボクに話しかけてくる声に、思わずそちらを向く。


深玖「……あなたは?」


小島「私の名前は【小島 鉄郎】。まあ、【巨人(ジャイアント)】と言った方が分かりやすいかもしれませんね」


 【巨人】、聞いたことがある。由美がよく愚痴を言っているレリウス王国の陸軍総司令だ。


 聞いていた特徴通り、全身に無数の傷が走り、身長も高い。謎の圧迫感も放っている。


 だがおかしい。


深玖「ボク、小島さんからホルダーの気配を感じないんだけど。あと、早くこれを解いて」


小島「気づきませんか? 鏡をご覧ください」


 便器の近くにある鏡を見る。


 そこにはいつも通りのボクの顔と、その頭の頭頂部に刺さっている鍵があった。



鈍色の鍵(グレイキー)

効果 すべての鍵の開錠。

専用効果 ホルダーの能力の無効化。



小島「その鍵が刺さっているうちは、あなたは一般人と何も変わりません。高い身体能力も、特殊能力も、全て使えないと考えてください」


 確かに、普通なら手錠くらい破壊できるはずなのにピクリとも動かない。


 少し目が熱くなった。そして気づけば涙が零れていた。


小島「泣いても現状は変わりませんよ」


深玖「あ、あなたは……なんでこんなことを?」


 小島はゆっくりと鉄格子の前を歩きながら、長い話を始めた。


小島「端的に言えば、国の為です。私は軍人であり、国王様の懐刀でもあります。

 そのために、ホルダーを確保したり、他国との戦争をしていますが、それでは一時的な潤いしかもたらしません」


深玖「そんなの、全ての事柄に言えることでしょ」


小島「そうかもしれません。では、半永久的に国に益をもたらすにはどうすればいいのでしょうか? 私は宝具とホルダーを確保することだと考えました。

 けがや病気を治す杯、ものを出し入れできる風呂敷、契約内容を強制履行させる誓約書、いかようにも利用方法が思いつきます。

 しかし、宝具と違いホルダーは死ぬ。ならば定期的にホルダーを供給せねばならない。

 私は2つの称号に目を付けました」


 そこまでお膳立てされれば、さすがに分かる。


深玖「【聖女】と【巫女】」


 小島は小さい拍手を送りながら、話を進める。


小島「ええそうです。比較的戦闘能力が低く、定期的に称号を引き継がせられる。まさにうってつけの称号です。

 残念ながら、【聖女】の方は匿名の通報のせいで公の存在となってしまいましたが、あなたは違う。


 ここ、地下500メートルの場所では法や人権は関係ありません。


 ここなら、バカな議会どもが『大学を卒業するまでは出産を強制しない』などとは言いださない」


 深玖は、全身におぞましい悪寒が走る。


小島「ここであなたは、体が壊れるまで子供を作ってもらいます。何匹も何匹も、事故で死んだり障害を持っていたりすることもあるでしょうから10匹は作ってもらいますよ」



深玖「いやッ!! いやだいやだいやだ!!! 助けてシン君! お母さん、お父さん!!!」



 深玖は涙や鼻水をとめどなく噴き出させ、無駄だと分かっていても必死に手錠に指をかける。爪が剥がれた。



小島「ご安心ください。まあ、いきなり出産といわれて不安になる気持ちは分かります。こちらをご覧ください」


 格子の隙間から、小島はいくつかの写真を投げ入れた。


 ベッドに落ちた衝撃で中の写真が散らばった。


小島「あなたの診断書です。今は妊娠1か月ほどですね。エコー写真もありますよ。眠ってる間に勝手に撮らせていただきました」


深玖「な、なにを言って……」


小島「深玖殿、あなたは妊娠しているのですよ。誰の子供かは言う必要はありませんね」


 深玖が行為に及んだ相手など、世界でただ一人しかいない。だが、だからこそ疑問が残る。


深玖「違う……! ボクはちゃんと避妊したし、そんな兆候だって……」


小島「ホルダーは滅多な事では体調は崩しませんよ。


 あと、これは統計になりますが、しっかりと避妊していても2~7%は妊娠する確率はあるようですよ。どこかの豪運が祈ったら、それだけで妊娠する確率はあがるでしょうなぁ」


 深玖はもう、声が出なかった。目の前の男の話をただただ淡々と聞くしかできない。



小島「では、胎内にいる最愛の人の子供を傷つけたくなかったら、反抗せずにしっかりと健康でいてくださいね」


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