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クラウンゲーム  作者: 好きな言葉は酔生夢死、家から3歩出ることで毎日の運動タスクを消化し、健康的課題の高血圧については24時間断食することで対策を完了させている、200歳まで生きることが超確定した、常識はずれのバケモン
賭博師編
51/112

51 補講


 2年生の夏。


 すさまじく難しい期末テストとの格闘を終え、ボクは屋上で大きく伸びをするのだった。


由美「おつかれ深玖。どうだったテストは?」


深玖「なんとか7割は解けたけど……それ以外は全然解けなかった」


由美「それね! 数学の最後の問題とか、私、問題をよんですらないよ」


 中学から英才教育を受けさせられた私でも、かなりの難問が多い印象だ。


由美「そういえば、信矢君の方はどうだったの?」


深玖「スポーツ組は筆記と実技の両方で成績を判断するから、多分大丈夫だよ。テストの難易度も進学クラスに比べて全然低いし」


 勉強を教えるときに過去問を見たが、しっかりと中学を卒業していれば問題ない問ばかりだった。


深玖「で、ボクたちこれからエンドの定例会議に行かなきゃいけないから、ここでお別れだね。打ち上げ行きたいんだけど」


 如何せん由美は一応王族なのだ。きっと監視がつくだろうし、ホルダーが見張りにつく可能性もある。


 リスクが高すぎるのだ。


由美「そっか~残念。じゃ、私はその迎えの人が来る前に王城に帰るよ」


 不要なエンカウントを防ぐため、由美は階段を下りるのだった。




―――




理香「お待たせしました、由美様」


 相も変わらず、抑揚のない声にゴーグルをかけた姿の理香さんは学校の屋上に舞い降りた。


理香「?? 信矢さまがいらっしゃらないようですが……?」


深玖「えっとその~。実はシン君、赤点を取ったらしくて。今、補講の最中です……」


 なぜあんな簡単な問題が解けないんだと聞きたくなるが、今ぼやいても仕方がない。

 まあ、シン君の絶望する顔は珍しいのでメシウマだったりするのだが。


 2学期のテストでの挽回を期待しよう。


深玖「一応、自分の足で行くから先に行って問題ないって言伝は預かってます」


理香「そうですか。では参りましょう」


深玖「ホントすいません……」


 久しぶりに上空に飛び上がったボクは、とても申し訳ない気持ちになりながら目的地に向かうのだった。




―――




 およそ3か月ぶりに入る【エンド】のアジトは何も変わらず、見事なものだった。


深玖(いや、よく見たらジュエリー系のゾーンが増えてるな)


 多分、その辺の花瓶を盗んでも100万はくだらないだろう。


 その時、スマホに連絡が入った。


深玖(えっと……理香さんは奥さんと旅行中の湊さんの迎え、久さんは時計店で買い物、シン君は補講か……)


 理香さん以外、かなり時間にルーズだ。


 かなり時間がかかりそうだったので、自分で紅茶を淹れてソファに座ることにした。


 ダージリンのいい香りが鼻腔をくすぐる。



深玖「――誰ですか?」


 突然、後ろにホルダーの気配がした。


 気配は一人。


 久さんが帰ってきたのかと思いながら後ろを振り返る。


勇「やあ、初めまして。久から話は聞いてるよ」


 年は20代前半ほど、濁った眼をした彼は鋭い視線を向けながらボクに近づいてきた。


勇「俺の名前は、【五十嵐 勇】。【賭博師】って言った方が分かりやすいかもね」



結奈『うっそぉ、ビジュアル変わりすぎじゃない?』


 勇は中学生の時とは打って変わって、浮浪者のように生気がなかった。服はよれよれでみすぼらしく、肌はカサカサに乾燥し、変な匂いも漂ってくる。


結奈『いや会ったのは10年くらい前だから変わってるのは当然なんだけどさ』



深玖「あ、えっと初めまして。ボクは【巫女】の日海 深玖といいます。えっとすいません、実は今エンドの人員の人たちが出払ってて……」


勇「知ってるよ」


 勇はにたりと笑った。


勇「【剣聖】が補講ということも、湊のじっちゃんが旅行中なのも、理香が迎えに行ってることも、久が買い物してることも――」


深玖「へ、へー……。あ、あのなにか飲み物でも淹れましょうか?」


勇「そして、君があの人の子供だってこともね」


 気づけば勇はボクの目の前にいた。


由基人『おい、こいつかなりヤバい奴じゃないのか?』


深玖「そ、それは母を知ってるってことですか!? 教えてください、母はどうして死んだんですか、誰が犯人なんですか?」


 母の死の真相に迫れる機会を前に、ボクは父の忠告を無視してしまう。



勇「そうだねぇ、気になるよねぇ。でも、残念。君の冒険はここまでだよ」


深玖「?? それってどうい……」


深玖(あれ? なんだか眠く……)


 下卑た笑いを浮かべた勇の姿を最後に、ボクの意識は途切れたのだった。


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