39 短めのまとめ
その後、政明と合流した俺は、車を走らせながら口を動かす。
涼斗「そこで俺が肉を移動させて、【変態】の攻撃をさばいた。そして必殺の右の拳が炸裂したわけだ」
政明「そうかよ。おい、そろそろ5分だ」
一言断ってから、俺は涼斗に触れる。【道化師】のコピー時間は5分だ。【裏切者】の効果が切れないよう定期的に触りながら、移動をしている。
今回の相手は近接がメインだったため、この制限は問題なかったらしい。だが、そうでなかったら厳しい戦いになっていただろう。相性がよかった。
涼斗「それで? 結局君はなにか収穫はあったのかい?」
政明「………………」
結局、政明は勇から【漆黒の布】をもらわなかった。
政明「本来、俺の持ち物ってわけでもないからな」
つぶやきのような小さな声は排気音に紛れて涼斗には届かない。だが、政明の納得した顔を見て涼斗は少しアクセルを強く踏むのだった。
―――
久「そうか、【変態】が死んだか」
勇の直通電話で報告を受けながら、【君主】、青鹿 久は考え込む。
この短期間で【エンド】の人員が著しく減ってしまった。基本、エンドは自由な組織だがそれでも仲間が減るというのは悲しいことだ。
湊「今思えば、【黄金の粘土】の情報も操作されていたのでしょう。写真に合成の痕跡がありました」
紅茶を淹れながら【勇者】、佐藤 湊は口を出す。
久「上手く情報操作されていたというのか。向こうには、かなりの知恵者がいるらしいのう」
湊「そうですね。正直、家内が心配です」
そう言いながら、自分の妻の安否を案じる湊。御年64歳、同い年の夫婦の佐藤家は仲睦まじい。
久「そういえば、彼女もホルダーじゃったのう。どうじゃ? 【エンド】に勧誘せんか?」
湊「ご冗談を。あいつには、余生まで幸せに生きてほしいです。それに去年孫が生まれたのでね、我々の年金が火を噴きますよ」
久「そうかいそうかい。まあ今、そのことを考えても仕方がない」
そういえばと、思い出したように湊は久に疑問を投げかける。
湊「理子殿が所持していた【丹のロープ】はどうなったのですか?」
久「……ああ、あれは今、【浮遊者】が持っておるよ」
湊「どうやって回収したのですか?」
久「なんでも、理子はロープに対して、自分が負けた場合に自身を殺すように命令していたらしい。そして、無限に伸びるロープの能力を使って、常に【浮遊者】に触れられている状況を作った。死んでも敵に宝具が渡らないように対策していたのだ」
あの時、闇に向かって細いロープが伸びていたのは、その先に【浮遊者】がいたからだ。
政明とサイに倒された理子は、自死を選び、宝具の所有権を【浮遊者】に移譲。そして、宝具の移譲を感知した【浮遊者】は、理子の死体を回収した、というのが事の顛末だ。
久「とりあえず、これからのことは勇と【浮遊者】が集まってから考えようか。それに、まだ埋葬が済んでおらんしのう」
久は【沼井 理子】の遺灰を思い出しながら、場を解散させるのだった。
次話から、22時くらいに投稿していく予定です!




