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クラウンゲーム  作者: 好きな言葉は酔生夢死、家から3歩出ることで毎日の運動タスクを消化し、健康的課題の高血圧については24時間断食することで対策を完了させている、200歳まで生きることが超確定した、常識はずれのバケモン
変態編 PART2
109/112

109 ハジメと夏芽


 時は少し――いやかなり遡り、綾都


 綾都はかなりの先進国だ。それを支えているのは資源の豊富さ。


 山を散策すればレアメタルが、地中を掘れば石油が、川で遊べば砂金が手に入った。


 ある晴れた日、綾都の王族【青鹿 (ハジメ)】は視察としてクセン共和国との国境付近に来ていた。


 周りを護衛で固めながら労働者との面談を行う。国を守る王族として、住民の意見を直接取り入れるのは重要な仕事だ。


 その日もそんな一日になるはずだった。ある一人の女性と出会うまでは。


 仕事が終わり自然の風景を見たくなった俺は、川べりへ来た。


 小川のせせらぎを聞き、流れに揺蕩う水草を見て、自然を肌で感じる素晴らしい時間だ。


ハジメ「……ん? おい君たち、なにか上流から流れてきていないか?」


護衛「そうですね。敵でしょうか? 迎撃したしますか?」


ハジメ「いや、もう少し様子を見よう」


 川上から流れてくる人のようなものがはっきりと見えた時、俺は考えるより先に体が動いていた。


 衣服が濡れるのも厭わずに川に入り、その女性のもとへ向かう。


護衛「お戻りください、川は危険です! それに、言いにくいですがその女性は恐らく死んでいます。あとで救助隊を派遣して回収いたしますので戻ってください」


 体力の少ない女性がこの時期に川に流されている。護衛の判断は正しかった。だが、唯一の誤算はその女性がホルダーだったことだろう。


 ハジメは己の身の危険も顧みず、女性のもとへ駆けつけ見事に抱き留めた。


ハジメ「――まだ息がある! 頭部にひどい傷があるがまだ生きている。すぐに医療班を呼べ!」


 それが俺と夏芽の出会いだった。




―――




 レリウス王国とエンドの戦争から6年。日々の多忙な仕事に忙殺されながら、俺はある一つの手紙を受け取っていた。


ハジメ「これは?」


政明「はっ、国王様が探し求めていた情報を持つ方からの手紙です」


 そう報告するのは、数か月前にレリウスから派遣されてきた外交官の【神村 政明】だ。


 丁寧な仕事に、高いコミュ力で上手に馴染んでいる。


ハジメ「俺が求めていた情報?」


 執務室に政明以外がいないことを確認してから開封する。




拝啓 【青鹿 一】様


初夏の風が緑の香りを運ぶ折、いかがお過ごしでしょうか。


 突然の書中にて失礼いたします。

【夏芽】さんについて、あなた様が求めている情報を、私どもは確かに握っております。


 この件につきましては、ぜひ私と二人きりでお話しさせていただきたく存じます。


 お時間の許す折に、政明へご連絡ください。速やかに参上いたします。


敬具

【穂塚 成美】



ハジメ「……なるほどな」


 内容を一通り読み終え、俺は政明を睨む。


ハジメ「随分な内容だな。なぜ俺が夏芽の情報を欲していると知っている。それに、そもそも夏芽の情報をなぜ君たちが知っている?」


政明「それはお答えできかねますが……。まあ、ハジメ様の様子を見れば一目瞭然ですよ。ずっと夏芽さんについての情報を探していましたし。あと、【根元 俊介】様が言ってました」


 あの坊主頭、あとで説教だな。


ハジメ「まあ、用件は了解した。俺としても夏芽の情報は欲しい。神村君、君の仕事における誠実さは評価している。君の信頼に免じて、この穂塚という男と会ってやる」


政明「かしこまりました。ご希望の日時はございますか?」


ハジメ「なるべく早くだ」


政明「なるほど、それならばちょうどいい。あっちは準備万端だぞ」


 政明の口調が変わったのを聞き、ハジメは目を見開く。


 そして執務室の中央、なにもない空間に紫色のリングが現れた。大きさは直径1.5メートルほど。

 人一人が通り抜けられる大きさだ。


 そして、リングの先には別の空間が広がっている。こちらとは違う風景の世界から二人の男が出てきた。



穂塚「ここが綾都……とんでもない宝具ですね」


 一人はガタイの良い男。ホルダーの気配を感じる。


??「ホッホッホッホッホ、これでオイラの仕事は完了じゃの。じゃあ、これで。用があったら連絡してくれい」


 そしてもう一人、80を過ぎたよぼよぼの、しかし元気な老人が出てきた。


ハジメ「な、なんだお前らは!?」


穂塚「初めまして、青鹿様。手紙の送り主の【穂塚 成美】です。なるべく早く、とのことでしたので参上しました」


 常識がないとか、誰だとか、国際的に問題があるとか、諸々言いたいことはあるがハジメは一旦飲み込む。


ハジメ「……そうだな、初めまして。それにしても、随分と敵意を向けているな。我がそこまで気に食わないか?」


穂塚「ええまあ」


 にべもなく放たれたその言葉に、いったいどれほどの意味が込められているのだろうか。だが、一国の王であるハジメは、これまでも様々な害意に晒されてきた。今更すぎるのだ。


ハジメ「それに貴様は……【交換師(トレーダー)】だな?」


 ハジメは、穂塚と共に出てきた老人――【伊地知(イジチ) 弘人(ヒロト)】を睨む。


弘人「オイラのことを知ってるか。まあ、有名な部類の称号だからねぇ」




 あなたは【交換師(トレーダー)】のホルダーになりました。

 称号取得条件

 【??】以外の全てのホルダーに直接触れること。

 特殊能力

 同時に直接触れたホルダーの称号を入れ替えます。

 専用宝具

 菖蒲(アヤメ)のリング




弘人「まあ、君たち若者の邪魔をするつもりはない。政明君、用があったら呼んでくれ」


政明「了解だ」


 弘人は簡潔にそう言い残すと紫の輪を通り、消えてしまう。



菖蒲(アヤメ)のリング】

効果 マーキングした場所へ空間を繋げることができます。

専用効果 マーキングした人へ空間を繋げることができます。



政明「じゃあ、俺は外で待ってるから適当に終わったら呼べよ」


 それだけを言い、俺は部屋を後にするのだった。


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