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クラウンゲーム  作者: 好きな言葉は酔生夢死、家から3歩出ることで毎日の運動タスクを消化し、健康的課題の高血圧については24時間断食することで対策を完了させている、200歳まで生きることが超確定した、常識はずれのバケモン
変態編 PART2
104/112

104 巫女三世


渚「ばいばーい!」


 小学校が終わり、ボクは友達と別れてから一人家路をたどる。


 正直、下校するだけならホルダーの力を使えば数分で終わる。だが、せっかく友達がいっぱいできたのだ。そんなもったいないことできない。


 ま、パパなら一人で勝手に帰っちゃうのかもだけど。


 早く家に帰って宿題をやろうと少し足早に移動を開始する。


 その時一つのホルダーの気配を感じた。


渚「あれこの感じ……近くにホルダーがいる?」


 誰だろう。ママは事務所だしパパはどこかに行ってる。


渚(アキ兄ちゃんか由美姉ちゃんかな?)


 未だに、身内以外のホルダーに会ったことがない渚は特に躊躇うこともなくその場所に向かう。


 その道中、まるでこの世の終わりだとでもいいたげな悲鳴が聞こえた。


渚(ん? なんかこの人変な動きしてる。しかもあの奇声――いやもしかして【不死】の秀二さんかな?)


 あの人よく情緒不安定になるし。


 まるで苦しんでいるかのように、そのホルダーはその場で動き回っていた。しかし、気配で分かるのはそのくらいなので、やはりこの目で見ないとなにも分からない。



 レリウスの端の端、廃墟のような場所に着くとそこに目的の人物を見つけた。


渚「……誰?」


 そこには見たこともないホルダーがいた。背中まで伸びた髪に雪のように白い肌、身長は高くも低くもなく中世的な顔立ちだ。


 ユニセックスな服というのだろうか、パーカーにジーンズを着たその人はその場で苦しそうにのたうち回っていた。


 そして、その奥には服をはだけさせた中年男性が慌てたように逃げ出していた。


渚「だ、大丈夫?」


 とりあえずボクは反射的にその人に駆け寄る。


 もしかしたら、さっきの中年に乱暴されたのだろうか?


 その人の顔を近くで見れば、かなり綺麗な顔をしていた。年は10代後半といったところか。


?「は、離れろ……。貴方まで危険になる」


 しかし、ボクのことなど眼中にないのか、ふらふらとした足取りでその場を離れようとする。だがすぐにこけた。


?「女の子にそんなこと言っちゃだーめ。もっと女心を理解しないと」

?「うるさい! 黙れ黙れぇ!! 私の中から出ていけ!」


 えっと……? なぜあの人は自分で自分と会話しているのだろうか。もしかして、危ない人なのだろうか? 学校の先生から危ない人とは関わらないようにとさんざん言われてきている。


 だが、あの人が苦しそうにしているのも事実なのだ。やはり、放っておけない。


渚「あ、あのっ! すぐ近くにボクの家があるんです。その、来ませんか?」


?「え、ホント? 嬉しいね~。ホルダーの家にお邪魔するなんて、奴隷以来だね。ほーら【(リン)】、女の子の誘いを無下にしちゃいけないよ~」

?「それは……うッ、私が決めることです」


 相変わらず、まともに会話が成立しない。


?「もう、強情なんだから。まあ確かに、いまのままホルダーの家に行っても少し不安ですね」


 なら仕方ないか、とでも言いたげに肩を落とす。


?「じゃ、目撃者を殺して離脱しますか」

?「なにをする気だ!?」

?「決まってるじゃないですか」


 凛と呼ばれた(名乗った?)人は手を刃物の形に変形させた。



 あなたは【変態(サイコパス)】のホルダーになりました。

 称号取得条件

 サイコパスであること。

 特殊能力

 体を自在に変形することが可能です。

 専用宝具

 黄金の粘土



?「さようなら、幼女さん」


 凛はなにも躊躇うこともなく、ボクに向けて手の刃を振るった。対するボクは少しも動けない。


 生まれてこの方、こんないきなりの戦闘は初めてだし、なにより委縮してしまっていた。


 目の前の得体のしれない生物に。



信矢『――緊急事態だ。俺が出る』



 だからだろうか、頭の中に変な声が響いたのは。


 刹那、ボクの意識は暗闇に沈んだ。暗く、しかし温かいそこでは外界の景色が見えた。


 凛の振るった刃をボクの体は紙一重で回避。そして、近くに落ちていた鉄パイプを拾って戦闘態勢を取っていた。



渚「……え? なにここ。……え?」


 なにも分からず戸惑うボクに一人の女性の声が届く。


深玖「……初めまして。って言っても、こっちはそうじゃないけどね」


 ボーイッシュな短髪に生命力あふれる瞳。足も長く、モデルさんだと言っても過言ではないほどスタイルの良い彼女は、母親のような笑みを浮かべながらこちらの隣に座ってきた。


渚「えっと……は、初めまして」


 そして、これが最も重要なのだが彼女はボクにとても似ていた。見た目は高校生だが、ボクがこのまますくすく成長すればこんな感じになるのではないかと思うくらいには。


深玖「ずっと……会いたかったよ」


 涙を流しながら、その人はボクを(実際には触れられないけど)抱きしめてきた。


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