閑話:ギルマスと王
ヘルメスの合格通知は、ギルマスを通して王様にも伝わる。これはそれを見たギルマスと王様の何とも不思議な物語だ。
「ふむ、ここにある筆記試験とはなんじゃ?こんなもの無かったと思うのじゃが・・・」
「王よ・・・貴方は余りにも優秀過ぎて筆記は免除になったと伺っておりますが・・・」
「ほう、そんな理由があったのか。」
王は、自分がどれだけの事をしていたのか自覚が無かった。ある意味で大物だ。
「ふむ、するとこの実技の方が気になるのう。かなりの術者じゃったのに、この点は些か疑問に思うのじゃが」
「それは私も思いましたので、聞いて参りました。(王:『ほう、流石に仕事が早いのう』)彼の試験官を務めた者から話を伺いましたところ、どうも試験官を襲ったとか・・・他の周りに居た人も探して事情を聞いてみると、試験官が彼に舐めた態度をとった所、彼が的に術を掛けて襲わせたそうです。しかも、完全に無害な方法で、です。」
「ふむ、聞く限りその試験官、調子づいておらんかの?しかも自分のせいで痛い目にあったのに相手のせいにすると・・・これはちと懲らしめんといかんのう・・・」
王は目を鋭く細め、合格通知を眺めた。
その時のことである。突如一陣の風が吹いた。
それと同時に玉座の背後に一つの人影らしきものが現れる。二人はすぐさまそちらを見て、跪いた。人影のある方を見ても何かに阻害されたかのように姿は視認出来ない。
「「ご機嫌麗しゅう、我が主よ」」
「ご機嫌麗しゅう。なんか面白い話をしているね。」
と、人影が答えた。声は男性の物なのか女性の物なのか、今一判別出来ない。まるで声を何かで変化させたかのようだ。
「は、先日我が国に『錬金術師』と名乗る人物が現れました。異常と言えるような力を持っているのですが、学院の試験監督が私情で低評価をしていることについて話しておりました。」
間髪いれずギルマスが答える。
「そう。あ、因みにその錬金術師は下位世界からの渡航者だから。元の世界の法則では存在してはならない物を精製しちゃったみたいだからこの世界に渡ってきたんじゃない?」
「・・・となると、あの者は貴方方のような―――――に仕えているのですかな?」
「いいえ、誰にも仕えていない。だからこそ奪い合いにもなる可能性がある。十分に注意する必要があるというわけだね。取り敢えずは貴方達のような対応で問題無いと思うけど」
「わかいました。」
「じゃあ、そろそろ失礼するね。」
またもや風が吹き、人影はかき消されるが如く消えていった。




