呼び出し
又遅くなりました。今後遅い事が続くかもしれませんが、止める気は無いのでご安心下さい。
||持つ者には与えられ
||持たぬ者からは取り払われる
||その気は全てを与え
||全てを奪う
さて、森に向かう最中図鑑を見てみたが、どうもこの世界に転移して来た時に襲ってきた奴らと同じ生物だということが分かった。うん、丁度いいし、変性術について詳しく調べてみよう。・・・スライム討伐で。
まず、仮説だ。変性術は名前からして、あらゆる物質を変化させる能力だと思われる。しかし、性質を変えるのであれば、別に物質で無くてもできるのではないか?思い立ったが吉日、すぐさまスライムを探す事にする。
(っと、そんな面倒くさい事するより、有効的に実験しちゃうか。)
まず、適当な石を探す。そして、<石>という概念から<スライムの大好物>という概念へと変換するよう念じる。当然、エネルギーは周囲から奪うようにする。すると、そこら中からスライムが持っている石目掛けて集まって来た。
どうやら成功のようだな。変性術は概念的な物も変えられるみたいだ。しかし、物凄いお腹が減った気がする。金を錬成した時の比じゃないようだ。周りを見渡すと、雑草や低木がかなり枯れていた。範囲は半径10歩位だろうか。つまり、エネルギーはそれくらいの範囲からしか奪ず、更に変性の仕方を事細かに指定しないと大量のエネルギーを使用しなければならないという事だろう。案外制約が多そうだ。
(っと、悠長な事考えていないで、討伐か。)
スライムの体は残さないと討伐した事とならないので、蒸発させて倒す事は出来ない。しかし、スライムだって生物だ。空気が無ければ生きていけないだろう。そこで、スライムを金属で一回塗装すれば、持ち運びも楽だし簡単に倒せるだろう。早速実行してみる。エネルギー問題は深刻なので、スライムから奪えるかも同時に試してみた。結果・・・
「・・・何?この光景。俺何かしたか?」
引いてしまいたくなるほど、大成功だった。ほとんどのスライムは窒息死しているし、エネルギーが足りなくて塗装出来なかった奴らは、文字通り力尽きてしまっていた。
追加で分かった事もある。変性術は、念じた事が実際にそうなると信じて始めて発動するようで、エネルギーはその実行に必要なコストであり、釣り合うならどんなものにでも代用は可能なようだ。・・・それが自分で扱える物ならば。
取りあえず依頼通り倒したし、もう夕方なので、瓶にスライムを詰めて町に戻る事にする。ついでに周りのエネルギーから自分のエネルギーに変換出来ないか試してみたが、それは出来ないらしい。
さて、ギルドに寄ってみると、受付が呆れたような目でこちらを見てきた。
「俺、何かしましたか?」
「・・・いえ、なにも。依頼は完了したんですよね?こちらに瓶とギルドカードをお出し下さい。因みに、熟練の冒険者でもこんなに早く依頼完了出来た人はいません。」
何故だ?何故引かれたような気がするんだ?まあ、いい。取りあえず瓶を渡し、報酬も貰ったので帰ろうとする。
「あ、お待ち下さい。本部からの連絡で、後日C階級審査を行う予定なので、本部まで来てくれとの事です。」
「随分急ですね。まだ会ったこともないはずだし実績も無いのに良く気前の良い事を認めてくれたというか何というか・・・」
「人類にとって強さは生き残る為に必要不可欠ですから、可能性がある人を隅に置いておきたくないんです。当然、嘘ついていたりすると罰則のある場合もありますし、疑われているのには変わり無いのですが、だからこそ真偽を確かめる必要があると判断されたわけです。」
「分かりました。本部までは案内などはあるんですか?」
「はい、ギルドの方から馬車を出させて頂きます。出発時刻は明日日の出と共に、場所は本ギルド前です。遅れないようにして下さい。」
「分かりました。」
とりあえず宿屋に戻り、飯でも食べて今日は寝よう。
・・・・・・・・・
・・・・・・
・・・
翌朝、ギルドを出発して王都へと向かう。しかし、出発して早々疑問が湧く。ここは唯一の旅仲間(?)、御者に聞くしかない。
「すみません、何で護衛がいないんですか?」
「あれ?聞いていないんですか?貴方の魔術があれば護衛なんていらないから、経費削減の為護衛は雇わないと聞いていますが。」
なんてこった・・・あんなエネルギーを使う物を一人に押し付けるとは。
「貴方は魔術とかは使えるんですか?」
「まあ、多少は。」
といいつつ、実演してくれた。
≪イグニス≫そう唱えた御者の手から、火が出てきた。しかし何というか・・・
「魔術使っているのに全然疲れて無さそうですね・・・」
「何言っているんですか?人間の魔術は基本体内の魔力とか呼ばれる物を使ってやるので、精神的にくることや頭痛の原因にはなっても疲れる事はありませんよ?」
いや、そんなにいぶかしそうに聞かなくても・・・
「私は使用すると物凄いお腹空いて疲れる事が多いのですが・・・」
「うーん、それは分からないな~。まあ、王都に付けば何か分かるかもよ。」
ということで、この問題は考えない事にした。
旅は順調に進み、そろそろ一週間が経とうとした頃の事である。ゴブリンと呼ばれる者達が襲ってきた(人間じゃないけど亜人間だから"者"が使われる事が多いらしい。知恵はからっきし)。しかもご丁寧に完全武装をしていた。
「なんというか、醜いな~・・・。」
「そんなこと言ってないで何とかして下さい!!!私だけじゃどうしようもありません!!!」
そんな事を言ってきたので、この前スライム達にやった事を思い出し、ゴブリン達の武装とエネルギーを使って、口を塞いでやった。形状変化と移動だけなので、こちらとしても楽だ。"ゴブリン達は全員窒息死した。"その光景を見ると、流石に少し引いてしまった。そんなこんなでひと段落した時のことである。
「・・・貴方様のその魔術、どうやら魔力は一切使ってないようですね。」
ん?いきなり御者の人が気になる事を言ってきた。ちょっと聞いてみよう。




