調査
相当遅くなりました事、深くお詫び申し上げます。(いや、現実が物凄く忙しくて・・・)
||欲ある者から全ては奪われ
||欲無き者には全てを与えられる
||欲無き者は全てを得ると
||欲を持ちだす
町に辿り着き、辺りを見回してみる。どうやらこの町は、石造りではなく、木造の田舎といった感じの場所だ。少し歩けば小規模(といってもかなりの広さ)の畑が見え、町と村の瀬戸際といった所だ。最初村と思ってここは何村だと聞いたら、
「ここはサルフィスの町だよ。」
と睨まれてしまった。
(というか、言葉通じるんだな。そういえばここは元の世界の上位世界だとかあの声が言ってたな。両世界の関係性が強いのか、それとも言語能力が転移時に変換されたのか・・・)
そんな事を考えたが、兎に角情報収集である。
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・・・・・・
・・・
まず一つ目。どうやら、この世界には魔法と言われる物が存在するようだ。しかし、魔法といっても一概には言えないらしく、その種類も多種多様であるそうだ。しかも、同じ魔法であるはずなのに、術の行使にあたって必要とされるエネルギーが違うこともよくあるときた。但し、使える術は個人個人で決まっているようである。もしかしたら俺の変性術も魔法の一種なのかもしれない。
次に、異世界から来た存在というのは珍しくないらしい。先程色々な魔法があると言ったが、召喚術もあるようだ。但し、召喚術は全て術者の存在と召喚者の存在が物理的、若しくは精神的に接触する必要がある。最低限名前位知り合っていなければ、存在指定が出来ない為、召喚は出来ないそうだ。
(ということは、俺が来たのは召喚によるものではないのか?しかし、賢者の石から生まれたとか言ってたよな・・・つまり、対象と行使者が同時点に存在してたんだから、転移術とでもいうのか?)
とまあ、自分の身の上に起こったことについては、大方理解出来た・・・はずだ。何か忘れている気もするが、まあ、思い出せない位だし、気にする必要も無いだろう。
そしてこの世界について。この世界は特に呼び名が決まってはいないらしい。敢えて言うなら『世界』だそうだ。・・・いや、本当だろうか。この町の人が知らないだけじゃないのだろうか。 しかし、異世界からは神界と呼ばれる事が多いらしい。あらゆる術を使用出来る世界である為、他世界へ干渉してしまい、崇められることが多い為だそうだ。現実は酷なもので、ごく普通の人間の方が多いそうだ。・・・他世界の皆様へ向けて手を合わせておこう。
閑話休題。
この町のある国の名前は、『ショルジニア王国』だそうだ。貨幣は世界共通で『メビウス』が使用されている。それに追加して、各国特有の単位がある場合もあるそうだが、この国には存在しないようなので気にしない。
で、これが一番大切な事。この世界には魔物と呼ばれる者達がいるようだ。しかし、知性ある場合、それは神と呼ばれる事もある。勿論、邪神と呼ばれる事も。そんな中、非力な人間は滅亡を防ぐ為、ギルドを立ち上げている。依頼を受注し、それをこなした者に報酬を与える組織である。このギルドのみ各国の影響を受けずに独立した存在なのである。又、その部外不干渉という特性故にここで発行される組合員証は身分証明書ともなり、ほぼ全ての人間が持っているのである。
身分証明書は大切である。何をするにも信用程価値のある物はない。特にこの世界は変装というのが異常な程巧妙な時もあるのだ。という事で、ギルドで登録を行う。
「では、こちらにお名前と生年月日、そしてこちらに住所と仕事を記入して下さい。最後に拇印をして頂ければ完了です。」
困った。生年月日はいいとして、住所と仕事をどうするか。
「・・・あの、実は特に住所という者が無いんですが。」
「ということは、冒険者か傭兵などでしょうか?その場合、住所は書かなくても良いですよ。」
うん、異世界から冒険しに来ているようなものだし、冒険者で良いだろう。という事で冒険者と記入した。
「はい、完了です。このカードは貴方が貴方自身と証明するものなので、無くさないようにして下さい。といっても、盗まれたとしてもこのカードによって本人では無いと示されるだけなので、落とさない限り危険はありませんが。次いで、冒険者との事なので、適正検査を受けて貰います。こちらへどうぞ。」
と言いつつ、訓練場と書かれた部屋に通してくれた。
「では始めます。見たところ武器は無いので、魔術師でしょうか?」
「いえ、錬金術師です。」
正直に答えた。
「・・・は?」
当然反応はこうなった。そりゃ、普通はただの研究者だもんな。
「れんきんじゅつし?なんですか、それは?初めて聞く魔術ですね。」
・・・は?まさかこの世界には錬金術ってないの?まあ、いい。見て貰った方が早いだろう。近くに巻藁があったので、それを拝借することにする。
「あの、この巻藁貰ってもいいですか?術の特性上、私が所有していた方が良いのですが。」
「そういう事でしたら構いません。」
言質はとった。まず、この巻藁を成長させてみよう。乾燥していて生物として生きていないのは分かるが、細胞というのは残っている。その中にある生物を生物たらしめる情報源をコピーし、エネルギーを用いて増殖させるだけだ。一応さっき親切な農家の人から食材を分けて貰って食べたので、エネルギーは十分だ。少しずつ変化していく様をその方法と同時に念じ、エネルギーを流す。エネルギーは使いすぎてお腹がすかないように注意して作業する。結果・・・
「「「!!!」」」
周りにいた他の人が驚くほど立派な木がその場に出来上がった。(といっても若木程度なんだけど)
「こ、これは・・・まさか、神格級!?人間族でそんな存在があるなんて・・・」
あれ、やり過ぎた?まあ、いいか。細かいことは気にしないのが一番だ。取りあえず、まだ披露は終わっていない。別に農家とかやっているわけではないのだ。まず、成長させた木を元に戻す。ただ単に似通った細胞を纏めてサイズを元になるようにするだけだ。エネルギーは、木が光合成で生み出すエネルギーと、成長に使ったエネルギーを転用する。で、所持金がないので、その木を金へと変性させる。前の世界で賢者の石を錬成出来ていたので、大まかな理論はわかるのだ。物質の最小単位の存在は他の物質となんら変わりが無いので、エネルギーさえあればその構成や量をいじるだけで簡単に作れるのだ。エネルギーは、今までの比ではないほど使用するだろうと予想できるので、周りにあるエネルギーを転用できるか試みる。すると。以外な程簡単に成功する。空気中にちゃんとエネルギーが満ちているのだ。それを使って金を錬成していると、周囲が更に驚いていた。まあ、無理もないか。貴金属がいきなり現れたように見えるんだから。
「あ、先程話したように、所有権は私にあります。貴方方にはあげないので悪しからず。」
「え、・・・ええ。しかし、本物なのですか?信じられませんが、幻覚の類では?」
「じゃあ、試してみましょう。両替商を呼んできて下さい。」
長ったらしいので少し割愛する。結果として、この金が純金、しかも有り得ない程の高純度だと証明された。その場で少し削り取り、メビウスに両替して貰い、その場を立ち去った。・・・金の木を持ちながら。
補足します。
生物に組み込まれた設計図とは遺伝子。
物質を構成するものは、この場では電子、陽子、中性子の事。これのそれぞれの比率で元素は出来ている為、金と同等の数になるように周りから集めていたのである。
金は1cm^3あたり19.32g。両替の仕方は想像にお任せしますが、水に入れて零れた量から計算するという方法が有名。(余り正確では無いが。)




