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アルケミスト~闇の世界で闇に生きる~  作者: 我流技褄
第1章 転移
3/19

模索

||貴方が私を見ようとする時

||貴方の前に私はいない

||貴方が私を得ようとする時

||貴方は私に(さわ)れない

||だが貴方が危なる故に私を求める時

||貴方は私を得るだろう。


 ゲートを潜り抜けた先は、鬱蒼とした森の中の空き地。太陽の位置を見ると昼頃のようだ。・・・まあ、元の世界と法則が違う場合、本当に昼なのかどうか分からないのだが。さて、先程の声によれば詳しい話が聞けるそうだが・・・

「・・・おい。」

『・・・』

なんと無言だ。というか、存在自体がいるかどうか分からないので、ここは逃げやがったと思うのが妥当か・・・。なんかイラついてきた。こういう時こそ落ち着いて・・・さて、気を取り直して。

ちゃんと賢者の石は無くなっているようだし、完全に嘘という事は無いだろう。ここではエネルギーさえあれば錬金術を行使出来るみたいなことを言ってたな。頼みの声も聞こえないので、取りあえず何かしら試してみよう。



 まず取り出したるは木の板の適当に丈夫な枝。(当然拾ってきた。)これを桐の要領で擦り合わせ、摩擦熱で火を起こす。なんと原始的な・・・

(自分でやっててなんだけど、よくこういうの出来たな。)

さて、火は四大元素(火、水、空気、土)の一つであり、当然エネルギーを持っている。じゃあ、試しに石を鉄にできるかやってみよう。(というよりやり方を探ってみよう。)まず火の中に石を入れて、鉄になるように念じてみる。


・・・・・・・・・

・・・・・・

・・・


馬鹿馬鹿しい。そんなんで出来たら苦労しないよ。よし、今度は石に記号を書いてから火に入れてみよう。この記号というのは錬金術記号と呼ばれるもので、本来なら錬金術の情報を秘匿し、解かる者にのみ伝わるように作られたものだ。(因みに、鉄は♂である。)これも馬鹿馬鹿しいが試してみよう。


そうして日が落ちるまで試していたが・・・結果は惨敗だ。しかも・・・

(やべ、色々試していて夕飯の事忘れていた。)

しかしもう暗いので、今から森の中に入るのは自殺行為だ。仕方ないので、寝る事にする。


さて、こういう時に考えてしまうことというのは、

(ああ、あの石パンみたいだなぁ・・・腹減ったなぁ。)

禄でもない事である。

(この石、本当にパンにならないかなぁ。)

そんな思いを抱きつつ、寝入ってしまった。


___翌日。

腹の空き具合が絶頂を迎え、目を覚ます。そして周りを見渡すと

「!!!」

なんと、周りがパンで溢れているではないか。しかも、なんとなく石と同じ位の大きさのような・・・

まあ、兎も角大切なのは食べれる事だ。人間、腹が減るとまともな思考が出来なくなるものであるが、汚そうだとか、何でこんな事になったのかなどと考える事無く食べることにした。


・・・・・・・・・

・・・・・・

・・・


「うん、普通にパンだ。」

しかし、不思議なことに全部食べても余り満たされないような・・・


 という事で、もうこんなお腹の空く思いをしたくないので、森で食材を探す事にする。

__特に準備もせずに。




暫く進むと、やはりそこは森。何やら動物が現れた。見たこともない姿形をしており、粘性物質みたいで気持ち悪い。しかもこちらへ近寄ってくる。普通動物なら人間がいれば逃げるはずなのに、なんで向かってくるのか。答えは簡単である。こちらを捕食できる自信があり、そうする気満々なのだろう。

「やっべ、逃げよ!!!」

すぐに180°ターンして、逃げ出す。しかし、後ろにはどこかで見たような粘性物質が・・・

どうやら囲まれたようだ。狩るにしても武器といったものは何一つ無い。というか、そこらに落ちている石を投げてもあの感じじゃあ、効果無さそうだ。

(ああ、蒸発とかしてくれないよな~。)

そんなことを考えつつ、目の前の粘性物質が蒸発する様を思い浮かべ、気持ち悪くなったので、その妄想を振り払い、前方を見る。

するとそこには__


「!!!」

妄想通りの結果が辺りを覆っていた。取りあえず危険は去ったようだが、その反動で、周りを見て吐きそうになる。そして、同時に気付いた大切な情報。腹が減っているのだ。・・・いや、さっきから減っていたし、激しく動いていたので更に減っていてもおかしくはない。しかし、どう考えても腹の減り方が尋常じゃないのだ。

(もしかして、これは変性術?そしてエネルギーは自分の持っている正しく(まさしく)エネルギーと!確かに詳しい事がある程度実地で理解出来たが・・・もし今度声が聞こえたらどうにかして捻り潰してやる!!)


結果、これは達成されることはない。そもそもその声は賢者の石と関係が強い為、賢者の石が代償として消えた今、その声が聞ける訳がないのである。・・・本人は冷静に考えることが出来ない状況の為、これを知るのはずっと先の事であった。


さて、それは兎も角目の前の問題だ。予想するに、今朝目の前に広がっていたパンは、無意識の変性術だろう。しかし、腹にはたまらなかった。恐らくだが、自分のエネルギーを用いて変性させている為、自分のエネルギーをパンという形で貯蔵していたのと同義だったのだろう。更に、術の行使にあたって貯蔵分以外にも消費しているだろう。となれば、自分で食料を産み出す事は出来ないはずだ。


ふと先程襲ってきた粘性物質のいた場所を見る。すると、残骸の中から木の実(恐らく林檎)と思われるものが見える。何故そんな所にあるか謎ではあるが、現在とても腹が減っているのである。深く考える事もなく、それを取って食べてみる。

(!!!不っ味!何、この動物を生で食べているような味なのに林檎みたいな食感は!)

食欲が無くなった。しかしまあ、腹に良く溜まるので、そこまで必要は無いのだが。


本人は知らないが、これは粘性動物の核であった。当然動物性のものであるし、粘性動物は基本雑食である。消化しきれていない分は核内で保管される。その為にヘルメスが食べた核は、林檎を食べていた個体であったのだと解かる。基本的には火に通すと美味しくなるのだが、本人がそれを知るのはもう少し先である。


さて、不味かったとはいえエネルギー補充という意味では十分であろう。という事で、町を探す事にする。幸い空き地からは細い道が見えるので、そこを辿っていくことにした。そして、転移2日目夜にして、町に辿り着いたのであった。

次話は少し遅くなる見込みです。ご了承ください。

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