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3-20【疑惑】

「ここにも居ないようだな……」


 突然兵士に襲われ始めてからしばらく、俺達は城内を探し回っているが、依然カストールを見つける事が出来ないでいた。


 流石に城内をくまなく……という訳ではないが、いくつかの部屋や城内で働いている人間に聞いてみたが、誰も知らないと言う。

 

 違和感と言えば、襲いかかってきた兵士……彼ら以外には襲われる事も問い質されることも無かった。


 こうなってくると一つの不安が頭をよぎる。兵士が言っていた、三賢人殺害。そう、三人だ。俺達が見つけた時、確かにカストールは一緒にいた。そして兵を呼びに行くと一人出て行ったわけだが……


「のうお主や……」


 事の確信を得たかのように、魔王が話しかけてくる。多分、俺と同じ答えが頭をよぎっているんだろう。


「ああ……多分、いや間違いないだろうな」

「うむ。流石にコレはのう……」



 消えたカストール。そして襲って来た兵士の発言。城内の違和感。これは――


「カストールも殺されたか」

「カストールに裏切られたんじゃろうな」

「ん?」

「はぁ?」


 ほぼ同タイミングの発言だったが、内容は違っていた。


「いや……お主よ。それはないじゃろう……」


 呆れ顔で魔王がこちらを見てくる。


「どう考えてもおかしいじゃろう」


「いやいや、お前……」


 同じだと思っていた考えが違い、驚きのあまり上手く頭が働かない。カストールが裏切った……?


「あやつが殺されるならわざわざ他の賢人と分ける必要は無いじゃろう。死体を見つけ、消えた男がいる。そして発見者であるわしらが犯人扱いじゃ。どー考えても裏切りじゃろうが!」


「裏切るならもっと早い段階で裏切ってるだろ。というか、今まで協力してくれてたんだぞ?」


「そもそもがおかしいんじゃよ。考えてみよ、アヤツ絡みの行動を」


 カストールが絡んだ行動……そう、最初はいきなり押しかけたんだよな。そうしたらすんなり会えて、話を聞いてもらって……ツグモリを紹介してもらって、賢人達を調べたんだ。そして追求しようとしたらあの惨劇だ。


「話がすんなりと進み過ぎじゃろうが」

 

「……そうか?」


「はぁ……国の代表に約束も無しに会えて、話を信じてもらえて、紹介された人間が知り合いで、あっさり調べてきて、しかも調べた相手は真っ黒だと言う」


 改めて言われてみると、確かに都合が良すぎか? いや、しかし……


「真実である確証が一つも無いのにお主よ、何故そこまで信じておる? お主はそんなに素直だったかの?」


 魔王が心底不思議そうな顔で俺を見る。


 そうだ、どうして俺はこんなにもカストールの言う事を信じている?


「じゃあ、もしかして……」


 ティナの呟きを引き継ぐ様に、魔王がハッキリと口にする。


「最初から、全て嘘だったんじゃろうな」




 まだハッキリした答えが出た訳ではないが、全て嘘だと仮定してみると今度は別の疑問がわいてくる。


 嘘というのは、当然相手を騙す行為だ。この場合、俺を騙している訳だが、なんの為に?


「さぁのう。勇者達……いや、お主の妹とやらは何を考えておるのか、よくわからんからの」


「今までは、アレウスさんにとって良い方向になるよう色々していましたけど……」


 俺を英雄にする為にやっている。以前そう言っていた。確かに結果的には俺の待遇は随分良くなっている。周りの被害を考えたら、けして許容できるものでもないんだが。


「じゃあ、今回はなんだ? 三賢人殺害なんて、この国にとってみたら大事だぞ。最悪、国が傾く」


「国が滅んでお主に良いことなぞ無いしのぅ。ん、そういえば以前は人間を滅ぼすとか言っておったかの?」


「いつの話だ、いつの……むし返すなよ」


 何もかも憎んでいた頃は、そんな考えも持っていたが、今はそうじゃない。あの頃迷惑をかけた事も、全部終わったら償わないといけないかもな……。


「この国が他国に攻め込むとかも無いですしね。実は三賢人が何か企んでいた……とかでしょうか」


「うーむ……ダメだな、考えても答えは出なさそうだ。取り敢えず足で何とかするしかないか」


「ならば最初に戻るとするかの。あの兵どもは明確に行動しておった。締め上げれば何か吐くかもしれん」


 結局俺達は城内でカストールを見つける事は出来ず、待たされていた部屋まで戻る事にした――。



 ◇◆◇◆◇◆◇◆



「さて、問題は……じゃ」


 部屋に戻って早々、魔王がそう口にした。


「問題……ですか?」


「うむ。こ奴らを黙らせるのにクロに頼んだ訳じゃが……どう起こしたものかのぅ」


 ぱっと見寝ているだけに見えるが、ただの眠りじゃない。現に揺さぶろうが叩こうが、一向に起きる気配は無かった。


「まるで魔王みたいだな……」


「なんか言ったかの?」


 ボソリとつぶやいた独り言に、魔王が敏感に反応する。


「わしは起きたくないから起きんだけじゃ。起きれないこ奴らと一緒にするでないわ」


 自慢気に胸を張ってるが、けして誇れた事じゃないからな、それ。


「クロちゃん、何とか出来ませんか?」


 ティナの問いかけに対し、任せろと言わんばかりに縦に体を跳ねさせるクロ。そのまま隊長らしかった兵士に覆いかぶさっていく。


「なんか、捕食されてるみたいだな……」


 みるみるうちに隊長の姿が溶けて消え……なんてことは無く、スルスルとティナの下へ帰ってくる。ややあって、隊長がピクリピクリと動き出し始めた。


「……これ、魔王を起こすのにも使えそうだな」


「そんな事をしてみよ。その時は魔王の恐ろしさをその身で味わってらうからの」


 いい案だと思ったんだがな……なんてやり取りはさておき、隊長が目覚めた様だ。


「うぅ……む、私は……一体」


「目覚めたようじゃの。お主よ、後は任せた」


 後はも何も、お前は何もしてないんだけどな。まぁ今は話を聞くのが先決か。


 さて、すんなり話してくれたら良いんだが――。



ここまでお読みいただきありがとうございますm(_ _)m

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