第八十二話 GOLDEN BLAZE
「――やっとできた。テンドウ、早くオイラを使うんだ! ……です!」
屋敷の中庭に響いたドンチンの声。
その声と南瓜の頭部だけになった姿を確認して、テンドウだけなく――同じアンデッドのメビナも戸惑っていた。
(どうなっている? 手足や胴体が消えただと……?)
無意識のうちに攻撃の手は止まり、あまりに予想外な事態にメビナは棒立ちとなる。
戦い自体は有利に進んでいたこともあって、一旦、様子見に入ったのだ。
「…………、」
一方、同じく戸惑っていたはずのテンドウはというと、
何を思ったのか、地面に置かれたドンチンに近づくと、その南瓜な頭を自身の頭に被ろうとする。
「!? ……小童どもめ、フザけているのか! このワタクシを前にしてずいぶんとナメた真似を――ッ!?」
癇に触ったメビナの骨の体から怒気が放たれる。
と同時に怒りの言葉が紡がれるが……それが最後まで続くことはなかった。
――強烈な違和感。
まるで兜のように南瓜を被ったテンドウの空気感が、一瞬にしてガラリと変わったからだ。
(何……だ、この感覚は……?)
魔力自体は多少、増えたとはいえさほど変わってはいない。
奇妙なのはテンドウとドンチン、二つあった魔力が一つに混ざり合い、別モノの魔力に変わっていることだ。
いわば人間と南瓜アンデッドの一体化。
それを骨の肌で感じてすぐ、メビナは視覚でもテンドウの変化に気づく。
白く燃え盛っていた炎の色が――変わっている。
『第三地下街』もほかと同じく橙色の光の魔石で照らされているため、多少なりとも判別しづらい部分はあるが……。
白の揺らめきから黄金の輝きへ。
間違いなく一番の脅威であり、直撃すれば地下の女王をも殺すことができる白い炎太刀が――黄金の炎太刀へと姿を変えていたのだ。
「ッ!?」
その刀身の炎も確認した瞬間、メビナの第六感が警鐘を鳴らした。
彼女にとってはおよそ五十年ぶりとなる感覚だ。
そして思い出すのは血の繋がった妹、現死魔道姫と相対した時のことである。
(……バカな。相手はただの人間と南瓜頭王族だぞ!?)
危険は危険であっても、テンドウの持つ白い炎太刀と交戦していた時でさえ感じなかったほどの危機感。
メビナは自分自身の感覚に疑問を持つが――それが当たっていたとすぐに分かった。
「【大文字斬り】」
「ッ――【氷鋭斬二枚刃】!」
テンドウ側から再開された中庭での戦い。
色を変えた黄金の大の字の炎の斬撃に対して、メビナはこれまで同様、真正面から氷魔法をぶつけて迎撃する。
「何!?」
テンドウとドンチンの混ざり合った魔力の量自体はやはり大して増えていない。
だが、威力を決定づける肝心の技の出力が明らかに強化されていたのだ。
――事実、完全に相殺されるはずの炎の斬撃が、形を崩しながらもメビナのもとへと到達。
とっさに避けることで難を逃れたものの、豹柄の毛皮の下に纏っている漆黒のドレスの裾が一部、燃えてしまっている。
「――さっきフザけてんのかって言ったな? こちとら命と、地上に戻れるかどうかが掛かってんだ。大真面目に決まってんだろバカチンが! ……と抗議します!」
テンドウではなく、兜となったドンチンの声が響く。
よく見れば右半身にあったはずの軽度の凍結の状態異常も、なぜかキレイさっぱりと消えている。
さらに注意深く観察してみれば、テンドウの全身は薄い膜のような揺らめく魔力に包まれていた。
「亡都固有種とは知っていたが……! まさかこんな能力が備わっていたとはな。……なるほど、だからあの『剣鬼』は矮小な貴様にも期待していたというわけか!」
「その通りだ。ちなみにこの状態のオイラたちは完全なる耐性持ちになってるからな。もう状態異常にはかからねえぞ! ……ってオオダケに教えてもらいました」
まるでドンチンがメビナと対等な存在かのように言葉をかわす。
ただ頑丈なだけ、滅法打たれ強いだけの矮小な存在である南瓜頭王族。
そんな相手の強気な言動にメビナは不愉快となる。
厚みのある頭蓋骨が軋む音が不気味に響くが……こうなってしまってはもう無視できる存在ではない。
どう考えてもこの南瓜がここからの戦いを――形勢逆転の鍵を握っているのだから。
「……何だかよく分からんまま、導かれるように被ったけど……。なるほどな、こういうことだったのか!」
一方、一人だけ置いてきぼりだったテンドウがニヤリ、と笑う。
南瓜な兜と燃え盛る黄金の炎太刀という、世界を見渡しても一人だけしかいない特別な姿となって、メビナに向けて構えを取っている。
ドンチンの兜化および装備による能力強化――。
とくに詳しい説明がなくとも、当の本人も対峙しているメビナも理解できていた。
「フザけた兜に黄金の炎といい……! この亡都にはまったく似合わん見てくれだな小童め!」
「ハッ、見た目なんかどうでもいいさ。――とりあえずもう一発、受けてみろ!」
状況を理解したテンドウから再び攻撃が放たれる。
技の大きさ自体はこれまでと同じだ。
ただ出力が上がったことで、大文字に宿る魔力と熱は大きく上昇している。
「――【氷室ノ盾】!」
それが到達する前に、メビナをすっぽりと囲うような正方形の氷の盾が生まれる。
刹那、ジュワァァア! という悲鳴のような蒸発現象が発生。
一瞬にして溶かされるも……黄金の炎はギリギリ本体までは届いていない。
印を結んで発動したぶ厚い氷の盾により、強化された大の字の炎を防ぎきってみせたのだ。
「……やっぱりそうか。印を結ぶと非攻撃系の魔法になるらしいな。分かりやすいから助かるぞ!」
「フン! 少し押し返したくらいで調子に乗るなよ、小童!」
またもニヤリと笑ったテンドウの顔を見て、メビナの骸骨な顔が怒りで歪む。
……あり得ない。たとえ強がりだったとしても決して許すことなどできない。
ついさっきまではなかった余裕の色。
それによってプライドを傷つけられたメビナは、再び戦況を自分側に傾けるべく、出し惜しみなしの大技を放つ。
「【異点氷結楔】!」
数センチの氷の欠片に空間が歪むほどの魔力が込められた氷魔法。
五十年かけて習得した、妹である現死魔道姫対策の切り札を――生意気な人間目がけて撃ち込む。
「【居合炎月】!」
瞬間、デジャヴとなる凄まじい衝撃波が中庭に生まれた。
二度目の攻防となる互いの最大火力の衝突。
それらが真正面からぶつかり合ったことで、足元の地面には亀裂が入り、暴力的な余波は周囲にあるすべてを飲み込んでいく。
前回はメビナに軍配が上がってテンドウに軽度の凍結状態を負わせたが、今回の激突の結果は――。
「「「…………、」」」
メビナもテンドウも、兜となったドンチンも。
威力の押し合いはまったくの互角であったため、誰一人として傷を負ってはいない。
制限が外れたことによる出力の上昇――。
その恩恵によって、メビナの氷に黄金の炎が追いついたのだ。
「……この『不思議強化状態』になってもまだ互角、か。さすがは元『不死の三傑』だな。……というかお前、妹と争わずに力を合わせてりゃ……とっくに骨人族ファミリーが亡都を統一していたんじゃないのか?」
「……フン、何も知らぬくせに。それができるのなら最初からやっている。ワタクシたち姉妹はどちらか一人だけ――真の共存などできぬ運命なのだ」
テンドウからの問いにメビナが答えた。
そしてすぐに話を打ち切ることはせず、もう五十年以上も前のことを思い出しながら語り始める。
姉のメビナと妹の死魔道姫。この強力なアンデッド二体で動けるのは片方だけ。
どちらか一方が起きている間は、もう片方は深い眠りについてしまうのだ。
それはかつてテンドウが戦った包帯人族ファミリーの頭と同じだ。
メビナの場合は双子でも結合双生児でもないが……姉妹揃って強すぎる力を持ったせいか、呪いとはまた違う制約が掛かったと思われる。
「――ゆえに共存は不可能。二体が同時に動き、『不死の三傑』二体分の力でほかの『三大ファミリー』に攻め込むことはできない」
ただし、一日だけ両者が自由となれる日がある。――それが亡都の命日だ。
なぜか亡都中のアンデッドの力が少しだけ弱まるその日だけは、メビナも妹も同時に動けたのだ。
それでも制約はあり、活動域はナワバリ内の東エリアのみ。
そして迎えた五十年目五十回目のその日に、この関係を嫌った姉妹による決闘が発生した。
結果は半日にも及ぶ激闘の末に妹が勝利――。
最後は人間時代にもなかった罵り合いと殴り合いによって決着がつき、今日に至るまで妹が死魔道姫を名乗ることになった――というわけである。
「――だが、互いが互いを殺すことはできない。ゆえに存在を知っていたこの地下空間に、弱ったワタクシは封印されて……」
と、そう喋っていた途中でメビナはふと疑問に思った。
なぜ自分はペラペラと自分のことを喋っているのだ? と。
無謀にも挑戦してきたただの抹殺すべき存在に対して、なぜ思い出したくもない出来事を教えているのか? と。
無意識のうちにその強さを認めていたのか……直属の配下たちにも伝えていないことまで口にしてしまっていた。
「……どうやらワタクシは気が違っていたらしいな。そんなことなどどうでもいい。すぐにあの世に送ってくれるわ、小童どもめ!」
「そうかい。なら続きをやるとしようか『氷の女王』!」
互いの叫びが中庭に響き、また凄まじい魔力の衝突が始まる。
二度三度と放っても決着はつかず、さらに四度五度と攻撃を重ねていく――その中で、
テンドウの黄金の炎太刀から【大文字斬り】が放たれ、それを【氷帝ノ逆鉾】でも相殺しきれず、また少し服を焼かれた直後。
霧散した炎と氷がまだ空中に漂う中、メビナの動きがピタリと止まった。
(――違う。何だ今のは……?)
今の攻防で感じた違和感にメビナが首を傾げる。
もう何十回と見ているはずの炎の斬撃だが……これまでと何かが違ったのだ。
――ただ、驚いていたのはメビナだけではなかったらしい。
「今のは……。これならもしかして撃てるのか?」
相対するテンドウもまた同じような反応を示していた。
その顔色こそ兜化したドンチンを被っているため見えないが、口元と雰囲気で驚いているのは分かる。
直後、間髪入れずにテンドウが動いた。
メビナの体に狙いを定めて、また【大文字斬り】を放ってきた――と思いきや、
「何だと!?」
黄金の炎太刀から灼熱の炎の斬撃が飛んでくるも、これまでとは明らかに違う点が一つ。
『魔道無心流』。
中、遠距離の飛ばす斬撃技だけは、通常の剣の振りだったはずなのに、
【大文字斬り】まで独特の流れる水のような振りで撃ってきたのだ。
――そして、重要なのはその後だった。
またニヤリと、メビナの神経を逆なでするような笑みを浮かべたテンドウ。
彼は大文字の炎を描くために三度、黄金の炎太刀を振るうと思われたが――。
一振り分、一画増えて大の字から『米の字』へ。
正確には繋がっているため米の字ではない。
だが大文字ならぬ、ほぼ米文字となった灼熱の黄金の業火が――メビナ目がけて一直線に襲い来る。
「【氷帝ノ逆鉾】――」
当然、メビナは氷魔法で迎撃を行った。
だが空中で正面衝突した二つは、黄金の炎が氷を喰らうように飲み込んだ瞬間。
その勢いを打ち消しきられなかった炎が、攻撃態勢のままのメビナへと到達する。
「ぐォああァッ!?」
と同時に一瞬にして焼失する毛皮の外套。下に着用している漆黒のドレスも同様だ。
骨だけの体であるため火傷は負わずとも、露わになった骨の表面は受けた熱で黒ずんでいる。
つまりは完全なる力負け。これまでの服を焼かれるだけの打ち負け方とは違う。
戦闘が始まってから初となる事態に、というよりも圧倒的強者であるはずの自分が負けたことに……メビナは激しく動揺してしまう。
「よし、やっと押し切れたな!」
「オイラたちが完全に上回ったぞ! ……自画自賛の一撃です!」
攻防の結果を見て、勢いづいたテンドウとドンチンが叫ぶ。
ただその手は止まっていない。
『魔道無心流』の振りから立て続けに放たれる大文字、改め米文字の炎の斬撃。
威力に勝る一撃を飛ばし、それをメビナがまた氷魔法で迎撃するも結果は同じだ。
氷を粉砕された瞬間にすべて蒸発させられて――届いた黄金の炎に骨の身を焼かれてしまう。
(バカな!? 相手は妹でも亡霊騎王でも屍暴君でもないんだぞ! 人間と南瓜のアンデッドなどに……!?)
――唯一、メビナの弱点ともいえるのが機動力だ。
圧倒的な攻撃力と、それには劣るも決して低くはない耐久力。
それらと比べると落ちる機動力では魔法を放った後、勢いを落としきれていない一撃を回避することはできない。
だから何度も喰らってしまう。また当然、転移魔法を使うヒマなどあるはずがない。
氷魔法をぶつけることで威力こそ大幅に減少させるも、黄金の炎太刀の残火は決して無視できるものではない。
一発一発、互いに攻撃を仕掛けるたびに削られていく。
南瓜な兜を被ったフザけた見た目のテンドウには、自身の氷は一粒たりとも届いていない。
(まさか並ぶというのか!? 『不死の三傑』であったこのワタクシに……!)
もはやメビナは戸惑いを越えて混乱に近い精神状態だ。
黄金の業火が自身の骨の体を焼く度に、心の余裕はなくなってしまっている。
ただこの状況となっても魔力操作には寸分の狂いもない。
即死級の氷魔法を立て続けに発動するが――メビナの計算が狂い出したのは疑いようのない事実だ。
(あの南瓜め! ヤツが変わるまではすべて思い通りであったのに……!)
――事前の準備も含めて、テンドウが今の姿になるまでは完璧だった。
それは最も警戒していた怪人形のウメへの対抗策も同じだ。
最高火力の【異点氷結楔】だけではない。
五十年もの年月をかけて、じつはメビナはもう一つの魔法を会得していた。
参考にしたのは地下も徘徊する『車椅子の老婆』だ。
対象の能力の何割かを強制的に持っていく弱体化の力。
その部分にヒントを得て、ウメの道連れから魂だけは守るべく、あえて自身の魔力を犠牲にする防護魔法を編み出していたのだ。
だからこそ、ウメを下げて先にテンドウと戦う流れは理想的な展開だった。
予想外ではあったものの、これで充分に魔力がある状態で戦えると、内心ではほくそ笑んでいた。
――――はずなのに。
「【米文字斬り】!」
すべてを灰に帰す炎がメビナを襲う。
相変わらずの魔力消費なしで連発される上位魔法級の技。
悪夢のようなそれを相殺できなければ、その脅威度は一気に跳ね上がってしまう。
(あり得ん。断じてあり得んぞ! ワタクシは五十年だぞ? たかが一月そこらの小童が地上に戻るなど……!)
亡都ヤマトニアの頂点の一体、誰もがひれ伏す元『不死の三傑』であるはずなのに、声を出す余裕すらない。
ただ灼熱に焼かれて骨を焦がされ、体力を削られていく一方だ。
『弱体の呪い』の効果である極寒はいまだ続いている。
中庭の大部分や屋敷の内部などは、変わらず氷点下の気温を維持したままだ。
だが肝心のメビナとテンドウの周囲だけは、もう完全に黄金の炎太刀の熱で支配されていた。
「……こちとら皆と約束したんだ。もし生き残れて地上に戻れたら、スズランの料理をご馳走してやるってな」
一歩一歩、南瓜を被った黄金の炎太刀を持つ剣士が近づいてくる。
フザけた様でも纏う雰囲気だけは、敵将の首を討ち取らんとする将軍か。
メビナはそれを拒絶するように氷魔法を放つも、やはり完全に焼き消されてしまう。
殺人的な氷は跡形もなく水蒸気となり、黄金の残火だけが一方的に届いてくる。
そんな炎が支配する戦場の中で、ズダンッ! と。
隙をさらしたメビナ目がけて、テンドウが地を這うように低く鋭く飛び込んでくる。
「小癪な真似をッ! 【氷織帯剣】!」
「【米文字斬り】!」
ついに戦闘が始まって初となる至近距離での攻防が発生。
目と鼻の先から放たれた米文字の炎を、メビナは円環状の氷の刃を腕に纏わせて迎え撃つ。
その正反対な魔力が激突し、強烈な衝撃波が中庭を吹き抜けた直後。
「グオァアアアア――!?」
生まれたのはメビナの悲鳴だった。
一つだけでも命を断つのに充分な氷の刃が、すべて燃やし尽くされたうえで骨の身まで焼かれていく。
……接近戦でも完全に打ち負けた。
それを無視できないダメージとともに理解したメビナは、たまらず大きく飛び退いて後退する。
「――逃がすか!」
ほぼ同時、テンドウが再び飛び込んできた。
もう着飾っていた服の切れ端すらない、焼けて黒ずんだ骨だけの懐に――今度こそ完璧に入られてしまう。
――決着の一撃。
くだらない仲間の想いを背負って挑んできた者は、中段に構えた黄金の炎太刀とともに唸りを上げて喉元まで迫ってくる。
「おの、れ――」
「【流舞散華】!」
そして放たれたのは『魔道無心流』の奥義。
本来は鉄壁の防御である斬撃を攻撃に転用し、テンドウはメビナの懐で黄金の炎太刀を何十と振るう。
「この、命を……! 人間など、にィイイイイ!」
ぶ厚い頭蓋骨も背骨も膝下の脛骨までも。
全身をズタズタに斬り裂かれて焼かれながら、メビナの金切り声が中庭に響く。
それは自身が生み出した巨大な青い氷壁に反響し、屋敷を越えて広場の方へと消えていく。
――そして、頭蓋を掻きむしるように怒り狂いながら。
『啜り泣き』の声を伴うメビナの魔力も、呪いが生み出す強烈な寒気も――すべてが灼熱の黄金の炎によって焼失していく。
「キィイイアアアアァーーーッッ――!」
ヤマトニアに生まれて三十数年、亡都ヤマトニアで生まれ変わって約百年。
今やただの骸骨でも、生前は王国でも有数の麗しい美貌を持っていた女は。
財産目当てに姉妹合わせて十三人もの男を殺害した、罪深き姉妹の片割れは。
まるで生前に犯した罪ごと燃やされるかのように、耳をつんざく断末魔を上げながら――。
五十年ぶり二度目の敗北。
炎上が止まない骨だけとなった全身が、灼熱によって焼け焦げた地面についに倒れる。
「「――討伐、完了」」
その姿を見届けてなお、気を緩めずに残心したまま。
剣士と兜、一つになった二人の重なった声が静寂の中庭に響き渡った。




